【答えてくださった方】
幅広い世代の女性の診療・カウンセリングを行う地域密着型クリニック「 聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田」院長。著書に『思春期女子のからだと心 Q&A 資料ダウンロード付き』(労働教育センター)、『産婦人科医が教える オトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)ほか。
♦「経験人数が多いと黒ずむ」なんて都市伝説ですから!
これは、前回の「外陰部のシワやたるみ」モンダイと同じですよね。
フェムゾーンの見た目も機能も年齢とともに変化していくのはごく自然なこと、当たり前だと思いたいけれど、パートナーの視線が気になったりして、本気で悩んでいる人がいるのも事実です。
そういえば、その昔「黒ずんでいるのはセックスの経験人数が多いからだ」などと、まことしやかに言われていた時代もありました。
でも、30年以上、毎日診察で女性のアソコを診ている私から言わせれば、それは都市伝説!
ずばり、経験人数とデリケートゾーンの黒ずみは無関係です!
では、なぜ黒ずむか?ですね。
まず知っていてほしいのは、フェムゾーン(デリケートゾーン)は摩擦が起こりやすく、普通に生活していてもスレが生じる部分だということ。
専門用語では間擦部位(かんさつぶい)と呼びますが、摩擦によって皮膚がこすれることで周辺の肌の色よりも黒ずんでしまう場所なんです。
外陰部のほかにも、脇、ひじ・膝、ブラのワイヤーでこすれる乳房まわり、そしてショーツで擦れるそけい部や内側の付け根などがこれに当たります。
皮膚は刺激を受けると、メラニン色素を生成してやや黒っぽく変化します。
刺激がなければ、ターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)によってメラニン色素も排出されるのですが、同じ刺激を繰り返し長期的に受け続けるとメラニン色素が肌に残り、黒ずんでしまうのです。
とりわけ皮膚の薄い外陰部は、刺激に弱いところ。常に下着をつけている場所なので、こすれてメラニンで色素沈着を起こしやすいんですね。
紫外線を浴びてシミになりやすい人、なりにくい人がいるように、色素沈着の起きやすい体質の人もいます。
日常の習慣で、いつもデリケートゾーンに摩擦が起きていることも大きな原因でしょう。
例えば…
・ナイロンなど化繊素材の下着を好んでつけている人
・ショーツの縫い目やゴムが当たって違和感を感じている人
・締めつけのきついガードルや補整下着をつけている人
・硬い素材でくい込みやすいボトムスを好んではいている人
・自転車によく乗り、サドルでこすれやすい人
・生理用ナプキンやおりものシート、吸水シートなどを常につけている人
・トイレットペーパーで強くこする癖のある人、またはこする回数が多い人
・お風呂で強めにゴシゴシと洗う習慣のある人
・デリケートゾーンにムダ毛が多く、毛による摩擦が起きやすい人
・自己流の除毛や脱毛(カミソリや毛抜きによる処理は皮膚を傷つけて炎症を起こし、色素沈着につながることも)
などです。
♦基本はセルフケアで保湿&血行促進! 代謝をよくすることが何より
こんな摩擦の起きやすい生活習慣、思い当たる人はたくさんいるのでは? まずはそれを見直すことがテッパンです!
すぐにできることは下着・服選びです。
ポイントを挙げると…
ゆとりのある下着、コットンなど天然素材で肌に優しいショーツに変える。
くい込むような服をなるべく避ける。
優しく泡で洗い、拭くときはタオルで押さえるように。
シートやパッドを長時間つけない。
デリケートゾーンのムダ毛は2cm程度にカットする。
就寝中は下着をつけない(これは私流です)。
そして、これを読んでいる人はもうおわかりと思いますが、顔と同じようにフェムゾーンも毎日積極的にセルフケアしてあげることです。
お風呂ではデリケートゾーン専用のソープで洗って潤いを残し、お風呂上がりには保湿オイルやクリームでマッサージ。これで血流をよくすれば、より効果的です!
そして、保湿は徹底しましょう。
顔と同じく、潤いを与えることで新陳代謝、ターンオーバーが促進され、色素沈着も起こりにくくなるはずです。
最近は、デリケートゾーン専用のコスメで美白効果を謳ったアイテムも増えてきているので、気になる人はそれも使ってみるといいかもしれません。
すぐに黒ずみが改善されるわけではないですが、お手入れした分だけちゃんと成果は上がるもの!
長い人生、じっくりケアしていこうじゃありませんか。
もし、どうしても早く黒ずみを改善したい人は、クリニックで治療を受けてもいいでしょう。
私のクリニックでは「モナリザタッチ®」という腟レーザーの治療も行っています。おもに腟の中にレーザーを照射するのですが、当院では外陰部まで同時に照射するので、個人差はありますが、ある程度黒ずみを軽減する効果も期待できます。
尿もれや性交痛、腟のゆるみなどさまざまなトラブルとともに、見た目のアンチエイジングとしても人気があります。
あなたも、試してみますか?
取材・文/蓮見則子