最近、お腹が痛くなったことがありましたか?
毎日、自分の体と一緒に過ごしているのに、お腹が痛くなったことが、あったようななかったような。
毎日、腰をさすりながら会社に行っているのに、ひどく痛かった日がいつだったか、何をしたときに一番痛かったか‥‥なかなか、思い出せません。
自分の体調について、本当に覚えてないですよね、忙しい私たちは。
さてさて。
今回、2023年3月8日、国際女性デーを記念してApple Store丸の内で開催された「Today at Apple 高尾美穂医師に学ぶ 女性の健康とApple Watch」というセッションに参加してきました。
OurAgeでもおなじみの高尾美穂先生が登壇されたこのトークセッション。先生からはライフステージごとの女性の体の仕組みについて解説いただき、Appleからは、女性の健康にとって大切な情報を読み取る機能を持つApple Watchの機能を学んで、より良い毎日を送るためのヒントをレクチャーしてもらうというもの。
高尾美穂先生
産婦人科医 / 医学博士 / スポーツドクター
統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。文部科学省・国立スポーツ科学センター女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバー。ヨガ愛好家として多くのインストラクターを指導。動画共有サイトでは女性の悩みに答え、楽に生きられる考え方を毎日配信。
日ごろApple Watchを愛用している私としては、女性の健康管理に役立てる情報なら知っておきたいし、さらに高尾先生のお話を聞けるとなれば!と、楽しみにうかがってきました! 面白いお話をたくさん聞けたので、シェアしますね。
頑張ることは上手なのに、休むのが下手な女性たち
この日が国際女性デーだったことから「女性がパワフルに活躍していくために大切なことはなんですか」という質問からセッションがスタート。
「たぶん、頑張りすぎないことかな(笑)みんな頑張るのは上手なんですよ。1986年から男女雇用機会均等法というニンジンが目の前にぶら下がって、頑張ったら頑張っただけご褒美上げるよって言われて働いてきた世代が、私たちの周りにはいっぱいいます。見ていると、頑張ることは上手なんだけど、自分を休ませることが下手。リラックスをすることとかを意識してやってこなかった方が多いかな。
それで、ずっと走り続けていけるのであればそれでいいんだけれど、だいたいガス欠になるんですよ。そうならないためには、何が必要かっていうとリズムなんです。メリとハリ。頑張るところとリラックスするところ。そのリズムがあるからこそ、ある程度快適な状態を維持しながら、やりたいことにはしっかりと集中できる。そういったサイクルが必要なのだろうなというのはいつも思っています。
頑張りすぎていないか。たまに自分を俯瞰するといいのかな、と思います。
ウーマンエンパワーとか、いろんな言葉が私たちを後押ししてくれるけれども、背中を押してくれる力と一緒に必要なのは、自分が走っていく力。自分が走るためには、自分自身の”思い”とある程度の”健康”が必要です。
健康も全部が全部オールAでなくてもいいわけ。イマイチなところもあるけど、それ以外のところはOKくらいでいい。そういう状態を維持しながら、自分が目指しているゴールにたどり着けるかを考えていくことが大事です」(高尾先生)
意識的に、自分をチャージする時間をつくろう
なるほど~。もともとぐうたらなスージーは「頑張りすぎてないか」と俯瞰すると、よりゴロゴロしちゃいそうですが。客観的に見てみて、自分なりのリズムを作ろうとしたとき、気になるのは時間の使い方。
「人に本当に平等に与えられているものって、時間だけなんですね。ガス欠しないように生活のリズムを作って時間をどういうふうに使うのかを考えることが大事です」
高尾先生が時間の使い方で大切にしているのは「しないことをはっきりと決める」ことだそう。
「うちはテレビがないから、見ていていつのまにか時間がたってしまうということが少なくともないんです。インターネットとの向き合い方も、検索と発信用と決めています。しないことを決めることでできた時間で、チャージする時間を作っています。本を読むとか、そういった時間を維持できるようにしたいですね」(高尾先生)
1日24時間のスタートを「睡眠」からにしてみては
好きなことをするなどの心のチャージのほかに、もう一つ、体のチャージ、「休息する、眠る」ことも大事なことだと高尾先生。
ここから、Apple Watchで睡眠を記録する話題に。ちなみに、私も睡眠を記録しています。
「人間は、起きているときのことはわかるけど、寝ているときのことはわからない。そこに興味を持って把握しようとするのは、すごいことですよね。
私たちは、つい、やることをやって残りの時間を睡眠に当てがちだけれども、それでは日中調子が悪いよねと感じている人がいるはず。それならば、睡眠時間をメインに1日を考えてみる。睡眠をがっつりと取れれば調子がいいわけだから、24時間を眠るところからスタートする、という考え方をすれば日中の質が変わってきます」(高尾先生)
良い活動時間を得るには、眠っている時間を良くすること、大切にすることがすごく重要。眠っている間がどういう状態だったかの記録と、次の日がどんな状態だったかという経験が蓄積されていくと、自分自身の睡眠と活動の相関関係がだんだんとわかってくるそう。
確かに「よく眠れたな~」と思って、睡眠記録を見ると「深い眠りの期間がいつもより長い」と思うことがあります。逆に、疲れがとれず朝を迎えときは、一晩の中で何度も眠りが浅くなっていたりすることも。
睡眠をどうとるかと考えることは、1日をどう過ごすか、ひいては時間をどう使うかと考えることと一緒なんですね。
大人の女性も、体調の変化を記録しておこう
セッションは、高尾先生による「女性のライフステージ」の講義へ。
「女性の人生は、ホルモンに揺さぶられる人生。年代が変わっても、揺らぎ続けるのが女性の体です。毎日、感覚が違っていて、毎日、ほぼ同じ体調という女性はあまりいないですね。
様々な年代を経て、更年期を迎えると体も心も大きく変化していく。なんとなくメンタルが弱っていく。更年期が最も揺らぎの時期ですが、何年か過ぎると凪の時期がやってきます。
凪の時期は凪の時期で、困ることも起こる。女性は、女性ホルモンに守られない体で、30年~40年生きなければいけない。こんな風に女性の体はそれぞれの年代で、いろいろな困ったことが起こる可能性があるにもかかわらず、私たち女性っていうのは本当に困った状態になって、はじめてどうしようって、悩んだりするんです」
高尾先生は、すっごく困った状態になるまで我慢しないで欲しい、自分の体調の変化を知っておいて欲しいと言います。
そこで、やっておきたいことは「記録」です。
「私たちは、過去のことをすぐに忘れちゃうんですよ。不調を繰り返すというのが、受診をする目安だと思いますが、記録をしていないとそれもわからない。記録ってすごく大事なんです。今がつらいんなら、つらいことを記録しておくんです。
女性は、月経があることで、つらい時でもどうにかやり過ごせばなんとなるという経験を知っている。でも、私は、その我慢するっていうのがもったいないと思うんです。調子よく過ごせるのであれば、どれだけのことが可能か、時間って本当の意味で限られている資源。そう考えると自分自身の調子が悪いことを記録して、誰かに相談してみることに意味があるんじゃないかなって思っています」
先生の医院に外来で来る方は、体調のデータを持ってくる方がすごく多いそう。
「外来で来たときには、子宮の大きさ、卵巣の大きさはチェックできる。子宮頸がんの検査もできる。けれど、その日には結論がでないことが多いです。受診した日は『つくり』の問題はわかります。一方で『働き』の問題に含まれるのが、ホルモンの変化、自律神経の変化とかです。これらに関しては、その日その場で私と対面した状態で知ることができる情報っていうのは、ほとんどない。過去のことがわからないと、未来のことは言えない。そう考えると、それ以前の記録というのがすごく大事です」
体調記録は、自分の生きたい人生を送れるかどうかの指標になる
そして、病院に行くほどの大きなサインでなくても、毎日のちょっとした変化を記録しておくことは「自分の生きたい人生を生きられるかどうかのベースにもなる」と高尾先生。
「自分で自分の健康を把握しておくことは、これからの社会において絶対に必要です。たとえば、体温。睡眠。ちょっとした不調。ほてりがあった、夜中に目が覚めた、どのくらいの頻度であったのか、記録してみてください。困ったことがあったらなんでも記録しておくといいです。ムリなく賢く自分の状態を把握するには、いろんな方法を用いればいいと思っています。Apple Watchのようなデバイスでも、何でもいいと思いますよ。
記録をしていれば、変化に気づいたときに医師に相談しやすくなります。人生を共に走っていくために大切なデータになります」
私たち女性には、月経があって、妊娠や出産、更年期と目まぐるしく変化していくにも関わらず、閉経の時期になると「記録」を忘れがち。
やりたいことをやって、充実した毎日を過ごすためには、体の持つ周期がわかりづらくなっても「体調の記録」がいかに大切かということを、教わった日となりました。
私のApple Watchちゃんに活躍してもらって、さらに体調記録をしていきたいと思います。
最後におまけです。
セッションのあと、高尾先生に突撃取材をさせていただきました。
スージーからの質問は「先生のチャージタイムとは?」
「よく眠るためには、ベッドはひとり1個。できれば、同じ部屋にほかの人(猫&ワンコ)がいない、のがいいと思います。
ですが、実は私は猫ちゃん3匹と一緒に寝ておりまして(笑)、ゴロッとした状態で手を伸ばしたときに、猫をさわるのが私にとっては癒しの時間です。
あとはお風呂に入るのが好きです。昔から、馬上、厠の上、枕の上。このタイミングがいろんなアイデアが浮かんでくると言われていたように、私にとっては、お風呂がいろんなものが自分の体から離れて行ってフリーになって新しいアイデアが生まれてくるようなタイミングなんですよね。そういう時間を大事にしてます。なので、体を休めるって言ったときに、ゆったりとした休み方と、アクティブな休み方と両方があるといいのかなと思います」
終始笑顔で、語りかけてくれるパワフルな高尾先生は、リラックスの達人でもありました。
参考に、記録のイメージ写真もつけておきます。