お悩み：その79
地曳さんのご著書はよく読ませていただいて、同年代ということもあっていつも参考にさせていただいています。
60歳を過ぎた今改めて、増え続ける洋服をどうやって整理しているのか、年齢を重ねて変わったことなどを知りたいです。（63歳・主婦・東京都）
地曳さんのお答え
いつもありがとうございます！
今年もあっという間に大掃除の季節ですね。
60歳を過ぎてからの洋服の整理ということですが、結論から先にお伝えします。少しでも「いらないかも？」と思ったものは、ガンガン処分してOKです。ひどいことを言わせていただければ、もう5年前の服は全部捨てる！
人生、とうに折り返し地点を過ぎた私たち。あなたが今捨てなくても、その大量にある着てない服は、あなたが死んだ後に誰かが捨てないといけないんです（笑）。
どうせいつかは誰かが捨てるんだから、捨てることの罪悪感を捨ててください（笑）。
イラスト／松元まり子
50代と60代では、人間関係やお付き合いの幅が変わります。
50代では仕事用のちょっとフォーマルな洋服やパーティー用のドレスが必要かもしれませんが、60歳を過ぎると出歩く範囲も狭まるし、夜のパーティーにもほとんど行かなくなりますから、そういった洋服は必要なくなります。
「いつか着るかも？」と思うかもしれないけど、その“いつか”はほぼ来ませんから。もしラッキーにまた着る機会があってもCOSやZARAで買えます。
趣味が変わって使わなくなったものもすべて処分でOKです。
私は昔、趣味でスキューバーダイビングをやっていたので、ウェットスーツなどの器材を一式持っていましたが、ある時に耳がおかしくなってしまい、医者からスキューバーダイビングを禁止されました。それを機にダイビングは一切やめて、器材一式もすべて寄付しました。
これは極端な例かもしれませんが、自分の変化とともに不要になったものを冷静に考えてみると、処分するべきものが見えてきます。
次に、身体だって変わります。
例えば、昔は7cm以上のヒール付きの靴を履いていたのが、今は4cmですらツラい！ そういう靴はもう私たちの人生にはいらないんです。
冬だって立派なカシミアのコートもあまりに重くて体力的に無理！ 「気がついたらダウンしか着ていない」という人も多いのではないでしょうか。
だから、“キツい、重い、かたい”はもう全部捨ててしまっていいと思う今日この頃です。
そして大きく変わったのが、季節変動！
10年くらい前は、頑張れば着ることができたサマージャケットやサマーウールなんて、今は到底無理！
コットンや麻の長袖のワンピースですら真夏は無理で、着られるのは10月も半ば過ぎてからです。冷房対策で買った夏用のストールも、暑すぎるせいかどこに行っても冷房で冷えるということがなくて使いませんでした。
というわけで、昔は素敵だったものも今は地球的に無理。極論、5年以上の前の服はすべて捨てていいです。
地球も自分も変わっている。こればかりは仕方ないと諦めてください。
昔の洋服でもあなたがすごく好きで、着ると気分が上がるのなら捨てなくてもいいけど、でもたくさん着るとどうしても生地が劣化しますよね。「もう十分着た」と思えるなら資材ゴミに出してもいいと思います。
よく“エコ”とか“一生もの”とか言うけど、そんなのは一回忘れてください。取っておくということは、その分のスペースが必要ということ。一回でも着たらクリーニングに出したりしますし、エコじゃない。
先ほどもお伝えした通り、あなたが今捨てなくても誰かが捨てるんだから、少しでも部屋をスッキリして心地よく生活したほうが精神衛生にもいいし、お気に入りの洋服だってギュウギュウ詰めのクローゼットでシワにならずに済みます。
ぜひ、この年末年始を利用して家にある洋服を片っ端から着てみてください。衣装持ちの方ほど、いらない服の多さに驚くと思いますよ。
私は案件のひとつであるパーソナルスタイリストとして、たまにセレブリティの方や芸能人の方のご自宅にお邪魔してクローゼットの整理をお手伝いします。
そこでは「いる服」「いらない服」を見極めるために、必ず全て着てもらって鏡の前で見てもらうようにしています。
ハンガーに掛かったままの状態だと、幻想の中では似合っているんだけど、実際に全身鏡の前で着てみると全然似合わなくなっていたり、（体重は変わってなくても）ゆったりしていると思っていたものがキツくなっていたりするんです。自分の足を引っ張るものはガンガン捨てましょう。
痩せたら着られるシリーズも捨ててOK！
ここ数年、私は水泳を頑張っているのでウエストがかなり引き締まり、10年前の体型に戻ったんですが、こんな私でも未練があって捨てていないものがあるんですよ。
そんな「痩せたら着よう」と思っていた昔の洋服を片っ端から着てみたんです。もちろん痩せたから入るんですけど、びっくりするくらい似合いませんでした。
「え、どうなの？ 今の私はこれを着る価値はあるの？」と。
体重は戻っても肌質や髪質は変わっているし、時代の空気感も変わっていますからね。
痩せたら今のもっとナウい服がZARAやH＆Mなどに売っていますから、わざわざ昔の服を着る必要もないと実感しました。
今の自分に照準を絞って考えてください！
あなたのお悩みを募集中！
お悩み投稿のルール
①メールの宛先：toko@shueisha.co.jp
②メールタイトル：【いく子さんの悩み相談】
※違うタイトルでお送りいただくと、受付できないことがありますのでご注意ください。
③必要事項：年齢・ペンネームのみ（本名は書かないでください）
④文字数の目安：200字程度
お悩み投稿の注意事項
以下の内容をお読みの上、ご了承いただいた上で投稿をお願いいたします。
・投稿いただいた内容は、OurAgeの企画および、集英社の雑誌・書籍等（web・SNSを含む）にて掲載、キュレーションメディア等に転載する場合があります。
・掲載する際には、ペンネームおよび内容を一部改編する場合があります。
・投稿の採用結果につきましては、お知らせいたしません。
・投稿内容等の確認のため、編集部よりご連絡する場合があります。
・投稿いただいた方のメールアドレス・ペンネームは本企画遂行の目的以外には使用いたしません。
メールをお待ちしています！
・・・・information・・・・
●第2弾！ 本人気連載が“いきなり文庫！”として書籍化！ 絶賛発売中です！！
『ババアはツラいよ！ 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2』（（（集英社）
家の中で赤いリップを塗って何が悪い！ 派手色ネイル上等！ 命短し着飾れBBA！ “第2ステージを楽しまなくちゃ損”と人生謳歌中のスタイリスト・地曳いく子さんと漫画家・槇村さとるさんが、還暦からのHAPPYおしゃれ術を教えます！ ファストファッションを取り入れた着こなしや、＋60から着たいブランド、秘密の着痩せテクなどを幅広く徹底指南。超効率重視＆完璧主義・いく子の家事テク紹介も収録で、お得感満載の一冊。
●2023年9月20日（水）発売！
『ババア最高！ ＋60歳からのHAPPYおしゃれ』（（集英社）
日本全国の悩めるBBAの駆け込み寺が深化して帰ってきた――。
「加齢で洋なし体型。何を着てもビミョー」「仕事・家事・育児、全てが中途半端」「更年期でイライラ」など、おしゃれ、仕事、人生について、よりディープな中高年女子の問題をスタイリストが解決＆爆笑に変える。日本で唯一のBBA特化型の人生相談本、第2弾。
読むだけでいく子と愉快な旅気分!? 心躍る韓国旅行ガイドも収録。
●2023年5月10日（水）発売！
『60歳は人生の衣替え』（集英社）
「歳なんて単なる数字」と粋がっていた著者さえ、還暦を過ぎれば、朝起きれば節々は痛み、女性ホルモンの枯渇からか気分まで鬱々。さらにはコロナ禍の自粛生活で完全なる運動不足に！ では、頑張って年齢に抗う？ いえいえ、これから必要なのは、季節の移り替わりを受け入れてその季節を楽しむということ。おしゃれも生き方も“衣替え”して、Over60からの「季節」を楽しみませんか？
●本連載が“いきなり文庫！”として書籍化！ 絶賛発売中です！！
『ババア上等！ 番外編 地曳いく子のお悩み相談室』（集英社文庫）
50代、何を着てもヘン。わけもなく夫にイライラ。ワクワクがない。将来が不安でたまらない――。
中高年女子に押し寄せる“お悩み”の数々。ネットで検索しても、友達に相談しても答えが見つからない。
でも大丈夫！ おしゃれ、仕事、人生など、全国から寄せられたあらゆる問題をスタイリストが解決＆爆笑に変える。
「悩めるBBAの駆け込み寺!? テンション爆上がりスポット」も紹介。コスパ最強の1冊！
