慣れないリモートワークでがちがちに固まった体を動かそうと、散歩にいそしむ日々。目に入るのは、こんな状況でも元気に育つ草花たち。
家から徒歩15分、一度も入ったことのない小道へ。そこには一軒家の小料理屋さんがありました。
店先にはテイクアウトメニューの紙が。一枚手にとりその場を去ろうとした瞬間、お店から小柄な女性が飛び出てきました。
「初めてなんですが、テイクアウトを始めることにしました」
「そうなんですね。いつまでですか?」
「とりあえずは1週間。この先どうなるかわからないですけどね…でも、うちの大将はいい素材を使って作りますから、よろしかったらご利用くださいね」
それから数日。女性の不安げなまなざしが忘れられず、微力ながら手助けを、と思い電話で注文。お弁当を取りに伺いました。
「どうですか、テイクアウトの調子は?」と投げかけると
「楽しいです。よかったらこれからもおつきあいください」と。
数日前とはまったく雰囲気が異なる、静かな中に気迫を感じさせる彼女がそこにいました。
「うちの大将は、こんないい魚を! ってぐらいいい魚を豊洲で仕入れてきてお弁当に入れるんです。でも、目利きの力を鈍らせないためにも、料理人はそれでいいんです。それに、困っている市場の人が助かるなら…」
「がんばってください。またお電話します」
胸がいっぱいになった私はそれしか言えませんでした。
そして、お弁当の美味しさにまた胸がいっぱいに。
その彼女と大将はご夫婦で、お店は2人で切り盛りしているのだそう。
テイクアウトを始めようと決めるまで、どれほど不安や葛藤があったのだろう。でも、覚悟を決めて乗り出して、いまやお客様のニーズに合わせてカスタマイズメニューまで作り始めている。頭が下がります。
ニュースで、都道府県の知事たちによる会見を毎日目にします。
その中でも心を動かされる知事とそうでない知事がいて…
その差は、「覚悟」が見えるかどうかなんじゃないか。
困難な状況でも覚悟を決めて進もうとする人に、私は胸を打たれます。
私自身は今回のことで何か覚悟を決められただろうか、と思いながらネット通販でポチった服たち。普段は地味〜な私なので、きっと皆さん驚くことでしょう。
これは私の“プチ覚悟”。「こんなときでも明るく過ごそう」と決めて選んだ服たちなのです。