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デザイン大国、フィンランドの秘密がわかる展覧会へ

新谷麻佐子

新谷麻佐子

あらたに・あさこ●イラストレーター&編集者。2014年にムーミンの作者トーベ・ヤンソンが暮らした島「クルーヴハル」に、友人でライターの内山さつきと1週間滞在したのをきっかけに、kukkameri(クッカメリ=フィンランド語で「花の海」の意) を結成。以後、フィンランドの小さな町や四季、暮らしと文化をテーマに取材を続けている。著書に『とっておきのフィンランド』『フィンランドでかなえる100の夢』(ともにダイヤモンド社)がある。http://kukkameri.com

ポスター、写真、ガラス、陶器、ファブリック……

豊かな自然が生んだ、美しいデザインの数々

 

東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル」に行ってきました! 開催前から北欧好きはみんなそわそわ。私も「早く行きたい!」という気持ちを抑えるのが大変で(笑)。でも時間に余裕をもって行きたくて、12月の仕事や年末の雑務を乗り越えてからのんびりと訪れました。

 

まずは、美しいポスターがお出迎え。写真の左奥に写っているものがポスターです。

フィンランドデザイン展

 

1950〜60年代はフィンランドデザインの黄金期。フィンランドの美しい自然を描写したポスターがたくさん生まれました。フィンランドを一度でも旅したことがある人ならわかるヘルシンキ大聖堂と港の風景、豊かな森と湖、そしてそこに生きる動物たちが、美しく、時にユーモラスに描かれています。

 

ポスターと一緒に展示されていたのが、フィンランドの自然が飾ることなく映し出された写真。展覧会全体を通してみるとわかるのですが、どの時代も、そしてどのジャンルのデザインも、フィンランドの人たちにとって、自然は絶対的なインスピレーションの源でした。

 

フィンランドを代表する建築家でデザイナーのアルヴァ・アアルトもまた自然に魅せられたアーティストのひとり。彼の代表作のひとつ、有機的な曲線が特徴のガラス花瓶シリーズ、通称「アアルトベース」は、木製の型に流し込み、吹きガラスで作られています。花瓶の隣に写っているのが、その木型です。

 

 

元々はヘルシンキの高級レストラン「サヴォイ」のためにデザインされたものですが、今ではイッタラより一般販売されているので、私たちも購入できます。私も大切な友人の結婚祝いに贈りました! 花を生けなくてもそこにあるだけで美しい、彫刻作品のような存在感です。

(アアルトについては、昨年、記事に書いたのでこちらを合わせてどうぞ)

 

 

ガラス作品で、今回特に印象に残ったのが、ガラスウェアのデザイナー、サーラ・ホペアの作品でした。下のポートレイト写真がホペアです。おしゃれでチャーミングですよね。

 

ちなみに今回ポートレイトもかなり見応えがありました。マリメッコのデザイナー、マイヤ・イソラはやっぱり髪型やファッションがかわいいなとか、ガラス作家、オイヴァ・トイッカは若い頃、ハンサムでキュートだなとか。オイヴァは、巨匠感のある写真や映像しか見たことがなかったので。

 

話をサーラ・ホペアに戻します。彼女の作品、グラス《1718》とピッチャー《1618》は上の写真の右側に写っています。シンプルでありながら、絶妙に曲線を生かしていて、柔らかさがあり、エレガント。心を奪われました。

 

器といえば、フィンランドデザインの巨匠、カイ・フランクの人気シリーズ「BA キルタ」についても語らずにはいられません。下の写真の手前に写っている、ブラック、ホワイト、イエロー、グリーンの器です。

 

フィンランドデザイン展

 

ヨーロッパでは伝統的に、ディナー食器はセットで買うものとされてきましたが、キルタは、調和を考慮した配色と洗練されたデザインによって、自由に組み合わせることができ、必要なものから1つ1つそろえていけばOK。それは当時、フィンランドではキッチン革命と呼ばれるほどの衝撃だったそうです。

 

キルタは元々フィンランドの製陶所「アラビア」で作られていましたが、現在はガラス製品を中心としたデザインブランド「イッタラ」より「ティーマ」と名前を変えて販売されていて、私はそのティーマシリーズを愛用中。

 

好きなものから集めればいいというのは、今まさに私が実感しているところです。2009年に初めてフィンランドを旅したときに購入した、オリーブグリーンのティーマの器と、それからちょっとずつ集めている色とりどりのティーマがテーブルの上で見事に調和してくれます。

 

 

そして、展覧会後半の見どころは、ファブリック。みんな大好き「マリメッコ」のアイテムも登場しますよ!

フィンランドデザイン展

それにしてもどうしてこんなにフィンランドのテキスタイル産業は盛んなのか。会場ではテキスタイルアートの先駆者、ドラ・ユングにフィーチャー。さらにテキスタイルアート教育や、創業200年の老舗ブランド「フィンレイソン」など、代表的なデザイナーや作品とともに、フィンランドのテキスタイルデザインの歴史について解説しています。

 

フィンランドデザイン展

もちろんここで取り上げたのは、会場のほんの一部。続きはぜひ会場で!

 

そして展覧会といえば、ミュージアムショップでのお買い物も楽しみのひとつ。展覧会オリジナルグッズの他、ファブリック、器、オーナメント、ステーショナリー、さらにはフィンランドらしいサウナグッズなど、人気のフィンランドデザインアイテムがたーくさん並んでいました。

 

どれもこれもほしいものばかりで、ショップ内を何度もぐるぐる(笑)。

今回、ポスターや写真にすごく惹かれたので、特に印象に残った作品の大判ポストカードを、そしてもっと深く知りたくて、グラフィックデザイナー、エリック・ブルーンの表紙絵「ヘラジカ」が美しい図録を買って帰りました。

フィンランドデザイン展

 

さらに、ずっと欲しかったけど持っていなかったシロクマの貯金箱もこの機会に。こちらの貯金箱、元々は銀行のノベルティでした。マフラー付きは毎年数量限定で、年によって色が変わります。赤白のボーダーは2021年秋冬モデル。早速、仕事部屋に置いてみたら、思わず話しかけたくなるような、かわいい存在感!

 

 

 

さらに、会場内をよく見るとなかなかマニアックなアイテムも並んでいるのに気づきます。神戸にある北欧雑貨店「マルカ」のリトルプレス『スウェーデンのおいしいセムラ』がまさにそれ。もうすぐセムラの季節なのでね、余計に目を奪われました。いつかセムラの季節にスウェーデンに行けますようにという願いを込めて。

 

合わせてチェックしてほしいのが、ミュージアムショップ内で同時開催している、斎藤志乃「北欧 かわいいものみつけた」展。インテリアデザイナーで、北欧雑貨の店「Studio101」を主宰する斎藤さんが、フィンランドやスウェーデンで見つけてきたかわいいもの、主にヴィンテージアイテムを展示販売しています。

 

フィンランドデザイン展

実は、斎藤さんは私の仕事仲間であり、友人なのです。今回斎藤さんがデザインしたフィナンシェ缶がかわいくてツボで、私は2柄とも買ってしまいました(笑)。

フィンランドデザイン展

フィンランドらしいブルーの方が特に人気のようです。中には、原材料からこだわり抜いているフィナンシェ専門店「バターマスター」のフィナンシェ(プレーン味とシナモン味)が6つ入っています。フィンランドといえばシナモン! ということでシナモン味は今回のイベントに合わせて作られたスペシャルフレーバー。おうちでのフィーカ(コーヒーブレイク)にぜひ!

 

なお、展覧会は終盤に向けて混雑が予想されます。

  • 土日祝や最終週の1月24日(月)〜30日(日)は、事前のチケット予約が必要です。

またそれ以外でも状況によって変更になる場合もあるので、お出かけの前に必ず公式サイトにて最新情報をご確認ください。

  • 商品も品切れになる可能性があります。予めご了承ください。

 

「ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル」

開催中〜2022年1月30日(日)まで

Bunkamura ザ・ミュージアム

 

展覧会会場の写真 提供:Bunkamura 撮影:Yuya Furukawa

購入した商品の写真 撮影:Asako Aratani

 

 

 

 

 

 

新谷麻佐子さんの北欧旅連載

『今人気の田園ツーリズム。フィンランド、ラトビア、エストニアに行ってきました!』

 

 

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