きりっとした上司や頼りがいのある母親役で、ドラマに映画に引っぱりだこの真矢ミキさん。
話題の映画『九十歳。何がめでたい』では作家・佐藤愛子さんの娘・響子さんを演じている。
2024年の今年1月には還暦を迎え、体や心の変化にも敏感になったとか。
個性的なドレスがお似合いの真矢さんに、元気の秘訣を聞いてみた!
(草笛光子さんや自身のお母さまについて語ったインタビュー前編はコチラ)
撮影/富田一也 ヘア&メイク/平 笑美子 スタイリスト/佐々木敦子 取材・文/岡本麻佑
真矢ミキさん
Profile
まや・みき●1964年1月31日生まれ、大阪府出身。1979年宝塚音楽学校に入学。1981年宝塚歌劇団に入団。1995年花組トップスターに就任。個性派スターとして人気を集め、「ヅカの革命児」と呼ばれたことも。1998年に退団後は俳優として、ドラマ・映画・舞台など幅広い分野で活躍。2017年『高等学校卒業程度認定試験』に合格している。近年の出演作に、Netflix映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』、ドラマ『TOKYO VICE SEASON2』『ブルーモーメント』、近著に『いつも心にケセラセラ』(産業編集センター)など。
これからは、自分の体の声に敏感に
「私は30代から今までずっと、年に1度は人間ドックで徹底的に調べてもらっていましたし、それとは別に婦人科の検診も受けていました。
『私の体どうですか?』って、まるで放り投げるみたいに診ていただいて、『プロに任せているんだから大丈夫だろう』と安心していました。
でもね、50代中盤くらいから秘かに思っていたんです。『もっとちゃんと自分の体が発してくる声に耳を傾けるべきなんじゃないか』って」
体の変化は、少しずつ。ちょっとした違和感をそのままにしないことが、大きなトラブルを防ぐことになる。
「最近も、少し目がショボショボするので、眼科に行きました。
夜更かししたりすると、視界の端っこがキラキラッとするときがあって。調べてもらったら、緑内障とか白内障ではなく、ドライアイだという診断でした。
でもその検査がなかなか恥ずかしくて。リトマス試験紙みたいな小さな紙を、先だけちょっと折って、下まぶた近くの白目あたりにチョンと置かれるんです。目から2センチくらい紙が出ているような状態で、あまり瞬きもしちゃいけなくて。
そのまま15分、いったん診察室から出て待合室で過ごしたのですが、いろんな人がそこを通るときに、私を見て一瞬、ビックリするんですよ。ふざけてるんか?みたいな(笑)」
深刻になりすぎず、ちょっと面白がりながら、自分の健康と向き合っている。思えば更年期も、そうやって乗り切っていた。
「その頃1度、婦人科でホルモン検査をしてもらったことがあります。やっぱりエストロゲンとか、大事なんですね。
そのときは『ホルモンが出てないのなら、入れてみよう』と、自分の体で実験しているみたいな感じで。体調が落ち着いたらやめましたけど、そういうの、わりと好きなんです」
ホットフラッシュもあったけれど。
「なんかこう、自分の体が壊れた家電のようでした。
海外に行くと電圧が変わるから、変圧器が合ってなかったりすると、カーラーの持ち手が熱くなるのに先が冷たいとか、あれと同じような。自分で体温調節がきかない。
でも私、性格がアバウトというか。『みんなが言っていたホットフラッシュというのは、これか!』って。楽しむわけじゃないけど、『これね! わかった!』という感じで即、受け入れていました。
おめでたい性格なんでしょうね(笑)。ビクビクしてもしょうがない、どうせ体験するものなんだからって」
この大らかさが、更年期を乗り越える助けになったのかも。ちなみに健康維持のために薬などにはなるべく依存しない主義だそう。
「ちょっと思うところがありまして。自分自身の治癒力を高めていきたいんです。
例えばどこか痛いところがあるとして、その痛みは体の発するSOSですよね。それを薬で勝手に止めてしまうのは、便利で痛みも取れてありがたいけれど。
その痛みには理由があるはず。頭痛がするけど、もしかしたら肩が凝ってるからでは?と考えてみたり。まずは体の声をちゃんと聞こうと思い始めました。
私なんて、たいていは運動不足です。運動不足によって頭痛がしたりするんですよ」
それと同時に、食生活も見直し中。
「体の循環をよくするために、野菜をたくさん食べてます。山盛りのサラダをいただけば肌も透明感が出て、本当に気持ちよいです。
旬の食材も大好き。大好きなサラダを大好きな鮮魚と一緒にあえて、いつでも食べられるようにしておこうと思っています。
昨日もホタテとむきエビを一瞬サッと茹でて、それを切ってあえて最高!って感じでした(笑)」
始まったばかりの60代、実は真矢さん、楽しみにしていることがあると、エッセイに書いている。
80代で亡くなられたお母さまが、晩年に口にしていた言葉。
「人生、60代が一番楽しかったわ」
どんなふうに楽しんでいるのか、また今度、教えて下さいね!
『九十歳。何がめでたい』
数々の文学賞を受賞してきた作家・佐藤愛子さんのベストセラーエッセイを草笛光子さん主演で映画化。90歳を過ぎて断筆宣言したものの、ウツウツとした日々を過ごしていた佐藤愛子(草笛光子)のもとに、中年の編集者・吉川(唐沢寿明)が執筆依頼にやってくる。歯に衣着せぬストレートな文章で世の中の矛盾を突くエッセイは意図せず大好評となり、愛子の人生は大きく変わっていくのだが・・。真矢ミキさんは佐藤愛子の娘で共に暮らす響子を演じている。
2024年6月21日(金)より全国公開
製作幹事:TBS 配給:松竹
原作:佐藤愛子「九十歳。何がめでたい」「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」(小学館刊)
監督:前田 哲 脚本:大島里美
出演:草笛光子 唐沢寿明 藤間爽子 木村多江 真矢ミキ
Ⓒ2024 映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館