Cさん(アルバイト・48歳)の場合
■45歳:月経過多、下腹部の痛みなどから婦人科を受診、子宮筋腫が判明。治療を開始
■45歳:治療による副作用で半年間苦しむ
■46歳:腹腔鏡手術による子宮全摘出、卵管切除
■46歳:手術から40日後、縫合痕が開いて出血
■48歳(現在):心身が軽く快適な毎日
経血が靴下までしみるほどの月経過多
45歳で子宮筋腫がわかったCさんは、40歳のときの検診では筋腫の影はなく、5年間の間に急速に育ってしまったというケースです。
「40歳のときの子宮頸がん検診では異常なし。だから安心していたというか、問題ないんだと思っていました。
ところが1~2年たつと、だんだんと生理が重くなってきたんですね。経血の量がとにかく多く、長時間用のナプキンでも全然もたなくて。
工場のラインでの立ち仕事なのですが、ひどいときには漏れた経血が足首まで垂れてきて靴下にしみてしまうことも。
トイレに行くにはラインを止めてリーダーを呼び、作業を替わってもらわないといけなくて。しかもリーダーが男性だったので言いづらく、極力がまんしていたのです。
歩くだけでも下腹に鈍痛を感じるようになり、お腹もだんだん出てきました。
ほぼ毎日下痢もあって、急な便意でトイレが間に合わないことも。
子宮筋腫とわかったあと、医師には『筋腫で腸が押されてつぶされてしまっている、これじゃ下痢にもなる』と言われました。

筋腫のせいで妊婦さんと間違われるくらいお腹が出ていて、ボトムは常に3Lサイズ。
それでも生理になるとキツくて、ウエストを下げてはいていました。
上半身は特に太っているわけでもないので、すごくアンバランスだったのですが、当時は年齢的なものによる下半身太りだろうと…。
身内の女性にも月経が重い人が多くて『こんなもんなのかな』と思っていたし、5年前の検査結果があったから、子宮筋腫の可能性はまったく考えていませんでした」
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いよいよしんどくなってきたなか、同じような症状で苦しんでいる仕事の同僚に子宮筋腫の可能性を指摘され、病院を受診することにしたそう。
「そのときには筋腫が12.5cmになっていました。
わりと短期間でかなりの大きさになっていたので、最初は医師から『がんの疑いもある』と。
でも検査の結果子宮筋腫だとわかり、ひとまず手術室に空きができるまでの半年間、レルミナを服用して筋腫を小さくする治療をすることになりました。
筋腫が大きいので、その時点では開腹手術だと言われました」
レルミナの服用を始めたCさんですが、副作用にかなり苦しみました。
「飲んだ瞬間から頭のほてりと顔からの激しい発汗、頭痛が襲ってきました。
わけもなく気持ちが落ち込んで、夜中に目が覚めて『このまま死にたい…』と思ってしまったり。更年期症状が心身に一気にバーン!と出たって感じでしたね。
仕事に行くのもしんどかったけど、筋腫が小さくなれば腹腔鏡手術ができるかもしれないという一心で、レルミナをなんとか続けました。
でも薬代が1カ月で8000円、半年間で4万8000円。これは大きな痛手でした」
夫に「一生セックスしないですむからよかった」と言われ
ショックなことはほかにも。
「『筋腫で子宮全摘するかも』と夫に伝えたら、『これで一生セックスしないですむからよかった』と言われたんです。
『はぁ!?』って、頭が真っ白になりました。子宮を取っても性生活には影響ないのに…。
あまりにショックだったので妹に愚痴ったら、私の代わりに泣いてくれました。
あとから夫には『冗談だったんだよ』と言われましたが、今も忘れられません」
つらい半年間を乗り越え、子宮筋腫は6.5cmにまで縮み、腹腔鏡手術ができることに。
子宮筋腫のほかに腺筋症、子宮内膜症もあり、今後のリスクも考慮した結果、子宮全摘と卵管切除を行ったそう。
「手術は5時間半もかかったのですが無事成功、翌日からもう動けるようになりました。
入院中には実家の家族や親戚たちがお見舞いに来てくれ、喫茶室でみんなで地元のサッカーチームの試合中継を見て大応援。ワイワイしてしまって、看護師さんに怒られて病室に連れ戻されてしまいました(笑)。
病院の食事がすごくおいしくていつも一番に取りに行っていたし、手術後間もないのにこんなに元気なんて、と自分でも驚くほどでした」
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手術後にまさかの大量出血
順調に退院したCさんでしたが、退院から40日たって、突然腟から大量出血してしまったそう。
「こぶし大くらいの血液の塊が何度も出てきて。痛みはなかったのですが、すごく怖かったです。
『ひとまず寝ていよう』と様子見して、翌朝病院に行くと、即入院。
全摘手術で、腟から子宮を切り離した際に縫ったところが開いてしまったせいだとわかりました。
そのときは1泊2日ですぐ退院できましたが、『こんなこともあるんだな』と」
それから3年、今では健康そのものという毎日を送っているCさんです。
「手術前は毎月の生理が本当にキツかったし、不正出血や腹痛もあって、基本的に『毎日がしんどい』という感じでした。
でも手術したら体に羽がついたみたいに軽~くて!
まるで“本来の自分”に戻ったような感覚です。
夫はデリカシーのないところもありますが、洗い物など家事を分担してくれるようになって、いたわりを感じます。
私が生理のときに寝込まなくなったので、安心しているみたいです。
同じく筋腫で子宮全摘している看護師の伯母には、『なんでもっと早く相談してくれなかったの!』と怒られてしまいました。
『おかしい』と感じたら、様子見していないで早く病院に行かないとダメですね」
イラスト/本田佳世 取材・文/遊佐信子


