アニバーサリーウェディングって何?
その日、「太陽にほえろ」のテーマ曲に乗って軽やかに入場したのは、俳優 勝野洋さんとタレント キャシー中島さん夫妻。
2月12日に日本橋三越本店で行われた『三越350周年×Yumi Katsura アニバーサリーウェディング』イベントでのことです。
一般招待客が見守る中、ご夫妻の結婚45年を祝う「サファイア婚式」が執り行われました。
挙式の司式者もとい仕掛け人は、ブライダルファッション界の第一人者・桂由美さん。桂由美さんは来年、デザイナーとして60周年を迎えますが、何十年も前から「アニバーサリーウェディング」を提唱してきた人です。
(写真上)開場がパッと華やいだお二人の入場シーン。
アニバーサリーウェディングって何? そう思うのも無理はありません。
欧米ではよく知られた慣習で、結婚記念日、特に5年目・10年目など節目の年に、夫婦や家族の絆をさまざまな形で残すこと。「金婚式」「銀婚式」などと言われたほうがピンと来ますね。
アニバーサリーウエディングはイギリスから各国に伝わり、欧米では「バウ・リニューアル(Vow Renewal」と言って、改めてお互いへの愛を誓い合うというセレモニー。儀式でなくとも、記念日のプレゼント交換や家族や友人との記念パーティ、家族との会食など人それぞれです。
日本でも上皇上皇后陛下はアニバーサリーウエディングを大切にお考えになり、結婚40年目の「ルビー婚」、50年目の「金婚式」、2019年には結婚60年目の「ダイヤモンド婚」式を皇族方とお祝いされています。
実はたくさんある!結婚記念日のネーミング
銀婚式や金婚式は有名ですが、ほかにも名前が付けられている結婚記念日はたくさんあります。
結婚記念日は15年目までは1年ごと、それ以降は5年ごとに名前が付けられています。結婚記念日は挙式をした日、婚姻届を提出した日のどちらを選んでもかまいません。
その名が示すシンボルは年数が浅いうちは紙や藁のような柔らかいもの、徐々にダイヤモンドやプラチナのような丈夫で硬い、価値のあるものに例えられているところに、思わずナットク。まさに夫婦の絆の重みを表しています。
今回のイベント会場にも、これらを紹介するパネルがありました。
1年目:紙婚式
2年目:綿婚式
3年目:革婚式
4年目:花婚式
5年目:木婚式
6年目:鉄婚式
7年目:銅婚式
8年目:青銅婚式
9年目:陶器婚式
10年目:錫(すず)婚式
11年目:鋼鉄婚式
12年目:絹婚式
13年目:レース婚式
14年目:象牙婚式
15年目:水晶婚式
20年目:磁器婚式
25年目:銀婚式
30年目:真珠婚式
35年目:珊瑚婚式
40年目:ルビー婚式
45年目:サファイア婚式
50年目:金婚式
55年目:エメラルド婚式
60年目:ダイヤモンド婚式
そして、日本で結婚組数が減少していることや夫婦や家族の絆が弱まっていることを憂い、桂由美さんがおすすめしてきたのは、結婚記念日に挙式をすることでした。そのひとつが今回の勝野洋・キャシー中島夫妻。45年目の「サファイア婚」だったのです。
桂由美さんと勝野ファミリーは親交が深く、1979年の勝野洋・キャシー中島夫妻の結婚式でも、娘の雅奈恵夫妻の結婚式でも、衣装はすべて桂由美さんがデザイン。
今回のアニバーサリーウエディングの衣装も、すべてYumi Katsura(ユミカツラ)のものです。
「サファイア婚」にちなんで、テーマカラーはサファイアブルー。
式には、次女でフラダンサーの勝野雅奈恵リカルド夫妻と孫の八瑠子さん、長男で手芸家の勝野洋輔さんも参列しましたが、皆さんのコーディネートが本当に素敵でした。
もう一度キュンとなる、素敵なセレモニーを!
式では桂由美さんが司式者を務め、夫婦がお互いへスピーチを贈り、サファイアのペンダントとピンバッジのプレゼント交換…。
そして長男の勝野洋輔さんのリードで二人が披露したダンスは、とても74歳と72歳には見えない軽快なステップ。手でハート形を作る場面は観客も参加して、会場中がハートウォーミングな空気に包まれました。
キャシー中島さんと向かい合った勝野さんは「もう45年! あのとき決意したことがこんな素晴らしい結果になるとは。いろんなつらいことも楽しいこともたくさんありました。どんなことも受け入れてくれて…」と言いながら感極まって思わず涙。
「参ったな。本当にありがとう」とつぶやけば、キャシー中島さんはその涙に驚き「あなたは泣かない人よね?」とニコニコ。
「45年間、浮気しないでくれてありがとう」と笑わせつつも「一度もこの人がいなくなればいいとか、別れちゃおうと思わなかった。自由に仕事をさせてくれてありがとう。すばらしい家族を作ってくれてありがとう。ありがとうと伝えたいことがたくさんあります」と感謝の言葉を伝えていました。
桂由美さんはアニバーサリーウエディングについて「プレゼントを交換するだけでも、食事でお祝いするだけでもかまいません。ドレスアップしてフォトウェディングのようなものでもいいと思います。
もしできれば、お二人のように結婚記念日の節目にセレモニーをしてほしい。パートナーとの絆を改めて確認する機会になると思いますよ」とコメントしてくださいました。
取材・文/蓮見則子