固定観念に縛られず、柔らかく、しなやかな心で生きるという禅の教え「柔軟心(にゅうなんしん)」という言葉から、物の命を大事にする心得を、曹洞宗徳雄山建功寺(とくゆうざんけんこうじ)住職の枡野俊明さんに教えていただきました。
部屋の乱れは心の乱れ
禅に学ぶ、片づけの極意
禅の教え 柔軟心
こうでなければいけないという固定観念に縛られず、柔らかく、しなやかな心で生きる。それが、豊かに生きることにつながります。
<心得>
柔軟な発想で物の命を大事にする
手放そうと決めたものの、いざとなると、「とても気に入っていたのに」とか「思い出深い品だから」などと、躊躇してしまう場合もあるでしょう。
すべての物は、縁あってやってきた物。ですから、「大切にしたい」という気持ち自体は、すばらしいと思います。
ただし、クローゼットや押し入れの奥底に眠らせたまま、何年も使っていないとしたら、それは、“物の命”を生かしていないということ。それこそ、もったいないと思いませんか?
手放す=捨てることではありません。まずは、本来の用途では使わない物を、別の用途で活用できないかを考えてみましょう。客用にとしまい込んでいたグラスを花瓶として使ったり、古い服をリメイクしてバッグにしたり。柔軟な発想で、他の物に見立ててみるのです。
それが難しければ、必要な人に譲るのも一案です。リサイクルショップやフリマアプリなど、便利なシステムがいろいろあるでしょうから、上手に活用してください。
そうやって、物に新たな命を吹き込んでやることが、縁あってやってきた物を大切にすることだと思います。ゴミとして捨てるのは、最後の手段です。
教えていただいたのは
枡野俊明住職
Shunmyo Masuno
1953年生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺(とくゆうざんけんこうじ)住職。庭園デザイナーとして国内外で活躍し、多摩美術大学環境デザイン学科教授も務める。『片づける禅の作法』(河出文庫)、『限りなくシンプルに、豊かに暮らす』(PHP文庫)など著書多数
曹洞宗徳雄山建功寺
神奈川県横浜市鶴見区馬場1-2-1
※毎週日曜7時~8時坐禅会を開催(現在休止中。再開についてはHPで確認を)
撮影/福知彰子 取材・原文/村上早苗