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【樫出恒代さんに相談!】楽しいはずの「推し活」。でもなぜか涙が出たり、不安になったり…その原因は? 

好きな人を応援する「推し活」。本来は元気をもらえるはずの活動なのに、最近は心配や不安のほうがふくらんでしまう…。OurAge世代には、そんな変化に戸惑う人も。「それは心と体のバランスがくずれて、“気”が足りなくなっているサインかも」という、漢方ライフクリエーターの樫出恒代さんに伺いました。

 

 

 

樫出恒代(かしで ひさよ)
漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon代表。Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりのこころとからだにていねいに向き合う漢方カウンセリングを提唱。連載「女性のための漢方救急箱」の味わいあるイラストは、本人によるもの。美容家・吉川千明氏との共著に「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)

 

 

<悩み>

昔から心配性でしたが、最近は拍車がかかっている気がします。K-POPアイドル(推し)の兵役が心配で涙が出るし、ライブチケットの手続きもいちいち不安になって、呼吸が苦しくなります。楽しい趣味なのに、情緒不安定になるのはなぜでしょう? 漢方ではどんな意味がありますか?(54歳・自営業)

 

 

<回答>

いちばん大事なのは、推しよりも「自分」。漢方的アプローチで、不安の正体と向き合ってみましょう。

 

気(=エネルギー)が減っている時期

中医学では、気持ちが不安定になったり、涙もろくなったりする状態を「気虚(ききょ)」と呼びます。気が減っていると、ちょっとしたきっかけで気持ちが揺れやすく、自分を保ちにくくなるのです。今の相談者さんも、そんな状態と言えるのではないでしょうか。

 

私は、「“気”は、ポットのような容れ物にたまっている」という表現でお伝えすることがよくあります。そのポットには、日々のさまざまなこと(家族、仕事、趣味や推し活など)が入ってくるわけですが、

樫出さん 氣のポット3

 

 

気を遣いすぎたり、心配しすぎたりすると、その気はどんどん減って、やがて空っぽに近づいていきます。趣味などの好きなことは、気を増やす大切なエネルギー源なのですが、推しの兵役に涙が出るように、好きなことの中にも不安や心配は混ざっていて、気のポットにはそれらも全部入ってしまいます。すると、知らず知らずのうち、負担は積み重なっていきます。

樫出さん 氣のポット1

 

 

気のポットには、ただ楽しいことを入れ続ければいい、というわけではなく、タイミングによっては、一度中身を全部出してみることも大切。楽しいはずのこと、「行かなきゃいけない気がするから」ということにも、実は無理が隠れていないか、疲れが紛れていないか、棚卸しをしてほしいと思います。

 

「本当の不安」は何ですか?

 

相談者さんはきっと、とても頑張り屋さんなのだと思います。でも50代は、それまでとは体も心も変わってくるとき。つまり、頑張ることをやめるタイミングです。更年期の影響で女性ホルモンも減少し、生命エネルギーも弱りがちな時期でもあります。50代を過ぎたら、「頑張らない」「我慢しない」「イヤなことはしない」。大前提として、この三つはまず、心得ておいてください。

 

そして、「好きなこと」と「魂が喜ぶこと」は、実はちょっと違います。例えば、好きだからやっていることでも、体調、メンタルの調子によっては、やらなくてもいいのです。一方、「どうしてもやりたい」「どんな状況でも行きたい!」と感じて勝手に体が動き、不安が入る余地がないことなら、それはきっと、あなたの魂が求めていることでしょう。

 

「推しの兵役がつらい」という表面的なきっかけも、よくよく見つめていくと、実はその奥に、もっと大きな不安が眠っている場合があります。例えば、「これからの人生、どうなっていくんだろう」「この先、仕事がなくなったら?」「本当に信頼できる人は誰だろう」「私の人生、誰かに認められたことがあったかな?」…そんな漠然とした不安が、ふとしたタイミングで表に浮かび上がってくる。とくに50代以降は、心の奥にしまっていた記憶や感情が自然と出てくる時期。これまで頑張ってきた自分を支えていた土台が揺らぎ始める年代だからこそ、本当の不安が表に出てくるのです。

記事が続きます

不安は、自分の本音に気づくチャンス

 

私が行っている漢方カウンセリングでは、こうした根っこの不安を一緒に探っていきます。「今、一番つらいことは何ですか?」「今、一番不安なことは?」。そう問いかけると、多くの人は初め、「推しのことで…」と答えます。でも、その理由をたどっていくうち、「私、どうしてこんなに不安になるんだろう」と、自分の内側に目が向くようになります。

 

そこから見えてくるのは、自分の人生そのものに対する不安や、満たされていない想い。親子関係や人間関係、仕事のこと、自己肯定感の揺らぎです。そこには、自分でも気づいていなかった心の痛み、疲れが隠れていることも少なくありません。そこで、「こんなことで不安になるなんて」と、自分を責めなくても大丈夫。そう感じてしまうのは、冒頭の話に戻ると、“気”が足りていないから。つまり、疲れている証拠なのです。

 

不安を感じることは、決して悪いことではありません。それは、自分の本音に気づくチャンスでもある。「私、こんなに頑張ってきたんだ」「本当は、もっと休みたかったんだ」「誰かに頼りたかったんだ」。そうやって、自分の声に耳を傾けることや、自分が一番大事と思えること、自分で自分を認めること。そうやって、気を外から足すのではなく、内側から温める。これが実は一番大事な気の補い方で、気のポットを底からじんわり、温めていく力になっていきます。

 

推しを応援するにも、ライブに行くにも、自分自身が元気で、満たされていなければ楽しめませんよね。漢方でよくいう「気・血・水」とは、よく休み、ぐっすり寝る(気/エネルギー)・おいしく食べる(血/栄養&精神安定)・しっかり出す(水/老廃物の排出)ということ。この基本的な巡りこそが、気のポットをじんわりと温め、気持ちを立て直す土台になります。心も体も、気の巡りも、すべてはつながっていると考えるのが漢方。つらいときは、漢方の力をぜひ、頼ってみてくださいね。

 

取材・文/井尾淳子

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