突然ですが、「終活」を考えたことはありますか?今は終活という言葉が浸透し、一度は意識したことがある人も多いのではないでしょうか。楽天インサイトの調査では、終活を考える人の割合は50~60代よりもむしろ30代が増えているのだそう。また、コロナ禍で人生観が変化し、終活はますます重視されるとも言われています。
そこで、さまざまな終活サービスを手がける三井住友信託銀行のオンラインセミナーで、最近の終活事情やOurAge世代が考えておくべきことなどについて学んで来ました!
終活と聞くと、まず思い浮かぶのが「亡くなった時のための準備」。でも、それだけではありません。「終活は、人生の後半を生き生きと過ごすための活動の意味合いもあるんです」と語るのは、三井住友信託銀行の若松広明さん。例えば下記のように、この先何を処分して何をやって過ごしたいか、どこに住んでいきたいか、といったことを考えていくことが大切です。
「亡くなった時のための準備は人に頼むことメインになりますが、人生を生き生きと過ごすための準備は自分でいつでもできること。だからこそ考える機会を逃しがちです」(若松さん)。いつでもできる、と先延ばしせず、「親の相続」「子どもの独立」などを一つの節目して、考えてみるのもよさそうですね。
それでは具体的に、何をしたらいいのかについてみていきましょう!
【1】亡くなった時のための準備
自分が亡くなった時のことをどうするか、考えるにはまずエンディングノートをつくって希望を整理することが大事です。書くべきことをまとめてある手書き用のノートもありますが、そのノートに書いたことをだれがどう実現していくかも考えていかないといけません。例えば家族に頼んでおく、終活サポートをしてくれる団体に相談する、などいろいろな方法があります。
エンディングノートの作成、保管、死後事務の実行など、多方面で終活支援をするサービスが、三井住友信託銀行の「おひとりさま信託」。具体的にどんなサポートをしてくれるのでしょうか?
●希望の頻度でSNS安否確認
一人暮らしの場合、万一のときに発見されないのでは…という不安が。そうならないよう、1週間に1回、1カ月に1回など希望の頻度で、SNSの安否確認サービスがあります。
●デジタルエンディングノート
エンディングノート管理システム上に、自分のエンディングノートを作成する、オンライン上で完結する「デジタルエンディングノート」。契約時に記入するほか、随時自分で更新できるので、年齢を重ねるごとに変わる希望を反映できるのがいいところですね。ただし、死後事務の費用に変更が発生する場合は、三井住友信託銀行に連絡の上、更新する必要があります。
このエンディングノートでは、「PCやスマホなどのデジタル遺品の消去」「SNSなどの解約」「家財等の処分」といった身の回りの整理のことや、「訃報連絡をだれにするか」「どんな葬儀にするか」といった葬儀関連のことなどを託せます。
「日本では2021年に100歳以上の高齢者が史上最大の約8万6千人に。その約9割が女性なんです」(若松さん)。女性はパートナーより長生きする可能性も高いし、子どもが独立し遠くに住んでいて迷惑をかけたくないというケースも。そういったことを考えると、おひとりさまだけでなく、家族がいる人も気になるサービスですね。
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提携社団法人が死後事務を履行
デジタルエンディングノートに記載した希望を委任できる、一般社団法人安心サポートが家財処理や葬儀のことなどを実行してくれます。
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死後事務の費用などの資金を管理
お金を預けておくことで、相続発生時に死後事務の費用をそこから支払ってもらえます。また希望すれば、寄付や遺贈の処理も可能です。
亡くなった時の不安は尽きませんが、こうして1つ1つ整理して、できることがあると思うと少し気持ちが楽になりますね。
【2】人生を生き生き過ごすための準備
自分が亡くなった後のことについて具体的に考えていくと、イメージが湧いてきて、亡くなるまでにしておきたいことなどがわかってくる気がします。死後事務のお金を残しつつ旅行など好きなことをしたり、気に入った家で生活したい、ずっとペットと過ごしたい、といった希望が見えてきそうですね。中でもコロナ禍で飼う人が増えたペットについては、自分が亡くなった時の不安を抱える人も多いですが、それを解消するのがペットのための「遺言サービス」です。
●ペットが幸せに暮らすための「遺言サービス」
「遺言信託」(ペット安心特約付き)は、犬や猫を飼っている人が自分にもしものことがあったとき、ペットのための「遺言書の作成、保管、執行」を実現してくれるサービス。亡くなった後にペットのお世話をしてくれる人への引き渡しや、遺産から飼育費を譲渡するなどができます。
ペットの性格や特技、かかりつけの病院などを書ける「ペット手帳」もあり、新しい飼い主さんのところでも快適に過ごせるよう配慮されています。ずっと幸せにすごしてくれると思うと、肩の荷が下りる感じがします。
●住宅ローンと遺言を組み合わせた「ハウジングウィル」
また、50代は子どもの独立で家が広くなったり、これからの生活に便利な家に住みたいなどで、住み替えをすることもありそうですね。住宅ローンで新たな家を購入した場合、ローンの契約の際に亡くなった時などにローンが完済される保険である団体信用生命保険に入っていれば、万一の時もローンの心配はありません。でも夫に万一のことがあった場合、子どもがいない場合は夫の両親が健在だと夫の両親と共有に。子どもがいる場合は子どもと共有することになります。家を手放す場合には、共有者の同意がないと売却できないなど、手続きが面倒になってしまうことも…。
それを解決するのが「ハウジングウィル」というサービス。住宅ローンの申し込みの際に契約者が家の相続に関して遺言書を書けば、三井住友信託銀行が保管してくれます。夫が契約者の場合、夫に万一のことがあった際には、三井住友信託銀行が家庭裁判所に遺言書の検認の申し立てを実行。遺言書に「自宅を妻に相続する」と記載してあれば、妻が単独で相続することができます。
・ハウジングウィルの仕組み
これで住むところに困る、といった住まいの悩みが解決されそうですね。
終活は考えなければいけないことが多いし、誰に何をどうやってもらうかひとりで悩みがち。でもこういったサポートサービスを活用することで、ぐんと終活を前向きに考えられそうです。自分がどうしたいかをしっかり考えながら、上手にサービスを活用していきましょう!
※ご紹介のサービスには手数料等がかかる場合がありますので、ご自身でご確認ください。
◆資料提供/三井住友信託銀行
取材・文/倉澤真由美