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5年半後の「国立競技場」チケット噺(ばなし)

マドレーヌ

マドレーヌ

若い頃パリかぶれで、このあだ名はフランスの絵本の主人公から。冷え性で365日、靴下着用。アイスクリームは25年以上食べていません。趣味はガーデニング、サッカー観戦、筋膜リリース。

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※毎週、次の展開が楽しみだった大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』の気分で。

 

世の中には、『粋な計らい』ってーものがあるものでございます。5年半の時を経て、自分の身に、このような夢の招待状が届こうとは、思いもよりませんでした。

 

夢の招待状と申しますのは、他でもない、

2019年12月21日(土)朝8時から密かに行われた、新・国立競技場に初めて一般人が入れるイベント「ファーストウォーク」の入場チケットのことでございます。

 

時は5年半前までさかのぼり、2014年の5月31日(土)。
私は、旧・国立競技場のお別れイベントである「SAYONARA国立競技場」に参加しておりました。サッカーレジェンド達のミニ試合があったり、カール ルイスの9秒台の走りをトラック上で光の映像を使って再現したり。国立競技場で過去に繰り広げられたスポーツの栄光を振り返るといった内容でございました。この有料イベントの入場者数は35,000人だったそうです。事前には知らされていなかったのですが、イベントの最後に、なんと入場者全員が国立のピッチに降りて、芝の上やトラックに立てるという、言わば夢のようなおまけつきだったのでございます。

 

「SAYONARA国立競技場」イベントの様子は、こちらのブログでご紹介いたしました。

最後の国立競技場とブルーインパルスを見に。そして、長年の夢を叶えました!

 

 

実は私、当時から旧・国立競技場に深~いノスタルジーを抱いておりました。
といいますのも、サッカー好きの大人世代のみなさまはよくご存じでしょうが、2002年サッカーW杯日韓大会に向けて日産スタジアムや埼玉スタジアムが完成するまでは、多くのサッカーの(とくに重要な)試合は旧・国立競技場で行われておりました。

私は90年代に30代でサッカーファンになったものですから、それはもう足しげく国立競技場に通うことに。最初は家人や友人とでしたが、そのうちスケジュール合わせも面倒くさいっていうんで、ひとりでの、今でいう“ぼっち観戦”も日常化していったのでございます。恥ずかしながら、私にとっては30代の遅れてきた青春が国立競技場だったのかもしれません。国立競技場の建て替えが決まった当時は、あ~、これで青春ともお別れか~、てなもんです。

 

さて、さよならイベント中に、MCの方からメルマガ登録を促されました。ふだんはそんな勧誘を怪しむ私も、いそいそと座席で登録。するってーと、その後は年に1~2回でしょうか、旧・国立競技場の解体や、工事の進捗状況の写真や動画が送られてきて食い入るように見つめたものでございました。

 

そのイベントから5年半、それ以外の国立競技場とのかかわりといえば、近くを通った際に数回、遠回りしまして工事風景を撮影したぐらいです(下の写真は17年11月)。下の写真で数えますってーと、写っているだけでもクレーンが16本。現地の迫力ある美しい光景に心奪われました。建築の仕事をする友人の話ですと、世の中にはクレーン・オタクという、けったいな分野の方々もいらして、全国からこちらに集結されていたのだそうです。まあ、気持ちはわからないでもありません。

 

また、私にとっては、昨年の大河ドラマ『いだてん』の影の主役は、過去ふたつの国立競技場。もちろん毎週欠かさずに拝見いたしました。

マドレーヌ 国立 クレーン

 

さて本題に戻ります
なんと、その「SAYONARA国立競技場」イベントに参加して、メルマガ登録をした人だけが、新・国立競技場の最初のイベント「ファーストウォーク」に招待されるっていうんですから驚きです。

 

こんな「粋な計らい」があるでしょうか!?

 

ふつう5年半もたったら、世の中変わっておりますよ。企業の企画担当者は転職・定年、企業自体だって統合・社名変更も当たり前って時代です。情報が削除されていたっておかしくない。「桜を見る会」の名簿は即刻廃棄されましたが、「SAYONARA国立競技場」イベント参加者名簿(メアド)は大切にされていたのでございます。

 

ちなみに招待メールの送り主・イベントの主催者は「独立行政法人 日本スポーツ振興センター」ってーところでございました。スポーツの振興を目指し、わかりやすいところでは国立競技場のほかナショナルトレセンなども運営する機構のようです。

 

どこのどなた様か存じませんが、自称「国立競技場ノスタルジスト」(別名〈国立オタク〉?)を大切にしてくれてありがとう! よくぞ早朝2時間の隙間をひねり出して、最初に呼ぶと一番喜ぶ人たちを呼んでくれました! と私は言わずにはおれませんでしたね。

 

それに加えまして、自分が5年半たった今も健康で、スタジアム愛が続いているってーことにも気付いて感謝いたしましたよ。

 

詳細は省きますが、招待メールが届いた人はそこから申し込みをしまして、無料チケットをコンビニで受け取るシステムで、本人しか入場できません。家人ときた日にゃ、お別れイベントには参加したもののメルマガ登録をしなかったってんで、招待メールが届かないという体たらくでございました。

 

そんなこんなで「ファーストウォーク」イベントは12月21日(土)朝8~10時の2時間。
私はひとり5時に起き、しっかりと腹ごしらえをして、リュックにスニーカー、首からカメラをぶら下げて鉄壁のオタク・スタイルで意気揚々と新・国立競技場に参上いたしました。地下鉄銀座線の外苑前駅から向かうと、木々の合間から堂々とした姿が見えてまいりましたよ。

マドレーヌ 国立競技場 外苑側

 

敷地内に入りますってーと、旧・国立競技場のメインスタンド上にあった壁画「野見宿禰(のみのすくね)像」・「勝利の女神像」がスタジアムの外側通路にお出ましに。あ~、見知ったおふたりに再会できたなつかしさよ。

マドレーヌ 国立すくね像

 

隈研吾さんの建築、多くの場所に木が使われています。植栽も目立ちます。

マドレーヌ 国立 木

少し行列に並んでスタジアム内に入りますってーと、1階の約半分が解放されておりました。参加者はコンコースを自由に歩き回ったり、どこでも好きな座席に座ったり。

 

ピッチでは、松岡修造さんが熱いMCを繰り広げておられて、新・国立競技場のことをあれこれ教えてくれるのでした。


修造さんのご報告によりますと、開場から30分たった8時半の段階で、入場者数は2500人に達したとのこと(その後もどんどん増えていきましたが)。5年半、国立競技場を思って過ごし、いの一番に駆け付けた人が2500人いるのだなあ、としみじみ。みなさま、5年半お達者でございましたか? と同志の健闘を称える気持ちになったのでございます。

椅子は5色ございまして、ピッチの近くは地面に近い茶色など濃い色が多め。2階、3階と上に行くにしたがって、空に近い淡い色が多くなるのだそうです。椅子のランダムな配置を決めたのは、AIということですよ。

私もいろいろな席に座って眺めを満喫いたしました。

マドレーヌ 国立 椅子

 

修造さんによりますと、隈研吾さんは屋根をゼロの形と表現されたそうです。

 

案内表示のわかりやすさ、すっきりしたデザインに心惹かれました。

マドレーヌ 国立 案内表示

そんなこんなで、5年半分の幸せ感に包まれた2時間が過ぎていったのでございます。

 

左は2014年5月「SAYONARA国立競技場」、右は2019年12月「HELLO OUR STADIUM」イベントでお土産としてタオルをいただきました。

マドレーヌ 国立 タオル

 

ちなみに、その夜行われた「国立競技場オープニングイベント~HELLO,OUR STADIUM~」は、一部テレビ放送もあったようで、ご存じの方もおいでなのでは。音楽オンチの私は、「嵐」や「ドリカム」の出演が発表される前に、スポーツ関連イベントだと思って、チケットを購入しておりました。

 

当日、アーティストは撮影禁止でございましたので、演奏中の動くモニターだけご覧にいれます。「ゆず」の『栄光の架橋』は歌詞が出て、会場全体がいっしょに熱唱いたしましたよ。

マドレーヌ 国立 夜イベント

 

そして元日のサッカー天皇杯決勝。こちらは自分の御贔屓チームが出場する予定でチケットを購入いたしましたが、準決勝であえなく敗退。しかし、そこはそれ、新・国立競技場だしイニエスタだし、喜んではせ参じました。

マドレーヌ 国立 天皇杯

 

ベンチの枠が木製。これはほかに見たことがございません!

 

サッカー好きとしましては、このスタジアムに申し上げたいことはございますが・・。

期待を込めてひとつだけ。屋根がゼロ形ですので、影が丸く出るのでございます。ピッチの反対側にはたくさんの柱の陰。これはかなり特徴的ではないでしょうか。

 

86年メキシコW杯のマラドーナの5人抜きは、ピッチに映る不思議な形の陰(たしか空中カメラのもの)とともに世界中のサッカーファンの目に焼き付いております。この国立競技場の影も、スポーツの名シーンとともに、私どもの記憶に残っていくのでございましょうね。

マドレーヌ 国立 天皇杯 影

長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございます。

近頃めったに幸せホルモンなんてものは出ませんし、くたびれて息も絶え絶えになりがちな日々に届いた、僥倖のお話でございました。

 

それでは失礼して、いつもの「50代あるある(かもしれない)川柳」を一句。

 

“2時間のごほうび”に元気を 吹き返す

 

おあとがよろしいようで。

 

 

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