エクオールって何?
更年期症状の緩和に有効と聞く、エクオール。いったいどんな物質なのでしょうか。
「エクオールとは、大豆食品に含まれるイソフラボンが腸内細菌の働きにより代謝されて生まれる物質のこと。腸から血液中に吸収され、全身に行き渡ります。エクオールが女性ホルモンの減少に対して有効に働くのは、その構造式がエストロゲンのそれとよく似ているから。大豆由来でありながらエストロゲンと同じような働きをするたため、“植物性エストロゲン”とも呼ばれます。
ただし、大豆食品を食べたすべての人が腸内でエクオールを作れるわけではありません。エクオールを産生できる体質の人と、できない体質の人がいるんです。エクオールを作る能力(産生能)があるかどうかは、尿検査で簡単に調べることが可能。検査のタイミングもいつでもOKなので、自分の体質を知りたい場合は、一度受けてみるのもいいかもしれませんね。尿中のエクオールが10μM以上であれば、エクオール産生能を有する理想的なレベルと言えます」(吉形玲美先生)
エクオールは「食べて」または「サプリで」摂取
エクオールを摂取する方法についても教えてください!
「エクオールの産生能に強く関係しているのは、腸内環境。腸の中にバラエティに富んだ細菌が存在していて腸内環境がよいことは、エクオール産生能と強い関係があります。
エクオール産生能が高い人は、大豆食品を一定量食べるだけでエクオールが活発に働き始めます。具体的には、大きめの納豆1パックを毎日コンスタントに食べるだけで効果が期待できるでしょう。ただし、エクオール産生能は個人差が大きいこと、日々の腸内環境の状態によっても変動すること、大豆食品を毎日一定量摂取するのは難しいことから、食事から得られるエクオールの効果は、なかなか安定しない場合もあるのです。
そこで選択肢に入れたいのが、エクオールそのものをサプリメントで補うという方法。その場合の目安量は、1日当たり10mg。これは、イソフラボン25~30mgに相当します。エクオールは栄養素の一種で、女性ホルモンではありません。また、エクオールサプリメントは、栄養補助食品に分類されており、薬ではありません。医療機関の受診や医師の処方箋は必要なく、ドラッグストアや通信販売などで購入することができます。だからこそ、サプリメントを選ぶ際には注意も必要。添加物などの表示をチェックしたうえで、1日当たり10mgの含有量があるものを選ぶようにしてください。
サプリメントは、エクオール産生能のある人が飲んでも大丈夫。体内のエクオール濃度を、より高く維持することができます。一方で、サプリメントさえ飲んでいれば安心というわけではないのも事実。個々の摂取状況や腸内環境や吸収率によって結果が変わってくるので、飲んでいてもエクオール濃度が一定レベルに達していない方も少なくないんです。そう考えると、サプリメントを摂取し始めてからエクオール検査を受けて、ちゃんと自分の体に届いているかどうかを確認してみるのもいいですね」
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更年期症状の予防・改善が期待できる!
エクオールがうまく働くと、どんな効果が期待できるのでしょうか。
「エクオールの働きによって女性ホルモンのゆらぎを安定させられるため、更年期症状の予防、あるいは改善が期待できます。プレ更年期であれば、月経前症候群(PMS)の症状の緩和も同様ですね。イライラやモヤモヤの頻度が減るなど、メンタル面にプラスの変化が表れることも。また、エクオールは抗酸化作用が強いため、肌や髪に潤いが出てくるなど、美容面の効果も実感しやすいでしょう。
更年期に入ってからも、ほてりやホットフラッシュをはじめとする症状全般の緩和、美肌効果、抜け毛予防、髪質の改善などが期待できます。プレ更年期の間に、エクオール産生能があるかどうかを調べたり、自分に合ったエクオール摂取の方法を考えておいたりすることは、その後の健康や美容のためにとても有意義だと言えるでしょう」
【教えていただいた方】

大学病院で医療の最前線に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、現クリニックへ。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社)。
取材・文/藤本幸授美 写真/Shutterstock
参考資料/『40代から始めよう! 閉経マネジメント』吉形玲美・著¥1,650/講談社
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