中野サンプラザの思い出と街のようす
7月2日をもって50年の歴史に幕を閉じた中野サンプラザ。
50年で老朽化とか言われちゃうと、さらに年上の身としてはせつないものがありますね。駅前の再開発で、どこも同じようなおしゃれタウンに変身してしまうのも残念ですが、時代の波には逆らえません。
中野駅北口徒歩2分、印象的な三角形のビルの2階にあるホールは2222席という、ほどよい大きさで、ロックバンドもアイドルも演歌も外タレも、さまざまなコンサートが催されてきました。
ユニコーン、スガシカオ、真心ブラザーズ、郷ひろみ・・と、私にもいくつもの思い出が。
音響にこだわりのある山下達郎さんが愛したホールとしても有名で(実際には「終演時間の融通が利くから好きだった」とラジオで話していましたが)、私も一度だけ達郎さんのライブを観たことがあります。
その時、私の大好きな浜田省吾さんがソロになる前に在籍していた愛奴(あいど)というバンドのデビュー曲『二人の夏』をカバーしてくれたのは非常に嬉しい驚きでした。
意外にもこの二人、同じ学年でデビューも近く、最初は売れなかったことも、ソロでブレイクした時期も、ずっと活動し続けていることも似ていて仲が良く、同志のように感じているのだとか。そんなMCも心に残っています。
解体が決まったサンプラザでは、5月3日から最終日7月2日の山下達郎さん(43年間で、この日が97公演目という最多出演者)まで「さよなら中野サンプラザ音楽祭」が開かれていました。
ライブ前に少しだけ街ブラしてみると、サブカルの聖地「中野ブロードウェイ」には
垂れ幕やら
ポスターやらが、あちこちに。
サンプラザのお隣りにある中野区役所の壁面も、音楽祭を盛り上げていました。
音楽祭のラインナップは、こちら。
五木ひろし、モーニング娘。’23、サンボマスター×銀杏BOYZ、アニソンDJイベントなどなど連日繰り広げられるライブの出演者を見ると、日本の音楽業界を丸ごと受け入れてきた、とても大切なホールだったことがわかります。
実は、私の心のヒットチャートNo.1のバンドACIDMAN も、5月20日にSPECIAL OTHERSというインストバンドと対バン出演する予定だったのですが、メンバーのコロナ罹患により公演中止に(泣)。
もちろん振替公演などあるはずもなく、ソッコー払い戻し。2列目という超良席をゲットしていただけに悲しみもひとしおでした・・。
いざ、奥田民生さんのライブへ!
というわけで、もう1枚、取ってて良かった奥田民生さん!
会場のロビーには、寄せ書きコーナーや、
出演者のサインを展示した大きなボードなどなど。
こちらは民生さん(右側のOとTを重ねたマークが目印です)とバンドメンバーのサイン。
サンプラザを略しているのか、敬意を表しているのか(?)、MCでもずっと民生さんは「中野さん」と呼んでいました(笑)。
私がいた2階席は、いつもより少し年齢層が高めなイメージ。近所に住んでいたり、最後のサンプラザに来たかった的な人もいるようで、ご夫婦連れやソロ男性客も多かったです。
私は「ひとり股旅」と名付けられた民生さんの弾き語りライブが好きで、2004年の広島市民球場も2015年のマツダスタジアムも観に行ったほど。
話は脱線しますが、その2004年の秋、私は会社を2日休んで5連休にしていました。
10月30日(土) 民生さん@広島市民球場 → 11 月1日(月) BUMP OF CHICKEN@神戸チキンジョージ → 2日(火) THE BOOM@大阪フェスティバルホール → 3日(祝・水) ACIDMAN@大阪なんばハッチという、好きな人だらけのライブ遠征ツアーで、あとはスピッツが入っていたら完璧だったなぁ・・と思っていたら、なんと!
31日に広島から神戸に移動する新幹線の中で、やはり民生さんを観に来ていたという草野マサムネさんに遭遇したのです!!
マジで奇跡。ロイヤルストレートフラッシュ事件として、後世まで語り続ける所存です(笑)。
すみません。サンプラザの民生さんに戻ります。
「ひとり股旅」や、おじさんたちがワチャワチャと楽しそうなユニコーンやカーリングシトーンズは観ていたのですが、バンドでソロの民生さんを観るのは久しぶり。
1曲目『人間2』のピリリとしたロックな民生さんにやられました。
歌声は、ますます力強く、タバコもお酒も好きなのにこの声をキープしてるって、どれだけのどが強いのかと、つくづく感心します。
そして演奏をし終えたあとにギターフレーズの練習(おさらい?)をしてみたり、緩くてマイペースなMCとカッコイイ演奏のギャップがたまらなかったです。
特に『The STANDARD』と『最強のこれから』が胸に沁みました。
本編最後に『さすらい』はあったものの、『イージュー★ライダー』や『愛のために』など誰もが知ってる曲で新規のお客さんサービスをすることもなく、「さよなら音楽祭」であろうと自分のツアーのように平常運転な民生さんもまた、らしいなぁと思いました。
終演後は久本雅美さん行きつけの「ビストロ トランク」で、がっつりフレンチを堪能
終演後は、サンプラザとは反対側の南口徒歩2分、レンガ坂の途中にある「ビストロ トランク」さんへ。
たくさんの飲食店が立ち並ぶレンガ坂の入口も、
反対側も、やはりサンプラザへの別れを告げていました。
「ビストロ トランク」さんは、『人生最高レストラン』という番組で久本雅美さんが紹介していて、ずっと行きたいと思っていたお店です。
2階にはテーブル席もあるようですが、私は1階のカウンター席へ。
お店の方はみなさん親切で感じがよく、最初に頼んだスパークリングワインは、こんなになみなみと!
料理はどれもおいしそうで、迷いに迷ってアラカルトの組み合わせを決めきれなかった私はビストロコース4500円をオーダー。
アミューズは自家製のレモンバターと胡椒をつけて食べるブリオッシュ。
冷前菜の本日のサラダは「生ハムと河内晩柑(かわちばんかん)」。フルーツを使った料理の、甘じょっぱ酸っぱい感じ、大好物です!
温前菜の「ブランダード」は、写真がめっちゃブレてました。すみません。真鱈とジャガイモのグラタンです。
メインは「山形県産山形豚ロースのロティ」。
デザートは久本雅美さんも大好きという「ゴルゴンゾーラのチーズケーキ」。蜂蜜とコショウを付けて食べるのですが、確かに絶品!
それにしてもこれ、どう考えても夜の9時から食べるボリュームじゃないですよね?
でもおいしくてペロペロリ。あぁまた、幸せだから許してしまいました。自分に甘すぎる私です。
遅い時間まで営業しているし、ライブ終わりにまたぜひ・・って、中野サンプラザはもうないじゃないですか!
2028年には7000人収容のホールに生まれ変わるそうなのですが、さすがにそこまで待てないので、今度はもっと早い時間から「ビストロ トランク」目当てに来るしかないなと思ったのでした。