OurAgeの連載「ようこそ、ダイエットクラブへ」が人気のノンフィクション作家・佐々涼子さん。このたび、うれしい受賞のお知らせが届きました。
「Yahoo!ニュース」と、書店員が「面白かった」、「お客様に勧めたい」と思った本への投票で決定する「本屋大賞」が連携した「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞」。今年度の大賞受賞作品が佐々涼子さんの「エンド・オブ・ライフ」(集英社インターナショナル)に決定したのです!
著書「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」(集英社)「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」(ハヤカワ文庫NF)でも、生と死を見つめ、その現場を真摯に紡いできた佐々さん。ご自身の母親の在宅治療をきっかけに介護現場の取材をしたいと思いますが、在宅医療に取り組む父親の苦労を目の当たりにし、逡巡します。
「やっぱり在宅は難しい医療でもあると。きれいごとばかりではない。相反する気持ちをどう1冊にまとめたらいいのかわからなくて、決め手を欠くまま宙ぶらりんになっていました。書けなくなってしまったんです」
数年後、佐々さんは、取材で知り合った訪問看護師の森山さんが重いがんであることを知らされます。医療の専門家である彼に共同執筆を依頼され、取材を再開しますが、彼の死への向き合い方は意外な方向へ…。
「歳をとるごとに考えなければいけなくなる、できれば目を背けたいテーマですが、様々な人生の終焉を知り、私のなかで『死に対する不確かな怯え』が少し形を変えたような気がします」(東京都 旭屋書店池袋店 礒部ゆきえさん)
「『死は、遺された者へ幸福に生きるためのヒントを与える』という言葉が心に深く刻まれました」(東京都 丸善丸の内本店 高頭佐和子さん)
「『命の閉じ方』と一緒に、『今をどう生きるか』を教えられた気がします。ぜひたくさんの方に読んでいただきたい作品です」(奈良県 WAY書店 TSUTAYA天理店 岩瀬竜太さん)
と、“本読みのプロ”である書店員さんからも、絶賛の声が多数集まりました。
「彼が迷い、揺れつつも、運命と折り合いをつけ、すべてを受け入れる過程を見せてもらいながら、私は人生の本質に触れたような気がしました。彼が命がけで残してくれた言葉は、きっと誰に対しても大切な命のレッスンとなるでしょう」
と、受賞を受けた佐々さんの言葉。彼女の綴る文章は、平易だけれど、その分、心に深く染み入ります。
死は本来、私たちにとって遠くの概念ではないはずだけれど、受け入れるのも決して容易ではないもの。世界中の誰にとっても「かつてない年」だった2020年を振り返りながら、この本を手に取ってみませんか?