11月の夜、近所の洒落た集合住宅のあたりから「カツン、カツーン」と、不思議な音がしています。
こんな夜に暗い中で、工事でもしてるのかしら? と思いきや、音の元は空から降ってきていました。大木の並ぶ林の中に建つモダンな住戸の庇や、停めてある車の屋根などに当たって音を立てています。
近寄って、落ちてきたものをよく見ると、なんとそれは「木の実」。誰もがよく知ってる、「どんぐり」の小ぶりなものです。
「なんだ! なんか懐かしい〜」と、暗闇の中でほっこりしました。もしかしたら同じころ、全国各地の山の中や林の奥で人知れず、カツンカツーン、バラバラバラーと、木の実が降っているのかもしれません。今、まさに実りの秋、です。
よく見ると、美味しそうな実があちこちに!自然がより身近に感じられる秋の街角
10月の終わりくらいから、急に目に入るようになったのが、大小の「実」たち。
まず食いしん坊のワタシの目に入ったのは「美味しそうな実」(笑)。いわゆる「果樹」の実たちです。
花梨の実。これは10月末、選挙に行った帰りに見かけたもの。今年の「果樹初め」だった気がします
次も、秋といえば、のこの果実。ここはよく通る道なのですが、ある日突然、柿がこんなに鈴なりになっていることに気づきました。大きな実でも、意外に色付くまで気付かないんですよね。
たぶん100個以上の実がなっている柿の木は壮観。子どもの頃なら、どうやってよじ登ろうかと考えたかも(笑)
お次は柑橘系。多分柚子と、温州ミカン系?
デコボコした見かけで淡いきれいな黄色の実は、柚子じゃないかな。雨上がりなので、滴もついて、よりデコボコして見えます
立派な柚子がいくつもなっているのを見て、うらやましくなりました。なんか、ひと鉢欲しくなってしまいそうです(笑)
ぷっくりした感じなので、勝手に「みかん」と判定しましたが、のちにアプリで見たら、「だいだい」と出てきて「ほお!」と
赤い鳥はどこ?と探したくなるくらい、種類も量も豊富な「赤い実」たち
一方、食べられそうにはないものの、この時期とっても目立つのは「赤い実」。様々な木にあって、どれがどれか、見分けるのが難しいほど。
まず、驚かされたのはこちらです。
うねるような木にびっしりと実った赤い実。若冲の絵のいきり立った鶏を思い起こさせるような?(笑)すごい迫力です。
これはピラカンサ、と思われます。
すごすぎてビックリして、写真を撮りました。お散歩コースにあるこの上水あたりは、結構植生がワイルドなのが楽しいのですが、もうすぐ流れが地下化されて緑道に変わる予定…。こぎれいになるでしょうが、この風情が失われるのは残念です
これは葉っぱでわかる、南天。
いつ覚えたのか、南天だけは見分けられます
こちらは何かしら、と思ったら、「ソヨゴ」だそう。波打つ葉の明るい緑と枝の先に丸くついた実が可愛らしい!
わからない時は、写真で判定するアプリも利用。今のところは登録しなくても使える無料のものを選んでいます
ふと足元に見つけた赤い実は、今の時期、お出かけすると街にあふれるクリスマスグッズのモチーフの一つ、ひいらぎ。赤い実と葉の深いグリーンはまさに、クリスマスカラー! 意外とリアルにお目にかかることは少ないかもです。
ただよく見ると、葉っぱが四角い。調べてみたら「ヒイラギモチ」という種類でした。
日本ではクリスマス時期によく売られている、と後述の図鑑に記されていました
赤い実、いかにも鳥が好んで食べそうですよね。ふと「赤い鳥ことり〜♪」という歌を思い出しました。(そういえば、赤い色した鳥自体は、実際にはあまり見かけないよな、とか思いつつ)
鮮やかな朱色のカラスウリ、そして緑と赤の玉飾りのような可愛い実は、何?
一方、果実でも植木でもない、「草の実」の味わい深さもなかなかのものです。
この時期よく見かけるのが、この、紙風船のような実。
その名も「フウセンカズラ」というようです。
実の風船に比べて花が意外に小さくてたくさんあるのが不思議。図鑑によると、タネが可愛いということなので、いつかタネを見てみたいと思います
こちらはカラスウリ。9月に見かけたあの花が、こんなに鮮やかな朱色の実になるなんて!
植え込みを見上げたら、ハッとするほどの「朱」に出会ってびっくり。あー、あの「カラスウリだ!」と、何かすごいものを発見した気分に(笑)
元の花はこちら(下)。これは完全に開く前の姿。夜開く花なのだそうですが、完全に開いたところを見られないまま花の季節が終わってしまいました。来シーズンのお楽しみです。
前々回にご紹介したカラスウリの花(実と同じ株ではありません)は、こんなに繊細。実を割ってみたら、何か共通するものが見つかるのかしら?と思うくらいの変化っぷりですね
そんな中で、「え、これは何?」と、驚くほど可愛い実を見つけました!
ビー玉よりひと回りくらい大きい、小ぶりの「すだち」くらいの球が、横に伸びたつるから、たくさん下がっています!
緑の実と赤い実が、まるでデコレーションのように入り混じってぶら下がっている様子が超プリティー!
緑の球は、どこかスイカに似た風情もあって、赤く色づいた方は、ラディッシュのような紅色。どちらもとてもカワイイ!
葉っぱが枯れているのが目立ちがちですが、でも季節の味わいも感じられます。
コロコロと、鈴みたいに音が鳴りそうな感じもします
ググッと近づいてみました。やっぱりミニスイカみたいでもあり、クリスマス飾りの鈴やボールにも似ているようで、なんともキュート!
その日は名前も知らないまま、可愛らしさだけを写真に留めたのですが、その翌日。なんと、お花屋さんの店頭で、まさに同じ、可愛らしいその子たちに遭遇! なんてラッキー♪
その名もなんと、カラスウリの向こうを張ったのか「スズメウリ」! 正式には「オキナワスズメウリ」と言うようです。
実は夏にもなる実のようです。夏だと葉もそんなに枯れなくて、より見栄えも良いかもですが、今の時期に彩り豊かな実も貴重
名前も可愛い! そう言われてみれば、スズメの羽に混じる白い筋のような線に、この実の白い筋をなぞらえたのでしょうか。それともカラスウリより小さくて可愛らしいから? 愛らしい姿、そしてすぐ再会できたご縁に、なんだか嬉しくなりました。
何十年(笑)も生きてきて、初めて知る花や実が、まだまだあるものなんですね。
ということで、勢いづいて、久しぶりに「図鑑」を買いました。
「身近な木」や「身近な花」に特化した図鑑が出ているんですね。「お散歩シニア」向けかもしれませんが、コロナ時代のご近所ウォーカーにもちょうどいい新書サイズなのがナイスです。(ただし厚さはほどほどにありますので、ワタシにとっては帰宅後のお楽しみ用ですが)
残念ながらオキナワスズメウリは紹介されていませんでしたが、ピラカンサは「街路樹〜」の方に、カラスウリは「草花〜」の方などと、残りの植物は全てこの2冊に出ていました。
「散歩で見かける」シリーズとしてペアで出ている、『草花・雑草図鑑』と、『街路樹 公園樹 庭木図鑑』(いずれも1650円・創英社/三省堂書店)
もちろんアプリやネットも便利なのですが、やはり、系統などごと知りたいと思ったり、パラパラしているうちに他のものも目に入るのが楽しくて(新聞を紙で読む楽しみにも似ているような?)、図鑑もほしい!と思ってしまうワタシ。これでまた、日々の「出会い」がより楽しめるようになりそうです!