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もうすぐ定年。どうなる私!?【50代読者のお悩み】

地曳いく子

地曳いく子

non-no、MORE、Oggi、eclatなど雑誌を始めとし、タレントの衣装も担当。イタくない大人のスタイリングを得意とし、テレビ、トークショーなどで活躍、キャリア30年のスタイリスト。大人のおしゃれを考え直す「50歳、おしゃれ元年。」(集英社)をはじめ、「服を買うなら、捨てなさい」(宝島社)、「ババア上等! 余計なルールの捨て方 大人のおしゃれDo!&Don’t 」(集英社)など著書多数

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お悩み:その74/もうすぐ定年。どうなる私!?

あと1年ちょっとで60歳になり、会社も定年になります。その後も再雇用制度で働くことは可能(給与はかなり下がります)だけど、仕事や日頃の生活をどうしていけば良いのかとても悩んでいます。
貯金は充分とは言えないけど、仕事を辞めたら長期旅行に行きたいという長年の夢もあるし。人生設計のアイディアが欲しいです。(58歳・会社員・岐阜県)

 

地曳さんのお答え

長い仕事人生、お疲れさまです!

一般的に22、23歳ぐらいから始まる社会人生活。うち3割くらいは睡眠時間と考えても、4、5割は仕事時間ですよね。バリバリやっている人は6割かそれ以上かも。

 

その膨大な時間が空いちゃうんですから男女問わず、「怖い!」「不安!」と思わないほうがおかしいです。それに、私もそうですけど、がむしゃらに働いていた人は働かないと罪悪感がある。だけど、貯蓄の問題さえクリアできているなら、健康第一で楽しめばいいと思います。

 

イラスト/松元まり子

イラスト/松元まり子

 

こんなことを書いたらひんしゅくを買うかもしれませんが、定年後の生活なんて正直言って”どう時間を潰すか”ですよ(笑)。

 

だからぜひ、体力があるうちに念願の長期旅行に行かれてください。
ただ、今は観光客向けの値段設定ですごく高いですよね…。そこが問題。

 

私はこの原稿を書いている2ヵ月前に、北海道に行ってきたんですけど、ドミトリーでも1泊1万円しました。以前だったら1万円もあれば、朝食付きの普通のホテルに余裕で泊まれましたが、今は1万5千円出しても泊まれない。

…で、私も好奇心が働いて3泊の旅程中、最初の1泊だけドミトリーに泊まってみました(さすがに、BBAがドミトリーに連泊するのはキツい。笑)。

 

そうしたら想像以上に綺麗だし、サービスもきちんとしているんですね。泊まっている人たちの年齢も高かったので、私ひとりでも全然もの悲しくならなかった。昔は、ドミトリーなんてちょっと薄汚くて狭く(失礼!)若いバックパッカーくらいしかいませんでしたが、時代は変わったものですね。

 

旅行以外で言えば、今のうちから楽しいと思える習いごとを見つけるといいかもしれません。

 

ヘアメイクアップアーティストの藤原美智子さんも60歳になってからバレエを始められたり、漫画家の槇村さとるさんも60歳で社交ダンスを始められました。みなさん、昔やりたかったけど、時間がなくてやれていなかったものに挑戦しているんですね。
あなたも「昔やりたかったシリーズ」を片っ端から挑戦してみてはいかがでしょう?

 

健康維持のために運動系の習いごとでもいいし、ギターを弾いたり、ドラムを叩いてもいい。絵画や美術、ワインについて学んだりしてもいいんです。これまでにやりたいと思ったことをリスト化してとりあえずやってみる! 思っていたより楽しくなくても、それはそれ! 気が済みます。人生やり残さない。我が人生に悔いなし。トライ&エラーです。それが楽しい。“シニアの部活”と考えて軽い気持ちで始めればいいんです。

 

それで、「これはいいな」と思ったものを60歳過ぎてから本格的にやっていく。

 

そういう意味では、駅前にあるような総合型ジムは月謝さえ払えば、ダンスやヨガなどのさまざまなレッスンが基本的には無料で受けられるので、自分が好きなものを見つけやすいし、プールやジャクジー、大浴場やサウナもあるから日常使いもできておすすめです。会費はかかりますけど、銭湯(550円)に毎日行ったと思えばお釣りがくるくらいです。ジム仲間とはよく「私たちにはジムがあって本当に良かったよね〜」と言い合っています。

 

あとは、シニアになると映画館や美術館、スーパー銭湯などのシニア割が使えるようになりますよね。今のうちからそういうちょっとしたハッピーを見つけておいて楽しみを取っておきましょう。

 

…と考えると、定年=暇になると思いきや、いくら時間があっても足りないことに気付くと思います。
若い頃から「仕事が楽しい!」と毎日頑張ってきた人こそ、定年を迎えるとがっくり落ち込んじゃうんだけど、楽しい第二の人生が始まると思ってください。

 

今はその準備期間です!

 

人生の長い夏休みが始まった、くらいに思って楽しんでください。

 

お悩み:その75/PCなど職場環境が急変!

ここ数年、特にコロナ以降、職場環境(PCとかシステムとか)が急変していって私にはついていけません! PC世代ではない私はただでさえ使いこなせていないのに。助けて!(57歳・会社員・兵庫県)

 

地曳さんのお答え

私はその昔からカシオの電子手帳を使っていたくらい、大のガジェット好きです。

もちろん、MacもiPhoneも初代から持っていたし、Windows系も使えます。

自慢ではないですけど、デジタル系雑誌に取材されたこともあるんですよ。最近の趣味のひとつは、Apple Storeに行ってスタッフとマニアックな談義をすること(笑)。

 

…と、そんなガジェットオタクの私でさえ、知らないうちにどんどんアップデートされていて怯むことも多々ありますから、あなたの嘆きたくなるお気持ちはよくわかります。

 

しかし! 現代から石器時代に戻ることはないように、今からアナログ時代に戻ることはありません。時代というのは常に前に進んでいくので、この時代に生きていたらあなたも立派なPC・スマホ世代!
鎖国から黒船来航くらいの変化だと思って時代の流れにしがみつくしかない(笑)。

 

今のあなたができることは、「使いこなせない!」「怖い!」と嘆くことではなくて、覚悟を決めて“デジタル完全独り立ち”に向けて日々学ぶことです。

 

あなたは会社員ということなので、今は何か困ったことがあってもサポートデスクみたいなところに頼ったり、部下に聞くことができると思いますが、定年を迎えたらそんな恵まれた環境から一気に大海原に突き落とされんですよ、浮き輪なしで(笑)。
自分の個人アドレスやスマホ、PCすら持っておらず、会社から貸与されていたもので日々を済ませている強者もいるかもしれませんが、定年を迎えてそれらを取り上げられてから自分専用の端末を買っても遅い! 誰にも教わらないで自分で初期設定しないといけなくなります。

 

だから定年までの残り数年で周りに聞きまくってください。嫌がられてもうざがられても聞く!(笑)
定年後もたくましく生きていくためには、今“デジタル完全独り立ち”を目指して奮起するしかないんです。

 

だから、助けは私に求めるんじゃなくて、周りの若い子! 他のことはできなくても機械系はできるから(笑)。
もしお子さんがいらしたら教えてもらうのも手です。たとえ、疎まれてもです。

 

あなたがちゃんと今のデジタル時代に対応できるということは、これからの人生、若い世代に迷惑をかけずに生きていけるようになるということですから。

 

そして、スマホやタブレットというのは若い人向けかと思われがちですが、実は老眼が進んだシニア向けだったりします。文字を大きくできたり、太くできたりするし、画面上で直感的に操作できるようなっている。新聞など細かい活字が見えづらい場合は、カメラ機能でズームにすればルーペ代わりにもなりますからね。

 

21世紀の今は、ちょっと前から考えたら未来の世界です。怖がらずに未来を生きてくださいね。

 

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