母が44年住んだ一戸建ての実家をたたみ、引っ越すことになりました。
庭付き、駐車場付きの一戸建てですので、かなりの荷物が潜んでいます。
転居先は集合住宅になるため、専有面積は極端に減少。
ということで大規模断捨離が進んでいて「引き取りたいものがあるか、見に来るように」と指令がきたので行ってきました。
とは言っても自分の家も大規模廃棄をしなくてはならない状況。
和ダンス、お正月の御屠蘇セット、蓋つきの和食器。
あったら素敵ですがそれを使う日々の余裕もなければ、空間的に合わないし、そもそもそんなスペースがない。
泣く泣く思い出深い「昭和」「平成」の品々に感謝を伝え、ご辞退申し上げました。
でもそんな中でも少しだけ譲ってもらったものがあります。
まずはお盆。漆塗りで直径33㎝とサイズ的にも使いやすそう。周囲の透かしも軽やかです。お盆は家族だけではそれほど使わないけれど、回数は少ないとはいえ来客時にはあると便利。でも探し回って買うほどでもない・・というところに持って来い!でした。
「この上に一輪挿しとかを載せてチェストの上に飾ってもいいな」という妄想は家の荷物を半分にしないと叶えられそうにありませんが、ふと思いついた壁にかけてインテリアにするというはすぐできそう。だったら場所とらないよね! と自分の中で決着がつきました。
こちらは直径9.5㎝、高さ3.5㎝の溜塗(ためぬり)の漆の小皿。柄がないのでシンプルで使いやすいし、何よりこれくらいのスペースなら食器棚にスペースをつくれそう。少し深さがあるので薬味や小さなお菓子を盛ってみようかと思います。
ここまで来てお気づきかもしれませんが、私、漆器が好きなんですね。
10年くらい前に日常使いのシンプルなデザインの漆器を使い始めたら手にふれる軽さ、柔らかさが気に入っていくつか買い足しました。市販の卵豆腐もいつもの親子丼も漆の器に盛るとお店のメニューのようでちょっと気分があがります。
さてここまでは実用目線でのセレクト。
でもここからは何だか気になって連れ帰ったもの。それが「こけし」です。
左は母も気に入って飾っていたもの。作家ものかと思うのですが、和み度の高いキャラクター性にぐっときて、以前から譲ってほしいとお願いしていました。着ている服も意外とおしゃれ。ついつい撫でたくなる平たい頭もチャームポイントです。
右は今回ひょっこり出てきた卯三郎こけし。作名は「春の詩」といい、椿柄のお着物を着ていますが、半襟の白が服の白襟にも見えて、パッツン前髪も手伝い、モードさんだなぁと思って連れ帰ってきました。
と、こうして並べてみると一般的なこけしは丸い頭に髪の毛も描かれているのに対して、この2体は両方ともウィッグのようにおかっぱヘアをかぶっていますね。こけし以上、人形未満なこの感じがなんだか妙に私の心を揺さぶりました。おしゃれなインテリアの家を目指したいと思いながら、プッ! と思わず笑っちゃうゆるいものも暮らしには必要ですね。