大河ドラマ素人、歴史音痴の私が「鎌倉殿の13人」に夢中に
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、話題ですね~。私も第1回からはまりましたよ。
世の中には、大河ドラマ通や歴史マニアの方が大勢いらっしゃいますよね。
たとえば松村邦洋さん。テレビで過去の大河ドラマの名シーンを細かく再現解説するのを見たときには感動しました。大河ドラマの関連書籍も出されています。
また「鎌倉殿の13人」の脚本を書かれている三谷幸喜さんご自身も、子供の頃からの大河ドラマ好きを公言されていますよね。
さらに歴史に詳しい方たちの間では、大河ドラマと史実の解釈を巡って、ネット上でしばしば意見交換が繰り広げられるのを、いつも尊敬の眼差しで眺めておりました。
私はといえば、受験勉強以来、すっかり日本史から遠ざかってしまい、歴史小説や歴史マンガにも手を出さずじまい。基本的な知識すら雲散霧消…とほほ。加えて、これだけは忘れなかった鎌倉幕府成立年が、今の教科書では1192(いいくに)ではなくなったと聞くに及び、完全にお手上げ状態です。
歴史はおじさん達の趣味だからわからなくて当然よ、と言い切った同世代女子友もいましたが、最近は歴女も多いですし引け目を感じていた次第です。
今年のはじめ、いつもおしゃれで素敵な50代半ばのアパレルデザイナー(OurAgeでも連載されている「ル・ピボット」の小林一美さん)に仕事のメールをした際、時候のあいさつ代わりに何気なく「鎌倉殿の13人」を見ていますか?と問うたところ…!
なんと彼女こそ長年の大河ドラマ通でした。
大河は子供のころからずっと見てきた、脚本家によって解釈が違う点がおもしろい、などと返事をくれた最後に
「でも、私の頼朝のイメージは石坂浩二で、北条政子は岩下志麻なのです」と!
調べましたら、1979年の「草燃える」ですね。たぶん当時彼女は12~13歳。それが今も胸に焼き付いているというのだからすごい。私ときたら、そのタイトルははっきり覚えていますが、中身はとんと思い出せません(大学入学の年なので、遊び惚けていたかもしれません)。
三谷幸喜さんとほぼ同世代の定年女子(週3ワーク中)である私、このたび、歴代の大河ドラマでちゃんと見た作品を数えてみました。今回の「鎌倉殿の13人」が61作品目とのことですが、これでも20作以上は見ていましたよ。10歳ころから親とともにぼちぼち見始めましたが、はっきり覚えているのは78年の「黄金の日々」から。20代30代はほぼ空白期間で、40代から再開した感じでした。大人女子の場合、同じような流れの方も多いかもしれません。
ただ私の場合、本当に歴史認識が浅く、ドラマとしてその場その場で楽しんでいただけの気がします。今となってはもったいなかったなあ、と思いますが。
さて、そんな大河ドラマ素人、極度の歴史音痴(歴史無知?)の私が「鎌倉殿の13人」に惹かれ、初心者なりにより楽しむ方法を見つけました。通の方たちから見たら「何をいまさら」とあきれられるかもしれませんが、大目に見ていただけましたらと思います、はい。
「鎌倉殿の13人」を落ち着いて楽しみたくてしたこと2つ
1.「鎌倉殿の13人」登場人物の相関図を広げてドラマを鑑賞
「鎌倉殿の13人」の物語序盤は、三谷幸喜さんならではのコメディタッチのファミリードラマ風仕立てが面白かったですよね。しかし! もちろんファミリードラマではなく大河なので登場人物が多い。基本的知識が欠落している私には、どこの誰なのかがわからないんです。
毎回ナレーションの長澤まさみさんが説明してくれてもすぐに忘れるし、NHKのサイトで確認しても(その間に話は進んでしまうし、そもそも)覚えられない。「若いアイドルが全員似て見える」のと同様、「イケオジ武士や文官の区別がつかない」こともしばしば… とほほ。
一番あせったのは、見覚えのない登場人物が頼朝に向かって義経に関する苦々しいアドバイスをしていたとき。
ひどい!これ誰?大江広元?それって誰? なんてことまでありました。
あとから学びましたが、「13人の合議制メンバー」にもなり長く活躍する相当な重要人物ですね、はい。
「NHK大河ドラマ るるぶ 鎌倉殿の13人」/JTBパブリッシング
ということで、ガイド本を(ゆかりの地巡りの下調べも兼ねて)購入、ドラマを見るときには登場人物紹介ページを目の前に開いて、いつでも確認できるようにしました。歴史通の方からしたら、当たり前の登場人物なのかもしれませんし、ネタバレの要素もあります。
それでも、親族や系列・出身地域、敵対などの相関関係はもちろん、この本の相関図には、ちょっとした人物像などのコメントもいっしょに載っていて、私には物語の流れの把握にかなり役立ちました。毎回確認しているうちに、今ではほとんどの登場人物が頭に入りましたよ。
2.竹宮惠子先生のマンガで「吾妻鏡」を予習…予習の予習も!?
三谷幸喜さんがインタビューで「『鎌倉殿の13人』は原作『吾妻鏡』のつもりで書いている。吾妻鏡の行間を埋める形で創作している」と語っておられました。「吾妻鏡」というのは、鎌倉幕府により編纂された歴史書ですね(恥ずかしながら、そのことも忘れておりましたが…)。
そうか、私の歴史音痴を補って、「鎌倉殿の13人」のオンエアをアワアワせずに楽しむためには、吾妻鏡を予習すればいいんだ! と思い至りました。
そこで見つけたのがこちら。
「マンガ日本の古典『吾妻鏡』(上)(中)(下)」竹宮惠子/中公文庫
マンガだったら簡単に吾妻鏡が読めるはず! と思ったのですが、そこは古典ですし、描いたのが知性派の竹宮惠子先生。そうは問屋が卸しませんでした…いえ、すべて私の歴史音痴のせいなんです。
さまざまな言い回しが「吾妻鏡」の表現を生かして描かれているので、欄外の解説なしには進めません。
※ちなみに私は「マンガ日本の古典『吾妻鏡』」の文庫版をネット購入しましたが、欄外の解説文はかなり字が小さいです。このシリーズはワイド版もあるようなので、老眼の方はそちらのほうが読みやすいかもしれません。
⇒念のために中央公論新社のご担当者にお聞きしました。ワイド版は、文字が大きいだけでなく、着物や甲冑の柄、建物の詳細などもよく見えるので、ディテールに興味のある方におすすめなのだそう。なるほど!価格は張っても、大人にはワイド版のほうがいい気がしてきましたよ。
さて、「マンガ日本の古典『吾妻鏡』」で一番難題だったのが人の呼び名です。源、北条のような姓で書かれているだけでなく、登場人物が領地名や役職名で呼ばれる場面も多く、それは一人の人でも変化していく。当然、セリフとしての呼び名と、地の文でも表記が違います。
またしても「これ誰だっけ?」の無限ループに…。
そこで反省。勉強だってスポーツのトレーニングだって、自分の実力にあった段階から始めなければ身につきません。書店に行って、より初心者向けの「吾妻鏡」のアンチョコを探しましたよ。
「眠れないほどおもしろい吾妻鏡」板野博行/三笠書房(王様文庫)
こちらは、吾妻鏡を時代順に説明するわけではなく、「北条家の野望」とか「政子がなぜ尼将軍になったか」などテーマごとに平易な文章でまとめられた、まさにアンチョコで、わかりやすい。ところどころに出てくる家系図(婚姻図)なども、登場人物らの関係が頭に入り理解しやすかったです。
これを読んでから、竹宮惠子先生の「マンガ日本の古典『吾妻鏡』」に戻ってみましたら、以前とは比べものにならない速さで読めるようになりましたよ~。さまざまなエピソードがざっくり頭に入っているから呼び名が違っても想像で補えました。あ~、よかった!
こうして私は、
「鎌倉殿の13人」の放送を、毎週ほぼ落ち着いて、純粋に楽しめるようになったのでした。
めでたしめでたし
では、今回も失礼して「定年女子あるある(かもしれない)川柳」を。
武士の顔 アイドル並みに 見分けられん
※その後「鎌倉殿の13人」の物語序盤の舞台になった伊豆の聖地巡礼に行ってきました。2日間あちこちの史跡を歩き回った結果、ドラマをより深く楽しめるようになったと感じた場所がありました。その場所については、長くなりましたので次回書かせていただけたらと思います。