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「防災散歩」で家の周囲の安全をチェック! 地震や水害で危険な場所はない?

地震や水害、土砂崩れ、津波など。災害が起きたとき、自宅の周囲はどのような状況になるでしょうか? 屋根の瓦や塀、店の看板、電信柱、信号など。普段何気なく目にしているものが、災害時には危険な凶器になることがあります。無事に逃げ道を確保できるよう、自宅周辺を歩いて安全を確認する「防災散歩」を行いましょう。

災害時の避難場所や避難所、知っていますか?

 

こんにちは。防災士、防災食アドバイザー、管理栄養士の今泉マユ子です。

 

「もしも…」のときに命を守るため、今日できること。今回は、避難路の確保と自宅周辺の安全について考えてみましょう。

 

自宅周辺といえば、住み慣れた土地。どこに何があるかはだいたいわかっている…と思っている方が多いでしょう。確かに、暮らしに欠かせないスーパーや郵便局、銀行などは、皆さんよくご存じのことと思います。

 

ですが、それを「防災」という観点に置き換えてみるとどうでしょうか?

災害時の避難場所や避難所、給水所、災害対応型の自動販売機など、いざというときに頼りになる場所がとっさに頭に浮かんでくるでしょうか?

 

災害給水ステーション

飲料水のほか、地震で火災が発生し、消火用水が不足した場合には、応急的に消火に用いられることもあります

 

災害時給水所

この標識の地下に給水タンク(循環式地下貯水槽)があり、災害時に飲料水を供給します

 

また、災害時に避難場所や避難所までどのようなルートを通るのがよいでしょうか? 地震時であれば塀や建物が崩れたり、大雨であれば浸水していたりして、避難の際に通れなくなってしまう場所もあります。こうした危険性の高い場所を把握しておくことは、安全な避難路を確保するために重要です。

 

そこで、こうした点を確認するためにおすすめなのが、防災の視点で近隣を歩いてチェックする「防災散歩」です。

 

まずは、地元の自治体でハザードマップを入手

 

防災散歩の準備として、まず入手していただきたいのがお住まいの地域のハザードマップです。ご覧になったことはあるでしょうか。

 

ハザードマップとは、災害が発生した場合に「どの地域がどの程度の被害を受けるか」という危険性を示した地図のこと。地震や洪水、津波、土砂災害など、災害の種類ごとに作成されているので、災害のタイプに応じて確認することが大切です。それぞれのリスク度合いが色分けなどで視覚的にわかりやすく示されており、安全な避難ルートを考えるためのヒントになります。

 

また、災害時の避難場所や避難所も記されているので、非常時の行動を考えるうえで欠かせないツール。自治体で印刷されたものが配布されているほか、自治体のホームページで入手することもできます。

 

ただし、「サイトで見るだけ」では不十分。紙のハザードマップを手元に保管しておくことが大切です。

その理由は、
・災害時にはスマートフォンやパソコンが使えないこともある(停電や通信障害)
・実際に歩きながら確認し、危険箇所や避難ルートなどを書き込むには、紙が便利
・家族で共有する際も、紙の地図のほうが説明しやすい

 

紙のハザードマップは、非常時の「命を守るツール」として携帯できる備えなのです。

 

そして、ハザードマップを入手したら、自分用の防災マップを作りましょう。防災の備えとして最も大切なことは、さまざまな情報を「自分ごと」として、落とし込むこと。

 

自宅や職場、子どもの学校へ向かう際など、自分が日常的に通る道を実際に歩き、気づいた危険な場所や気になる点を、地図に書き込みながら確認していくことで、いざというときに役立つ「自分専用の防災マップ」になります。

記事が続きます

自分だけの「オリジナル・防災マップ」を作成して

 

まずは、紙のハザードマップやコピーした地図、白地図を用意して、自分が日常的によく利用する場所、例えば通勤・通学に使う駅、よく買い物をするスーパー、病院や公園などを書き込んでいきましょう。

 

次に、ハザードマップを見ながら、その周辺に浸水や土砂災害、建物倒壊などの危険性がある場所を記入していきます。

 

さらに、一時避難場所や避難所の場所も書き加えて、自分にとっての安全な避難ルートを考えていきましょう。

 

ところで、皆さん。避難場所と避難所の違いをご存じでしょうか? 言葉はよく似ていますが、このふたつは役割がまったく異なるので、確認しておきましょう。

<避難場所>

地震や火災などの直後に、身の安全を確保するために一時的に避難する場所。公園や広場、校庭などが指定されていることが多いです。

避難場所は危険を回避するために一時的に滞在する広い場所。敷地面積の大きい公園や小中学校のグラウンドなどの広い場所が指定されていることが多い

 

また、避難場所は災害の種類によって異なります。例えば、上の写真のマークをよく見ると、ここは、「津波/高潮」「大規模な火災」「内水氾濫」時の避難場所。土砂災害時の避難場所ではありません。この地域の土砂災害時の避難場所は近隣の小学校です。防災散歩では、こうしたことをひとつひとつ確認することがとても大切です。

<避難所>

避難生活を送るために、一定期間滞在できる場所。体育館や公民館、学校の校舎などが指定されています。水や食料などの支援物資も、基本的にはこの「避難所」に届きます。

そして、自宅や駅、そのほかよく行く場所から、避難場所や避難所へのルートを蛍光ペンなどで色分けしてマークしていきましょう。

 

このときのポイントは、ルートは何通りか考えておくことです。普段通る道が、地震による建物の倒壊や瓦礫、火災などで通れなくなる可能性もあります。そのため、状況に応じて別の道を選べるように、複数の避難ルートを用意します。

 

また、マップに家族の携帯電話や緊急連絡先もメモしておき、この地図を常に持ち歩くようにすると安心です。

 

防災マップを作成する際は家族と一緒に作ってみんなで情報共有しておくことも大切です。

危険な場所はないかチェックをしながら防災散歩

 

こうして、自分用の防災マップが完成したら、それを持ってさっそく「防災散歩」に出かけましょう! そして、必要な情報をさらに書き足していきます。

 

防災散歩の目的は、災害時に危険な場所を避け、無事に避難できるようにすること。チェックするポイントは大きく分けてふたつ。
「災害時に危険になる可能性がある場所の確認」と「災害時に助けや支援になる施設や設備の確認」です。

① 災害時に危険になる可能性がある場所のチェック例

・倒壊の恐れがあるブロック塀
特に注意したいのは、「つなぎ目のある塀(足してある)」「斜めになっている壁」「ひびのある壁」「透かし模様のある壁」です。

・角度が急な屋根
瓦が落ちてくる危険があります。

・道路ぎりぎりに建っている家の壁
壁の一部がはがれて道路に落ちてくる可能性があります。

・ベランダや塀に置かれた植木鉢や置物
地震の揺れで落下・転倒の恐れがあるため注意。

・商店街や街路での危険物
倒れそうな看板、灯篭、鳥居など、倒壊や落下の危険があるものをチェックしましょう。

② 災害時に助けや支援になる施設や設備のチェック例

・公園の水飲み場やトイレ
・公衆電話や災害時対応型の自動販売機
・消火器が設置されている場所

これらは災害時に役立つ重要なポイントです。マップに場所を記入しておくことで、いざというときに迅速に活用できます。

 

消火器のある場所もチェックしておくとよいですね。

消火器

街で見かけた消火器もマップに記入して

 

こうして、防災散歩をしながら避難場所や避難所までのルートを歩いてみると、地図だけではわからないことが見えてきます。

 

防災散歩は、自宅や普段通る道の危険を知るだけでなく、周囲の助けになる設備や場所を把握し、情報を具体化する大切な作業です。ぜひ家族や友人と一緒に行い、みんなで共有しましょう。

 

買い物や通勤のついでに足を延ばして防災散歩をすると、日頃からの防災力アップにつながります。

 

そして、時間のある休日などには、実際に避難場所に指定されている公園などまで歩いてみることもおすすめです。このとき、家に備蓄している災害用の食べ物を持参し、公園で食べてみる「防災ランチⓇ」もぜひ試してみてください。

 

「これは味が苦手だった」「はさみがなくて袋が開けられなかった」など、実際に食べてみることで気づくことがたくさんあります。

 

また、水や電気が使えない状況で食事をとる体験をしておくことで、「何を備えておくと安心か?」が見えてきます。備蓄は「買って安心」ではなく、「使って実感」することが大切です。

記事が続きます

市役所などで最新の防災情報を手に入れて

 

ご参考までに、私の防災散歩をご紹介します。

私の家の広域避難場所は「新横浜駅前及び日産スタジアム」となっているので、普段から新横浜駅周辺を歩くようにしています。実際に歩いてみると、思いがけない発見がありました。たとえば、横浜アリーナの前に「災害時給水所」と書かれた標識を見つけたり、近所に井戸が2つあることを知ったり。こうした情報は、地図だけではなかなか得られません。

横浜駅構内の柱にはこんな情報も掲示されています。

 

横浜駅構内の掲示

津波の際の危険度や避難場所が示されています。

津波のときの避難場所が示されています

ふだん駆け足で通り過ぎることの多い駅の構内も防災という観点から改めて眺めてみて気づくことはたくさんあります。

 

そして、災害時にどう避難するか、どこに避難すればよいかは地域によって異なります。
そのため、まずは自分の住んでいる場所の情報を知ることがとても大切です。私も先日、横浜市港北区役所に行ってきました。ちょっと立ち寄っただけでこんなに資料が集められました。

市役所でいただいた資料

横浜市港北区役所でいただいた資料

 

ハザードマップだけでなく、防災ガイドとしてさまざまな情報が詰まった冊子を作っている自治体もあります。ぜひ時間を見つけて、立ち寄ってみましょう。

今泉マユ子
今泉マユ子さん
管理栄養士、防災食アドバイザー、防災士、日本災害食学会災害食専門員
公式サイトを見る
Instagram

管理栄養士としてレシピ開発、食育、SDGsクッキングの指導を行うとともに、防災食アドバイザーとしても活躍。災害時でもポリ袋と湯煎で簡単にできる調理法「お湯ポチャレシピⓇ」の指導や備蓄アドバイスなどを行う。さらに、2017年には防災士の資格を取得。食の範囲にとどまらない幅広い防災活動に従事する。これまでに、全国で行ってきた講演は400以上。日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)リーダー。東京消防庁から拝受した感謝状は11枚になる。著書に『SDGsクッキング(全3巻)』『親子で学ぶ防災教室』シリーズ(理論社)『かんたん時短、「即食」レシピ もしもごはん』(清流出版)など22冊。テレビ出演200以上、ラジオ出演300以上。新聞、雑誌、WEBサイトなどでも活躍中。

取材・文/瀬戸由美子

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