久々に平日オフだったある日、広尾に出かけました。目的は、とある展覧会を観にいくこと。駒沢通り沿いに、こんな美術館があったんですね。
山種美術館は日本画専門の美術館です。こちらで7月7日まで開催中なのが
【特別展】「犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」
という展覧会。
リリィとララァという姉妹猫(略してリリララ姉妹)と暮らしている私は、基本“猫派”。でも猫と生活するようになって、逆に犬の可愛さもわかるようになりました。正直、ツンデレで自分の食事のことしか考えていない(ように見える)猫に比べて、犬の方が人間に寄り添ってくれるというか、賢いというか。でも犬は散歩があるからなぁ、一人暮らしにはやっぱり猫がラクなのよねぇ。そんなことをグルグル考えながら、犬と猫をテーマにしたこの展覧会を楽しみに訪れました。
平日の午後というのに、かなり混みあう館内。やっぱり「犬派?猫派?」問題はみんなが気になるところ?近年のペットブームもあり、特に犬と猫はもう私たちの大切なパートナーなんですよね。
さて、この展覧会で撮影OKだった犬と猫の作品をお見せしましょう(ブログへの掲載許可も得ています)。
長沢芦雪≪菊花子犬図≫個人蔵
竹内栖鳳≪班猫≫【重要文化財】山種美術館
ん-、むむっ!なんかちょっと…2点をもっと寄って見てみましょう。
ん-…なんか、犬は可愛いのに、猫はちょっとコワくない⁉
それが、この展覧会を全部観終わった後の感想でした。上の2点に限らず、全体的に「犬は穏やか、猫は不気味」な印象を受けました。あくまでも私の感想ではありますが。
たとえば芦雪の師、円山応挙が描いた≪雪中狗子図≫(個人蔵)という絵も展示されていましたが、その子犬たちの可愛さといったら…ズルい!あざとい!と言いたくなるほどの愛らしさ。図録をお見せしたらきっと同意してくれるはず。応挙の子犬図は当時から人気を博していたそうで、そうでしょうとも、こんなあざと可愛い絵なら、と猫派としてはひがみたくなるほど。
で、応挙はいいんだけど芦雪さーん!私、あなたの「虎図襖」が大好きで、ゼッタイ猫派だと思ってたのに…。
↑2017年に愛知県美術館で開催された「長沢芦雪展」の広告ボードです。これが芦雪の代表作「虎図襖」。残念ながら行けなかったので記念にパチリ
長沢芦雪の描く動物たちはどこかユーモアがあって、それがとてもコミカルでモダンに感じていました。なんだけど、この子犬たちのあどけなさ、キュートさは何だっ!みんなで遊びまわってコロコロ転げまわっているのが目に浮かぶなんて…か、可愛いじゃないか。そんなわかりやすい愛らしい絵を描くなんて、もう私の知っている芦雪さんじゃない。ズルいっ!
と、なんだか推しのアイドルが結婚してしまったかのようなプンスカぶりですが…。この展覧会に展示されている絵を観ていると、犬は(特に子犬は)コロコロと可愛らしく、表情も穏やかでフレンドリー。猫は無表情でちょっと不気味。いつ獣として襲ってくるかわからない危険性を秘めている。そんな気持ちになります。
犬の方がやっぱり人間の役に立って、近くにいるぶん、親しみやすくて穏やかに描かれるのかなぁ。そういえば図録には、好んで猫を描いた画家・藤田嗣治の言葉が掲載されていました。
「猫を友達にする訳は、猫は野獣性と家畜性との二つの性質を持っているので、そこが面白いと思うのである」
「猫に猛獣の面影のある所がよいのである」
人間の常によき友になれる可能性が高い犬と、仲良くなってもどこか油断ならない猫。どちらの個性も魅力的です。やっぱりどちらか選ぶなんて、ナンセンスよね、と思いながら帰宅。家ではいつものようにリリララ姉妹が…
くーーーっ、可愛いじゃないか!結局、自分のパートナーがいちばん可愛いってことなのですよね。結局、親バカってことなのですよね。失礼いたしました。
【特別展】「犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」は7月7日まで開催。犬派の人も猫派の人も、そうでない人も、お時間あったら観てみてください。そして、あなたはどちら派?この難しくも楽しい問題について、ちょっと考えてみるのはいかがでしょう。