童謡『ぞうさん』や『やぎさん ゆうびん』の作詞で知られる詩人のまど・みちおさん。1909年生まれ、2014年に104歳でお亡くなりになリました。この本『いわずにおれない』(集英社刊)は、まどさんが96歳のときに行われたインタビューを一人語り形式で再構成した、まどさんの貴重な肉声がたっぷりの1冊です。
これが、本当にすばらしい、というかココロが震える言葉が満載なんです。
いわく、「時間こそ母なる宇宙と考えれば、時の経過や老いといったものへの不安も少し揺らいで、なんとなくホッとするような落ち着けるような感じがしませんか?」「毎日毎日、限りない出会いがあります。そのすべてを大切にできたらと願わずにはおれません」という人生への示唆に富んだものや、「桜に、人間の言葉ではなく桜に通じる表現でお礼が言えたらなぁ」「アリたち一匹一匹に名前を聞いて、教えてもらった名前でそれぞれを呼んでやることができたら楽しいだろうなぁ」といった、ハッとしつつも、さすが「ぞうさん」の作者!と納得してしまうものなどなど。どれもベースにあるのは、まどさんの万物に対しての、限りなく優しい視点です。このものすごい優しさがあるから、ココロを震わされるのか、と読んでいる途中で気づきました。
まどさんの描かれた抽象画や代表作もたっぷり掲載されていて、2時間ほどで読み終われます。そして何度でも読み返したくなる。とても暖かい1冊です。
自分へ、大切なあの人へ、クリスマスプレゼントにいかがですか?