映画『君の忘れ方』で主人公の母親役を演じ、鮮烈な印象を残す南果歩さん。
「健康オタク」を自認するだけあって、常に情報を更新し、生活に取り入れている。
エクササイズも健康法も、やればやるだけ人生は楽しくなるようで…。
(悲しみとの向き合い方について語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/露木聡子 ヘア&メイク/黒田啓蔵(K-Three) スタイリスト/坂本久仁子 取材・文/岡本麻佑
南果歩さん
Profile
みなみ・かほ●1964年1月20日、兵庫県生まれ。84年、映画『伽耶子のために』で主演デビュー。『夢見通りの人々』(89)でエランドール新人賞、同作と『螢』(89)でブルーリボン賞助演女優賞、『お父さんのバックドロップ』(04)で高崎映画祭最優秀助演女優賞を受賞。近年は海外ドラマ「Pachinko パチンコ」(AppleTV)、韓国映画『そばの花咲く頃』、台湾映画『アドレナル Adrenal 腎上腺』など、国内外で幅広く活躍。絵本『一生ぶんのだっこ』(講談社)、エッセイ『乙女オバさん』(小学館)がそれぞれ好評発売中。
ピラティスとグルテンフリーに挑戦中です
南果歩さんはOurAgeのインタビューに登場するたびに、あれこれと健康のヒントを教えてくれる。
「本当に健康オタクなので、私(笑)」
体に良いという情報をキャッチすると、迷わずあれこれ試してきた。
エクササイズに関しては、ずいぶん前からパワー・ヨガを精力的にこなし、筋力トレーニングも地道に継続。そして、最近は?
「ピラティス、始めました! つい最近、2カ月ほど前からです。ピラティスはまだ、やっていなかったんですよ」
うわっ、またもや新たな挑戦ですか?
「ヨガと筋トレだけで、いっぱいいっぱいだと思っていたんです。それ以外にやる必要あるかな? なんて思っていて。
でも体験で行ってみたら、これはまた別物のトレーニングだなと思って。マシンピラティスの教室なんですけど、やっていると自分の体と向き合っている実感があります。
ヨガや筋トレとは違う筋肉にアプローチするんですね。あ、今まではここの筋肉が伸びていなかったんだなって、発見があって楽しいです」
とはいえ今まで定番だったヨガも筋トレも、止める気はさらさらない。
「今日は何にしようかなって、選んで行ってます。この2週間はピラティスにしよう、とか。あれこれ選択肢がある中から今の自分に必要なものを選ぶのが好きですね」
食生活にも、新たな変化が。
「家の中では完全なグルテンフリーになりました。外食のときはそんなこと忘れて何でも食べますけど、家の中はほぼほぼ。
パスタは玄米パスタか、雑穀で作った麺をパスタ代わりにするとか。パンも米粉パン。自分で米粉蒸しパンを作っています」
何事にも臆せずチャレンジ、良いとなれば迷わず継続するのが、南さん。
「以前から買っていた米粉パンが手に入らなくなって、どうしようかなと思ったときに、インスタでグルテンフリーの米粉レシピを発見したんです。で、自分で作ってみたら、簡単なの!
材料は米粉と豆乳か絹ごし豆腐で、甘みは蜂蜜だったりてんさい糖だったりアガベシロップだったり、その時々で。ほんのちょっとベーキングパウダーを入れて混ぜて、レンジでチンすれば5分くらいでできちゃうんです。
朝、できたての蒸しパンを食べてます。おいしいの! ふわふわで軽いし、ふくらんでいるから食べ応えがあるし、ジャムをつけてもいいですね」
グルテンフリーにして、その効果は?
「劇的な効果はありませんが、たぶん、疲れにくくなっているんじゃないかな」
野菜はなるべくオーガニック。腸内環境を整えるために、植物の酵素も北海道から取り寄せている。そのおかげか、健康状態は今、絶好調。
問題があるとすると?
「睡眠ですね。私あまり寝ないんです」
平均睡眠時間は?
「5時間くらい。いわゆるショートスリーパーですね。なぜかというと、起きているほうが好きなんです。起きているほうが、楽しいことがあるでしょう?(笑) 夜が明けるまで起きていたいタイプです。
でも、ベッドに入るのが嫌なだけで、ベッドに入るとすぐ寝ます。途中で起きることもない。朝ぱちって目が覚めて、すぐに1日を始める感じ。
たまに7時間くらい寝ることもあるんですけど、そうすると『すっごい寝た!』って感じます。健康のためには良い睡眠を適度に取るのが一番だと思うんですけど、そこだけはまだまだヘタです」
起きるとすぐに活動開始。3匹の愛犬たちと、朝のお散歩へ。
「この3匹は私の心の健康にすごく役立ってくれています。もうね、動物を飼おうか迷っている人には、本当にお勧めしたいです。
お散歩とかご飯の世話とか、確かに手間はかかりますけど、一緒にいるだけで、それ以上のものをもらっています」
そういえば、映画『君の忘れ方』の主題であるグリーフケアも、キーワードは「一緒にいる」こと。
相手が今、ここにいても、いなくても。相手が人間でもペットでも。相手が存在しても、しなくても。時間が経っていても、距離は遠くても。「一緒」はパワーを与えてくれる。
「私、以前がんを経験して、そのとき以来、がんサバイバーの友達のことをキャンサー・フレンド、『キャン友』と呼んでいます。
昨年、一人のキャン友さんが、『もう治療方法がない』ってお医者さんに言われたんです。私には何もできないけれど、毎日彼女にLINEを送り続けました。でもある日を境に返事がこなくなって…。
その後、その方の娘さんから訃報が届いたんですけど、『母は毎日本当にうれしそうに果歩さんからのLINEを開いていました』という話を伺いました。
私、何もできなかったけれど、彼女の気持ちには寄り添えたのかなって思えました」
自分にできることを、寝る間も惜しんで探して選んで楽しんで。南果歩さんの元気は、明日も続く。
『君の忘れ方』
最愛の恋人(西野七瀬)の死を受け止めきれずに、飛騨にある実家に戻った昴(坂東龍汰)を、医師である母親・洋子(南果歩)は静かに見守る。洋子自身、昴の父親である夫の命を通り魔による殺人で突然奪われた経験があった。やがて昴がグリーフケアの会に参加するとそこには、さまざまな方法で自らの哀しみを乗りこえようとする人たちがいた…。
1月17日(金)より、 新宿ピカデリーほか全国公開
配給:ラビットハウス
原案:⼀条真也『愛する⼈を亡くした⼈へ』(現代書林・PHP 文庫)
監督・脚本:作道 雄(さくどう ゆう)
エンディング歌唱:坂本美雨
出演:坂東龍汰 西野七瀬 津田寛治 岡田義徳 南 果歩
Ⓒ「君の忘れ方」製作委員会2024