暑がり&ホットフラッシュもちの私にとって、外出するときの「三種の神器」(?)はハンカチ、扇子、汗拭きシート。
でもこの1年ほど、それに加えて、外出するとき必ずバッグインする品物がひとつ増えました。それは携帯用のカード型ラジオ。
このラジオを携帯するようになったきっかけは、1年前のある日、外出先でタクシーに乗ったときのこと。
乗車してしばらくすると、タクシーの運転手さんが話しかけてきました。
「お客さん、お仕事ですか?」
「はい」
「日中は外歩きされることが多いお仕事ですか?」
(??)「ええ、会社にいることも多いけど、まあ半分ぐらいは外ですかね~」
「でしたら、悪いことは言いません。ぜひ小型のラジオを買ってください。そしてそれを毎日バッグに入れて持ち歩いてください」
(????)
聞けば、その初老の運転手さんは以前、消防隊員だったそうです。あの3.11、東日本大震災のときに被災者の救護などに当たった際に、電話が通じず、インターネットも使えない災害時、いかに人がパニックに陥りやすいかを目の当たりにしたのだとか。
「被災直後は電話やネットはまず使えません。そういう状況の中で、どこに非難すべきか、どのエリアが危険なのか、食料や水はどこに行けばもらえるかといった情報を得ることは、命を守ることに直結します。
そういう災害時でも、必ず情報を流し続けてくれるがラジオなんです」
と言って、運転手さんは、傍らのポーチから名刺サイズのポータブルラジオを取り出して見せてくれました。
「こんなに小さくて軽いから、お化粧のポーチとかにも入りますよね。ぜひ、毎日持ち歩いてください。そして、できればご家族にもひとりひとつずつ、ラジオを買って渡してあげてください」
車を降りるとき、運転手さんはこうも言っていました。
「急に変なことお話してすみません。私は家電量販店の回し者じゃありませんが(笑)、きっと『持っていてよかった!』と思う日がありますから」
その週末、私はさっそく夫と一緒に家電量販店に出向き、それぞれ1つずつ、カード型のラジオを購入しました。
安いものだと3000円ぐらいからありますが、FMとAMの2バンドが聞けること、単4電池2本で最長90時間使用できること(機種によって、使用時間はかなり異なります)、軽くて持ち歩きの負担にならないことなどから、写真のSONYの名刺サイズラジオをチョイス。
厚さ約12mm、重さは約69グラムと薄型軽量。お値段1万円ほどで、ずらりと並んだカード型ラジオの中では高めでしたが、「命を守るもの」にはケチらずいいものを!!と、これに決めました。
付属のイヤホンがアンテナ替わりだということも、買って初めて知りました。念のため、単4の電池もポーチにイン。以来、通勤のバッグにはもちろん、ちょっとした買い物のときもポーチからラジオだけ取り出して、文字通り「肌身離さず」持ち歩いています。
豪雨や台風、地震など、いつどんな災害に見舞われるかわからない今の日本。自宅にも一応の避難用グッズはまとめてありますが、もし外出先で被災したときに、自分の、家族の身をどう守るか――。
あの日、運転手さんがくれた思いがけないアドバイスは、そのことを考える大事なきっかけになったのでした。