みなさんは「雲」にご興味をお持ちでしょうか? 当たり前の存在過ぎて、いちいち考えたことがないかもしれません。私も、昔行った南の島の広い空など特別な場面を除けば、日常では特段、雲を気にかけてはおりませんでしたよ。せいぜい通勤途中に、夏の入道雲や秋のうろこ雲で季節を感じる程度でした。
ところが2020年春、コロナ禍でリモートワークが始まってからというもの、急に雲が気になりだしました。
雲が気になりだしたのは、リモートワークの煮詰まりのせい!?
そもそも自宅には仕事机を置く場所などありません。当時は定年前で週5ワークでしたが、リモートワークの日はリビングのテーブルにノートパソコンを広げて仕事をしております(今もです)。リビングといえば、家でいちばん眺めのいいくつろげる場所にあるもの。原稿やら企画書やらメールなどを書いていて、煮詰まってパソコンからふと目を上げると…マンション7階にある我が家のリビングから空が見えます。言葉に詰まっては目を上げ、悩んでは目を上げ、飽きては目を上げ、の繰り返し(!)で、ちょいちょい飛び込んでくる雲の姿。「あ~なんだかおもしろい形の雲だなあ」「あれま、映画だったら事件が起こりそうなドラマチックな雲の流れだ」などと日々感じるように。
<目がある雲シリーズ/(左)左向きのイルカの顔? (右)キリンビールの麒麟の顔?>
<すごい勢いで流れてくる嵐の前触れのような雲(実際この後、大荒れに)>
ジョギングは、雲を見ながら走ると疲れない!?
また、同時期に始めたジョギングで、より空が身近になってゆきました。ジョギングコースにしている公園の周囲は、電線が地下に埋設されています。そのおかげで空が広く感じられる! 広い空を眺めながら走ると、雲に気をとられて苦しくない(疲れに気づかない?)ことも発見しました。しめしめ。
そのうちに、気になる雲を見つけると、ジョギング中はスマホで、家ではテラスに出てカメラで撮影するようになっていきましたよ。
<なぜか整然と2列に並んで進む雲>
「天気の図鑑」「空の手帳」の2冊で雲の基本を学ぶ
さて、今年のはじめ頃、「天気の図鑑」という子供向けの本が売れていると知り、がぜん興味が湧いてきました。昨年の朝ドラ「おかえりモネ」で、主人公の百音は気象予報士の試験勉強が難しくて歯が立たず、のちに夫となる若き医師・菅波先生のすすめで、最初は子供向けの本や中学の理科の教科書で基礎を勉強していたんですよ!
(左)「空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑」著者/荒木健太郎(KADOKAWA)2021年4月30日発売
(右)「散歩が楽しくなる 空の手帳」監修/森田正光(東京書籍)2020年4月7日発売
左が話題のヒット本「天気の図鑑」。編集部に確認しましたら続編の「もっとすごすぎる天気の図鑑」と併せて、なんと40万部も売れているそう。著者の荒木健太郎さん(気象庁気象研究所研究官)のプロフィールには、映画「天気の子」の気象監修や「おかえりモネ」に気象資料提供をしたとあります。
図鑑というだけあって、全ページにイラストや写真が満載。子供向けなのですべての漢字にルビがふられていますが、内容が物足りないなんてことはありません。雲、空、気象、天気の4つの章に分かれていて、それぞれわかりやすく解説されています。
余談ですが、この本を読んだ後にテレビのクイズ番組を見ていたら、気象関連の問題がいきなり正解できるように。気象クイズのネタ本にもなっているのかもしれません!?
上写真(右)の本「散歩が楽しくなる 空の手帳」の帯を取るとこんな感じ。
手帳サイズで、シンプルな空色の装丁にビニールカバーがかかっていて、まさに散歩に持ち歩くのにぴったりです。季節ごとの雲の特徴に詳しく、雲の正式名称より俗称が先に書かれているのも定年女子の頭にすんなり入りやすい。雲の種類や名前を覚えたくて購入しました。
ところどころに気象現象を詠んだ俳句が添えられています。雨や雲や風など気象にまつわる言葉は季語に用いられるので、俳句を詠む方も読者として想定されているようです。こちらはお天気キャスター森田正光さんの監修です。
私は「これって、よく見る雲のことかな」とか「いつか出会って撮影してみたい」雲のページにマークをつけていったら、マークだらけになってしまいました。笑
さて、この2冊を読みますと、まさに「へ~」の連続です。雲には水でできた雲と氷でできた雲がある、とか、雲は芯になるチリ(エアロゾル)が必要なので、空気がきれいな高度の空には雲はできない、など基本的なことすら、何もわかっていなかったことを思い知りました。もしかして「そんなの常識」だったとしたら、すみません。今まで私は気象オンチだったかもしれず…。
そんな気象オンチだったかもしれない私が、かなり「へ~」だったことのひとつが、雲の種類によって、できる高さが違うということでした。
「わた雲」と「すじ雲」はどちらが空の高いところにできる?
そもそも雲は世界共通の十種雲形という10種類に分類されているそうです。10種類はそれぞれに出現しやすい高度があるのだそうです。
ここで、すみませんが、高度の話の前に、雲の分類の難しさについて少しだけ触れさせてください。
十種雲形それぞれに種、変種、副変種などがあり、それらを含めると雲の分類は100種類以上になるそう。正式名称のほかに通称や俗称もあります。本に掲載されている雲の写真と自分で撮った写真を見比べても、まったく同じ形の雲はないわけで、さらに雲の高度の見極めも不慣れ…ということで私には雲の十種雲形の判別すら、まだまったくおぼつかないという状況でございます。とほほ。
それを前提に、高度の話に戻りますね。よく見る「わた雲」と「すじ雲」はどちらが空の高い位置にできるか、ご存じですか?
●「わた雲」
「わた雲」は子どもが描きそうな雲ですね。これは餃子かクロワッサンっぽい? わた雲はかわいい形のものが見つかりがちなので、私もたくさん写真を撮っていました。「わた雲」というのは通称で、正式な十種雲形でいうと「積雲(せきうん)」にあたり、高度2km以下にできるそう。雲の上部はもこもこして、底は平らなことが多いそうです。
●「すじ雲」
「すじ雲」は十種雲形でいうと「巻雲(けんうん)」にあたり、なんと5~13kmの高い位置にできる上層雲なのだそう。氷でできています。「すじ雲」は色が薄くて映えないからなのか、写真をほとんど撮っていませんでした…。上の写真はジョギング中に「飛行機雲っぽいすじ雲だなあ」と思って撮影しました。
こちらの写真は魚の骨みたい、と思ってやはりジョギング中に撮影しました。実は最初これが「巻雲(けんうん)」(すじ雲)の変種の「肋骨雲(ろっこつうん)」かと思ったのですが、詳しい方に見せたら間違いと判明。こちらは十種雲形「巻積雲(けんせきうん)」の「うろこ雲」にあたるのだそうです。
は~、雲の分類の見極めはむずかしいです…。
では、気を取り直して、本題にもどります。
「すじ雲」のほうが「わた雲」よりずっと高い位置にできるということですね~。
ご存じでしたか? 私は「わた雲」なんて場所を選ばず、どんな高さにもいそうなイメージでしたので驚きましたよ。
季節ごとに出やすい雲がかなり違うことも学びました。これからは季節を重ねながら雲を確認して、雲の写真の種類も増やしていこうと思います。空を眺めた時に、少しは雲の種類を見分けられる雲ウォッチャーになれたらなあ、と願っております。
それでは、今回も「定年女子あるある(かもしれない)川柳」を。
雲ウォッチャー 空を見上げちゃ 眉根寄せ