リノベ中の「仮住まい」で起こった“小さな冷蔵庫地獄”！失敗の顛末と望外のご褒美／定年女子の体験記（後編）

マドレーヌ

定年女子。主に雑誌「LEE」、サイト「OurAge」などで38年間、会社員編集者を続け2021年春に定年。現在はサイト「OurAge」で週３ワーク中。冷え性で365日ソックス着用。アイスクリームは25年以上食べていません。趣味はガーデニング、サッカー観戦、筋膜リリース、コロナ禍にはじめたジョギング。若い頃はパリかぶれで、ペンネームはフランスの絵本の主人公から。

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自宅マンションのリノベのために、夫とともに50日間の仮住まいをすることになった定年後週3ワーク中の編集者。紆余曲折を経て出会った隅田川近くの家具付きマンスリーマンションは、立地がよく魅力的。楽しい日々が始まるはずが、備え付けの冷蔵庫のせいで食事の心配が常に頭から離れない事態に!? 仮住まい最大の反省点を報告します。

【短期滞在マンションの落とし穴】“小さい冷蔵庫地獄”で毎日夕食の心配をする羽目に!?

リノベ中の仮住まいのために借りたL社のマンスリーマンションは、基本的な家具・家電は揃っていて、急に入居しても不便なく暮らせるようになっています。物件によって違いがあるようですが、私たちが借りた部屋は、ソファやテレビ、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、ベッド、新品のタオル類、簡易的な布団、ドライヤーや体組成計までありました。光熱費は契約の金額に含まれているし、Wi-Fiも自前のルーターを差し込んで無料で使用できました。

◆リノベ中の「仮住まい」物件探しは甘くない!? 知っておきたい落とし穴と費用感／定年女子の体験記（前編）

ただ、根本的に料理をしない人が一人で入居することをイメージしているのかな、と思われる点も。
そのせいで、思わぬ困難にぶつかることに!?

キッチンは快適なのに、冷蔵庫が想定外の小ささだった！

私たちが借りたのは一般的な52㎡の分譲マンションで、キッチンは使いやすさが考えられていてガスコンロも3口ありました。家から必要最小限ではあるけれど食器や鍋・調理道具、調味料等を持っていったので、そこそこ料理ができるはずでした。

しかし！なにしろまいったのが冷蔵庫。ごくごく小さなサイズだったのです。

冷凍冷蔵庫の高さは左のキッチン作業台の高さとほぼ同じなので約85cmです。上の冷凍庫を除くと、冷蔵庫は50cm程度。どれほど小さいかがわかると思います。奥行も未開封の牛乳パック（1000ml）を寝かせて置くのがやっとぐらいでした。

引っ越し当日、この冷蔵庫に自宅から持って行った調味料を入れただけで、庫内の棚もドア裏収納も半分以上埋まってしまいました。まだ暑い9月に、ビールは味噌の上に横にして1本入れるのがやっと。睡眠のために毎日飲んでいたヤクルト1000の6本パックなんて入る場所はない。中がぎゅうぎゅうぐちゃぐちゃで小さな大葉やミョウガは即、行方不明に。
野菜や卵、豆腐、納豆など冷蔵庫の常備食材すら取捨選択しないと入らない。当然、料理で作りすぎたものを入れておくスペースなどありません。

料理熱心ではなくても、年齢なりに食生活には気を配っていたはずが…

あらかじめお伝えしますが、私は料理上手とか、おもてなしが好き、といったタイプではまったくありません。
それでも、料理は日常の行為。この年齢にもなれば長年の経験で冷蔵庫にあるものでなんとなく夕食を準備するのは普通。家にいるのが好きなあまり、外食に行くぐらいなら家で何か作って食べたいと思う程度に料理は苦になりません。

また健康にこだわるサイトOurAgeで栄養面のテーマにも接してきましたし、夫婦とも健康に気を付けたほうがいい年齢だから、よき食生活を目指す気持ち（だけ）はありました。（できているかどうかは別問題です。）「意識高い系」を目指して、届いていないレベルといいますか…。
具体的には「糖質は後半に食べよう」とか「タンパク質とカルシウムは毎食気にしよう」とか「緑黄色野菜、魚、キノコ、海藻、大豆製品、ごまは、1日に1回は食べたいなー」などとざっくり考える程度には気を配っていました。

ところが！　家具付きマンスリーマンションに引っ越したその日から、栄養バランスも料理をしようと思う気持ちもどんどんと崩れ去り混乱に陥っていきました。
「小さな冷蔵庫」地獄にはまったのです…。

料理の作り置きや食材のストックがないからと、会社帰りにデパ地下に寄る

冷蔵庫が小さく、作り置きや食材のストックがないということは、食事のたびにメニューを一から考えなくてはいけないということ。毎日買い物に行って、しかも残さず使いきらないと、冷蔵庫内のカオスが激化してしまいます。

出社しても仕事中に夕食どうしようと気になって仕方がない。仮住まいの近くにはコンビニや小さなスーパーしかなく、目的の食材が揃うかどうかもわかりません。結局、仕事帰りに会社と仮住まい先の駅間にあるデパ地下に寄って、タイムサービスのお惣菜やお弁当を買うのが常習化!?　ただし、これも買いすぎると保存場所がないので、慎重に食べきれる量を予想する必要がありました。

50日間で５年分の外食をする

小さな冷蔵庫地獄によるデパ地下通いの話を人にすると、だったら外食すればいいのでは、と言われました。しましたとも。
実は、そもそも1度家に帰ったらもう出かけたくないぐーたらで、今まで夫と旅行以外で外食するのは年に2~3回程度。そんな中でこの50日間は、食事をどう準備していいかわからなくなって、なんだかんだで5年分ぐらいの外食をしたほどです。

ただ、なじみの店があるわけでもなく時間とお金は想定外にかかるし、塩分取りすぎだし栄養バランスもよくないし…と気になって、せっかくの外食が楽しめないことも。

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冷蔵庫問題の「結論」と「その後」

ここで結論です。

仮住まい、何はなくとも冷蔵庫

冷蔵庫は運ぶ前に電源を抜いたり水抜きしたりと面倒だし、大きいので引っ越し料金の加算にもつながるかもしれません。それでも、使い慣れた冷蔵庫があるだけで、仮住まい先でも普段に近い食生活が送れるメリットは大きいと思います。
ただし、サイズ的に仮住まい先のキッチンに自宅の冷蔵庫が置けるかどうかは、事前に確認する必要がありますね。

こうして、50日間すっかり料理のやる気と能力を失って自信喪失状態だったのですが、自宅に帰って数日で、めでたく「料理をする日常」を取り戻すことができました。自宅の冷蔵庫は、引っ越し前に中身をおおかた整理してスカスカ。帰宅後は買った食材や作った料理をいくらでもストックし放題。ストックのある幸せをしみじみ感じたのでした。

【短期賃貸マンションのもうひとつの面倒】「鍵」が一つしかない!?

この短期賃貸マンションでは、鍵をひとつしか渡されませんでした。もうひとつ欲しいと頼んでみましたが、ひとつが決まりとのこと。たぶん合鍵を作られたり紛失を避けるためかと思われます。防犯のために詳細は省略しますが、物件の内見や民泊で使われるようなキーボックスによる鍵の受け渡しが必要でした。

最初の頃、私が帰宅した時に夫が鍵を持ったまま出かけていて、スマホで連絡してマンションのエントランスで30分待ったことも。旅先などでいつもいっしょに行動するなら問題ないのでしょうが、暮らすとなるとやはり不便。ただ、後半は面倒なキーボックスの扱いにもふたりとも慣れていきました。

【50～60代。仮住まいのすすめ】意外にもやってよかった！「仮住まい」のメリット

短期賃貸マンションでの50日間の仮住まいは苦労だけでなく、実は想定外のメリットもたくさんありました。

① 自宅よりも新しい浴室乾燥機やPCチェア、体組成計が試せた

仮住まいしたマンションに置かれていた家具は使い込まれているものも多く、やや寄せ集め感がありました。たとえばリビングにはなぜか立派な鏡台があり、その前にPCチェアが置かれています。見た目に違和感はありますが、実はこの椅子のおかげでリモートワークのPC仕事は、姿勢が楽ではかどりました。自宅では食事用テーブル＆椅子で仕事をしているので、それよりずっと快適でした。

また、このマンションは我が家よりも10年以上築浅だったので、より新しいガス浴室乾燥機の機能を試すことができて、今後の参考になりました。
さらに洗面所にタニタの体組成計が置かれていて、毎日計っていたらそれが習慣に。自宅に戻ってすぐに購入するきっかけにもなりました。

② 小さな暮らしの魅力に気づく

自宅マンションは、この52㎡の仮住まいより広いのに、モノがあふれて収納に困っています。今回50日間ここで暮らしてみて、あれ？意外に快適かも!?と感じたのです。たぶんそれは、仮住まい先には、ほぼ毎日使うものしか持っていっていないため。圧倒的にものが少ないからだと思います。こうして必要なものだけでシンプルに暮らすのっていいな、と気づかされました。（できるかどうかは、また別問題ですが…。）

また、それとは別にとくにコンパクトさに魅力を感じたのがバスルームです。自宅はバスタブがやや大きめサイズで湯量が多く、その上、夫はシャワー派でバスタブには自分ひとりしか入らない。そうなるとお湯を1回で捨てるのがもったいなくて気が引けます。さらに洗い場もやや広めで複雑な作りのためお風呂掃除に手間と時間がかかるといったらない。一方、ここのバスルームはワンルームマンションサイズでバスタブ・洗い場合わせて２分あれば掃除が完了してしまう！　毎晩お風呂上りにお湯を抜いて掃除をする習慣がつき、清潔で快適でした。

「家は広いほど快適に違いない」というのは思い込みだったと、気づかされた次第です。将来住みかえることがあったら、収納スペースはともかく、バスルームは小さい方がいいかもと思ったのでした。

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③知らない土地の魅力を知る

仮住まいしたマンションは、隅田川に近い立地でした。

たまたまその時期に空きが出て、かつダブルベッドが置かれていないという消去法でたどり着いた偶然の出会いです。隅田川周辺には、それまでまったくなじみがなかったので、自らこの地で物件を探すことはなかったはず。でもここに住んでみたら、隅田川のある暮らしにすっかり魅了されました。
川の両岸に隅田川テラスという散策コースが延々と続き、上流にも海方面へも導いてくれます。また、次々と橋を渡って、隣の区やそのまた先の区に行くのも楽しい。休みの日には、豊かな水と広い空を感じたくて、必ず川沿いにジョギングに出かけました。