コロナ禍の中で、ある意味「覚醒」! ポジティブなサイクリスト・マインドに、心も身体もおうちで動き出す
OurAge読者のみなさま、お久しぶりです!
自転車に恋する女、松浦まみです。
昨年10月のコラムを最後にすっかりご無沙汰しております。
というのも実は、この半年あまり、諸事情により一切の活動を停止していました。
……OurAge世代、誰しも人生の大ピンチの一つや二つは経験ありますよね。
自転車と出会って以来、絶えず全力疾走してきたこの数年間でしたが、あることをきっかけに私の人生は一切が停止モードに入りました。
日々更新を繰り返すスピード社会からドロップアウトし、立ち留まって孤独な傍観者となった私
一方、2020年の世界は、米国イラン危機に始まり、地球規模の森林火災・大洪水と制御不能の自然災害で始まりました。
そして新型コロナウイルスの発生――。
どこの国も対岸の火事と油断していました。
気がついたら、人が止まり、ものが止まり、金融危機が起こり、みるみる世界全体の経済活動が停止していきました。
あれ?世界が私に追いついた? ……いえ、決して喜んでいるわけではなく、不思議なシンクロニシティにおののきながら、世界の動きをみつめていたのですが、やがて、世界とのこのシンクロは私の心境に変化をもたらし、私は5ヶ月間封印していた自転車とよりを戻すことを決心しました。
私に起きた危機と変化については、次回以降に詳しくお話するとして、今回はコロナ禍のもとでも意外にもポジティブなサイクリスト事情に触れたいと思います。
「良識ある行動」を呼びかけるサイクリストの声明とガイドラインは、私たちの日常にも良い参考に
バブル崩壊、リーマンショック、3.11と生き抜いてきた私たちOurAge世代ですが、今回のコロナ禍はそれらを上回る世界規模の未曾有の危機。
どなたも少なからぬ影響を受けているのではないでしょうか。
自転車を通じて私が関わってきたスポーツ界も、例外なく大打撃を受けました。
まず何といっても、東京オリンピックの中止。
その他あらゆるスポーツイベントもプロ・アマの区別なく軒並み中止となっています。
スポーツ関連に従事する人々は仕事を失い、選手達はモチベーションを失い、競技によっては練習の機会すら失い、先が見えない宙ぶらりんの状態です。
ただ、その中で、プライベートな自転車ライドは幸いかな、基本的に一人で楽しめるスポーツなので、ロック・ダウンされていない地域では、堂々と外を走ることができます。
ソーシャル・ディスタンシングは守れるし、基本的には自然の中を走るので「3密」とも無縁。コロナ禍の下ではまだ、幸いなスポーツの一つと言えましょう。
平常時のライドのひとコマ。人の少ない自然の中をひとりで走れるところが日本にはまだまだあるのは幸い
それでも、外出が厳しく制限されているヨーロッパでは、サイクリスト向けに感染を広めないためのガイドラインが出されています。
たとえば、ヨーロッパの中でも有数の自転車先進国のオランダ。
なんと国内の移動手段の25%が自転車です。
オランダのルッテ首相は、昨年NYで開催された気候行動サミットで自転車通勤を奨励するスピーチを行いましたが、本人も自転車で国会に通うほどの自転車好き。
そのルッテ首相が、さる4月7日のスピーチでサイクリストに向けて「グループライドの自粛」を呼びかけました。
政府のウェブサイトで次のように述べています:
「できる限り家にいてください。外の空気を吸うことは問題ありませんが、グループでの運動は避けてください」
それを受け、オランダ自転車競技連盟も次のようなガイドラインを発表しています。
「まずはできるだけ家にいて、人との距離を保ってください。
しかし、私達は新鮮な空気を吸うことが常に必要であり、体の免疫力を上げるためには運動も必要です。
そのためには、散歩だけでも充分。
あるいは室内トレーナーを利用するのも良いでしょう。
「ズイフト」(後述するバーチャルサイクリングアプリ)も有効です。
それでも外でサイクリングすると決めたなら、以下のことを守ってください。
・ソロライドの推奨(グループライドはしない)
・他の道路利用者との距離を1.5m空ける
・他のサイクリストの距離を20m空ける
・鼻をかむのは禁止
・危険な行為の禁止(自分や他人を危険に晒さない。病院はすでに一杯です)
・速度の制限
・ライド中はネックウォーマーで鼻まで覆う
・帰宅したらすぐにシャワーを浴び、ウェアを洗う
・激しいワークアウト、及び3時間以上のトレーニングの制限
・体力を回復するため健康的な食事を摂る
・充分な睡眠を取る
サイクリングは地球上で最も美しいスポーツですが、国民全員の健康の方が大切なのは言うまでもありません。一人一人が責任を持って行動してください」。
このように、オランダではサイクリストに良識ある行動を明確に提示し、感染防止対策を講じています。
このガイドラインはサイクリストのみならず、私たち一般の市民にも運動をする際の心得として、そのまま参考になるのではないでしょうか。
これも平常時のスナップ。この距離だと「密」なので、今はNGかな
アプリやギアで、家のなかでも世界のツーリングコースをリアルに体感!
しかし、外出そのものが厳しく制限されている地域では、自転車に乗ることすら不可能です。
たとえばイタリアでは「移動禁止令」が出ていて、生活必需品の買い物なら外出しても良いが、散歩などは「200メートル以内」、という制限があるそうです。
早朝に起き出しては嬉々として外へ飛び出していくのが日常だったサイクリスト達が、何週間も家の中に閉じ込められている。
どれほど鬱々としているんだろう?
ストレスが溜まって家庭不和とか起きるじゃないか、と心配になりますが…
意外にそうでもないようです。
サイクリストの間ではかなり以前からバーチャルサイクリングが浸透しているからです。インターネット上で世界中のサイクリストとオンラインで一緒に走ることができるアプリもあります。
用意するのは、まず自転車(ロードバイクが一般的)、サイクルトレーナー(トレーニング用のスタンド式マシン)、そしてスマホやPCなどのデバイス。
この3つをつないでアプリを立ち上げるだけで、お手軽にバーチャル空間でのサイクリングを始められるのです。
アプリと連動するスマートトレーナー(後輪を外して取り付ける)でトレーニング中。私はiPadを使っていますが、テレビと接続すれば大画面で臨場感あふれるサイクリングが楽しめます
屋内トレーニングはサイクリストの日常の一部。外出自粛を強いられる現在の状況においては、理想的とも言えるスポーツです。
サイクルトレーナーは、機種によっては非常にリアルなサイクリングを再現できます。
例えば、画面上で坂道にさしかかると途端にペダルが重くなる。実際に前輪が持ち上がる機種、下り坂ではリアルに風を切って走ることができる送風機付きの機種まであります。ただ、もともと数万円~と、そこそこ高価なうえ、機能が上がればさらに価格も上がるので、マニアックな楽しみではあります。
アプリ内では自分のアバターが自動的に生成され、走行距離が増えるとアバター用の新しいウェアをゲットできたり、カスタマイズが可能になったりと育成ゲームの楽しさも組み込まれているので、かなりハマります。
アバターには国名が表示され、追い抜いたり一緒に走ったりする時にはコミュニケーションが生じます。
女性の参加者はまだまだ少数派なので、男性から声をかけられることもしばしばありますが、これも現実世界のライドと全く同じです。しばらく一緒に走って「じゃあね、頑張って!」と励まされたり、終了後に「今日はありがとう!」とアプリにメッセージが届いたりも(笑)
これ、意外に英会話の勉強にもなるんです(笑)
孤独な屋内トレーニングも、ツールが揃えばこんなにメリット満載。
そんなバーチャルサイクリングは、まるでたくさんの仲間と走っているような感覚が楽しめます。
最も有名なのがオランダのガイドラインにも出てきた「ZWIFT(ズイフト)」という有料アプリですが、これは完全にCGによるバーチャル映像です。
「ZWIFT」の画面。コースは近未来的な仮想コースと、実在する世界の名コースがあります。これはNYのセントラルパーク。専用アプリとスマートトレーナーが連動して、出力、速度、距離などが表示されます。
対して「FULGAZ(フルガズ)」(有料アプリ)はCGではなく実際の映像で、世界中の美しい街や大自然の中を走ることができます。
世界を旅する番組を見ながら実際に自分がそこを走っているような感覚、これは心と体が同時に満足できる素晴らしいツールだと思います。
FULGAZの映像。風を切って世界中の美しい場所を駆け巡っている気分になれます。
さらに低コストで運動不足解消+おうちで絶景満喫! その秘策とは?
スマートトレーナーでのトレーニング、あんまり楽しいのでOurAge読者の皆さんにもおすすめしたいところですが、ガチのサイクリストでもない限り、ロードバイクも持っていないでしょうし、有料アプリや、アプリと連動するサイクルトレーナーを買うのは、かなりハードルが高いですよね。
ただ、今の状況では、自宅で運動したい気分も日に日に募ってくるでしょう。
「ジムにも行けないし、いっそエアロバイクでも買おうかしら」とお考えになった方もいらっしゃるのでは?
そんな方には、よい手があります!
エアロバイク(1万円台からあります)を買って、Youtubeのサイクリング動画を見ながらペダルを漕ぐ、というのはいかがでしょう?
なんなら動画を見るだけでも、広々とした風景に癒されて、ツーリング気分も味わえるし、じゅうぶんストレス解消になりますよ!
たとえば、こんな動画:
画面に広がるダイナミックな風景は多彩。ドイツ、フランス、イタリア、オーストリアのアルプスもあれば、スペインのビーチも。すべてリアル映像です。ツール・ド・フランスのコースや、”ファット・バーニング”などのトレーニング動画もあります
これなら見ているだけで世界中を旅している気分になれて、楽しい! しかも、
Virtual Cycling Videos というこのサイト、Youtubeで誰でも見られて、幸いなことに無料です。
おうちでライド、のご提案、いかがでしょう?
なにしろ、ジムに行かなくたって、雨の日だって、自宅ですぐ始められる。しかも着替えなくてもいい(笑)メイクも要らない(笑)
ズボラさんにはうってつけのスポーツです。
「おうちでライド」の私流スタイル。下はサイクリングショーツ、上はブラトップ一枚。楽チン!洗濯物も減って環境にも優しい!(笑)