大の漬物好きです。中でもとりわけ、「ぬか漬け」が大好物。
信州の実家では、毎年5月になるとぬか漬けを漬け始め、初夏から夏の終わりまで毎朝毎晩、食卓にはキュウリやナスやカブのぬか漬けが並んでいました。
最後の晩餐に何食べたい?という例のアレは、私の場合「炊き立てのごはんと信州みその味噌汁に、実家のぬか漬け」。
カブの葉のぬか漬けを細かく刻んでごはんに乗せ、しょうゆを垂らしていただくのは、わが家の人気の“ごちそう”です。
それほど好きなのにもかかわらず、今まで自分で漬けることはありませんでした。
「仕事が忙しいから」「夫が漬物嫌いだから」「東京は暑くてすぐダメになるから」…などなど言い訳はいっぱいありましたが、要は「めんどくさいから」。
でもしかし!この外出自粛期間中、ついにその時が…!
往復の通勤時間がなくなって朝晩少し時間の余裕ができ、在宅勤務中の夫もいるためやむなく(笑)夕食をつくる日が多くなり、いつもより食事づくりに手をかける時間も勇気もわいてきて、「そうだ、ぬか漬けつくろう…!(今でしょ!)」と思いついたのです。
聞けば、この外出自粛の間にぬか漬けを始めた方は少なくないとか。やっぱりね~!
私の場合は、以前、MyAgeの取材で料理研究家の酒井美香さんがおすすめしてくださった京都の料亭「祇園 ばんや」のぬか床「ぬかの花」をネットで購入。長年夢だった「自前のぬか床生活」をスタートしました。
この「ぬかの花」(900g入り一袋 税込2,268円)は、無農薬の国産玄米のぬかを使用。天然の乳酸菌や酵母、酵素、米麹に、昆布や干しシイタケだけでなく、トマトやみかん、カツオ、実山椒などたっぷりの香味材があらかじめ入っているので、自分であれこれ“育てる”手間がいらず、届くとすぐに漬け始めることができるんです。
まさに初心者にはうってつけ!
専用の補充ぬかとのセットで購入すると、水っぽくなってきたら足してぬかを調整するのに便利です。
定番のキュウリ、ナス、カブは言うに及ばず、ニンジン、大根、ミョウガ、新生姜、長芋、セロリ、新ゴボウ、アスパラガスに春キャベツ…などなど、冷蔵庫にある野菜を片っ端からぬか床へ。
20度前後の気温なら日の当たらないキッチンの片隅で、23度以上になる日の日中は冷蔵庫に入れておきます。
気温によって発酵の具合が変わるので、食べ頃のタイミングを計るのがちょっと難しいけれど、続けるうちに徐々にコツがつかめてきました。
どれも、な~んにもしなくてもぬか床さんが美味しく仕上げてくれます。
ああ、至福。
余ったぬか漬け野菜は、焼きそばやスープなどの具にしてもOK。ぬかの旨味がある分、調味料を控えめにしても味に深みが出ます。
味をしめて、漬けこむ食材を魚、肉類にも広げてみました!
まず、ぬかの風味と相性のよさそうなカジキマグロ。切り身にぬか床のぬかをまとわせてラップで包み、半日ほど冷蔵庫へ。
軽くぬかを落としてから焼くと、ふんわりほのかにぬかの香りがし、ほどよい塩味と、ぬか漬けならではの優しいコクのある味わいに。ほかになにも味付けしなくても、このままでじゅうぶん美味です。
ちなみにこの「ぬかの花」は、そのまま食べてもだいじょうぶな安心素材。ぬかを残したまま調理すれば、発酵パワーをさらにたっぷり摂ることができます。
豚ヒレのかたまり肉も、同じくぬかをまとわせラップにくるんで1日半、冷蔵庫で漬けこみました。ぬかを軽くぬぐって塩コショウをふり、オリーブオイル少々をひいたフライパンでソテーに。
こちらはぬかの香りはほとんどしないけれど、やっぱり味わいがぐっとまろやかに。あっさりしているのに、じんわり旨味が口に広がります。
そして、今回の“ぬか漬け実験室”最大の収穫は、なんといっても卵!!
やや硬めの半熟にしたゆで卵は、殻をむいて、別容器に取り分けたぬか床へ(↑上の写真は撮影用に卵を出していますが、食材がきっちり隠れるようぬかで覆うのがお約束)。
丸2日ほど漬けておくと、卵の水分が抜けてキュッとした手応えになります。塩をしなくても十分な濃い味で、ふんわり香るぬかの風味がめっちゃ美味!
わが家では、ぬか漬けにしたミョウガを刻んで一緒に食べました。
ちなみに、ぬか漬けに豊富に含まれている「酪酸菌」は、“大腸力”アップのカギとして注目の腸内細菌。
この酪酸菌が大腸の中で野菜などの水溶性食物繊維をエサにして産生する「短鎖脂肪酸」は、免疫力を維持するほか、血糖値の上昇を緩やかにしたり、肥満や糖尿病の予防といった働きもするスーパー物質なんです。
美味しいうえに健康にもいいぬか漬け…やっぱり最高!
好奇心の赴くままに、あれこれ新しい食材にチャレンジできるのもぬか漬けの魅力。今度は鶏手羽やチーズ、水切りした豆腐にも挑んでみようかと思案中です。