今年の桜は早く咲いて早く散るかと思ったら、意外に長持ち! アカデミー賞は堂々60代のアジア系女優、ミシェル・ヨーが、獲ったし! 今春はちょっと嬉しいことが多いかも? なんて、すぐイイ気になるワタシ。
だって、ミシェル・ヨーのスピーチ、最高だったじゃないですか!
「女性のみなさん、誰にも『あなたは人生の盛りを過ぎた』なんて言わせてはいけません。絶対に諦めないで」
(SPUR.JP「演技嫌い、大事故、二度の引退……『エブエブ』でアカデミー賞に届いたミシェル・ヨーの数奇なキャリア」より)。
映画館でもらったポストカードが、なぜかデスクの「好きなものマンダラ」的なコーナーにジャストフィット♪ めくるめく世界に時どきワープ?中(笑)
このスピーチ、まさにOurAge世代女性への、先輩からの熱いエール❣️と受け止めました。家族との葛藤や、いろんな「自分が生きたかもしれない人生」への複雑な思いもいっぱい!の、この映画がストンとわかるのは、誰よりもOurAge世代でしょ!
観てない方は、ぜひ、映画館へ。
おバカネタもたくさんある映画だから、かしこまらずに、大声で笑ったり泣いたりしながら見るのがオススメです❣️(←すぐ泣くワタシはアカデミー授賞式のキー・ホイ・クァン氏の「出」の顔見ただけでもう涙!)
こちらもグッド・ニュース! 私たちの「安心」と「尊厳」を支える法律が、良い方に変わりそう!
そんないい感じの春の中で、もうひとつ嬉しいニュースといえば、これ。
*ここから以降、一部性暴力の話題に触れますので、触れたくない方はご注意ください
「刑法改正が閣議決定に」。そんな見出しが、3月半ばに新聞紙面やウェブニュースに飛び交うのを見て、思わずガッツポーズに!
「え、『刑法』とか、ナニ堅いこと言ってるのー?(笑)」と思われるかもしれませんが、これ、めっちゃ大事なんですよね。
女性の被害が圧倒的に多い「性暴力」が正しく裁かれる方に一歩進むよ! という話。
とは言っても「じゃあそれで何が変わるのよ?」という方も多いでしょう。
ザックリ言えば、これまで不十分だったのが、だいぶマシな方に更新されて、救われる人が増えるはず、です。
同意のない性交の事件が起きた時に、加害者を裁き、正義を守るために力を発揮する、この法律。実は2017年に初の改正が行われるまで、なんと1907年から、ずーーーーーっと、「110年」変わってこなかった法律でした。それが6年前に変わったのち、期間を定めてさらに検討が進められて、その結果が今年の改正に。
やはり明治時代に建てられた、法務省の建物の前で。2021年3月のこの日は、刑法改正のための審議を応援するアピールが雨の中行われていました。手前に盛った黄色のミモザの花が、煉瓦色に映えて。(プライバシーに配慮して画像を加工しています)
明治の時代、この建物で法を論じていたのは「偉い男の人たち」だけだったはず。
でも今は21世紀。2017年の改正の前から声を上げてきた被害当事者や、当事者に寄り添ってきた法曹関係者、法律や医療の研究者など、「現場」を知っている様々な人たちが、改正の議論に加わるようになり、今回の検討にあたってはさらにたくさんの人たちが声を上げたり署名運動をしたりなどした結果、大きく動いたのです。
2017年の改正の内容を見ても、それまでよりはずっと進歩した感じでした。例えば、口や肛門での性交が性犯罪と認められた事(それまでは強制わいせつの扱いで、刑も軽かった)。その結果、身体の性が男性の人も強制性交の被害者と認められるようになったこと。(しかし、それまで「男性への強制性交はない」とされていたわけかと思うと…。涙)。
ほかにも、刑の下限が3年→5年になるなど、処罰が重くなり、「自分で告訴状の手続きをしなければならない」という「親告罪」で訴えにくかったのが、「被害届」を出す「普通」の扱いに改められたり。これも大歓迎。
でも、変わらなかった点もありました。
明治以来の刑法通り「暴力を受けて必死で抵抗したかどうか」「脅迫があったか」が、「強制性交」の判断基準であること。また「性交同意年齢」が世界の中でも若く、なんと13歳!、という点などでした。
暴行や脅迫がなくても、実際には怖くて固まったり(フリーズ)、殺されたくないから抵抗を諦めたり、まさかそんなことをされると思っていないうちに事が進んでいたり(ふいうち)、相手を怒らせることが死活問題だったから強く拒めなかった、などなど。抵抗もできない例はたくさんあるのに…。
左は2019年に刊行された、2017年改正後も残った問題点に触れた本『なぜ、それが無罪なのか!?』(伊藤和子著・ディスカヴァー携書)。帯には「2020年」とありますが、当時は確か3年でまとめる予定だったようです。じっくり検討された結果の改正なんですね。右は、刑法には直接関係ないけれど、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が出している、性教育を国際的な標準に即して進めるための指針を示した本『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(ユネスコ編・明石書店)。「暴力と安全確保」についての学びは、7つのキーコンセプトのひとつ、として、しっかり示されていて。国際的な取り組み課題なのだと思いました。
「強制性交罪」が「不同意性交罪」に。そうなると、何が変わるの?
それが、ついに、この2023年の改正で、変わりそうです!
今回の改正では、処罰要件を、「同意しない意思の形成、表明、全う」のいずれかが難しい状態とし、処罰範囲を明確にするため、その行為・状態8項目を具体的に例示しています。「いわゆるフリーズ状態」や、死活問題だからNOが言えない人に襲いかかる例=「地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる」、なども、ちゃんとそこに記載が!。
目に見える暴力でないから、と処罰を逃れていたケースがきちんと裁かれる。希望が湧いてきますよね!
そして同時に、『状況を利用して相手が本心から同意していないのに性交に及ぶと、罪になる』と広まれば、加害も被害も減りそうです。
内容に準じて罪名も変更となりました✨✨
「強制性交罪」だった名称が、「不同意性交罪」に!
世界にはこの問題について、もっと進んだ刑法を持っている国や自治体もあるけれど、従来日本では「内心の問題」と否定されてきたことを考えると、この「同意」という言葉が罪名に入ったことは、すごい進歩。(もちろん、もっと前進してほしいですが)。
まだこれをもって「『同意』のない性交は性犯罪」と言い切れるのかは、法律については門外「女」の私にはわかりかねますが、今までよりはずっと、そうした意識に近づいていくはず、と期待します。
もし、その時に「同意」って、なに? 同意なんてわかんないよ、と思った人は、最近続々と刊行されている「同意」を紹介する本たちをぜひ!読んでみてください。「翻訳本が多いね」って? そう、世界ではもっともっと「同意」の必要性が注目されているんです。
いずれもイラストが可愛くて、楽しく読めるのは共通。左から『子どもを守る言葉「同意」って何? YES, NOは自分が決める!』(レイチェル・ブライアン作、中井はるの訳 集英社)『こんにちは!同意』(ユミ・スタインズ、メリッサ・カン著、ジェニー・レイサム画、北原みのり訳 集英社)『10代で知っておきたい「同意」の話 YES、NOを自分で決める12のヒント』(文・ジャスティン・ハンコック。絵・ヒューシャ・マクアリー、訳・芹澤恵+高里ひろ 河出書房新社)
とは言え、主に男性の方から、「なんとなく不安」という声も聞こえてこないわけではありません。
「『同意』なんて、どうやって確かめればいいのかな?」「後でいくらでも変えられると思うと、するのが怖くなる」などと思いがちな人は、どうしたらいいのでしょうね? そう言われたらどう返す?
……その答えは、次回に!
近々来日する緑の本の著者、レイチェルさんに聞いてみたいと思いまーす!
そうそう、エブエブで始まったからには、最後に関連する最近の映画を2つご紹介!
連続レイプ事件を題材にしたストーリーはショッキングながら、女性たちの強さと希望も感じさせる「実話」を元にした小説の映画化。自らプロデュースしながら出演もしているフランシス・マクドーマンドは、やっぱりいつも「旬」の女性! 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」。(6月2日・金 全国公開)。
もう一本は、こちらも実話ノンフィクションの映画化、『SHE SAID その名を暴け』(1月〜公開中)。これも、ぜひ観てもらいたい作品です。題材は、映画界の権力者による、隠されてきた常習的レイプ。それを記事化するために、二人の女性とそのチームが奮闘し、困難なミッションをやり遂げる様子は胸熱&涙もの! 有名女優やスタッフなど、被害者が証言を躊躇する様子などから、被害の複雑さも理解できつつ、見終わった後は元気になれる作品。原作本も面白かったです!
ではまた次回!