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台風シーズン到来! 暴風雨から「命」と「家」を守るには? 備えて安心の風水害対策グッズも紹介

台風が接近していることは、テレビやラジオ、インターネットなどから、ある程度、事前に知ることができます。それでは、こうした情報を得て、暴風雨の危険が迫っていることがわかったとき、私たちは何をどう備え、どう行動すれば「命」と「家」を守ることができるのでしょうか?

不要不急の外出は控える。特に水に近い地域は避けて!

こんにちは。防災士、防災食アドバイザー、管理栄養士の今泉マユ子です。

 

今回は台風シーズンに備えて「風水害対策」の基本についてお話しします。

 

台風がもたらす災害には、大雨による河川の氾濫や土砂災害、市街地の冠水などが挙げられます。そして暴風によって看板が吹き飛んだり、樹木が倒れたりするほか、トラックが横倒しになる、電柱やブロック塀が倒れる、家屋が損壊するといった被害も発生します。

 

台風には「風」と「雨」それぞれの備えが必要です。

 

まず、台風接近時には、不要不急の外出はできるだけ控えるというのが基本。とはいえ、仕事や通院など、外出しなければならないこともあるでしょう。そうした場合には、状況に応じて「建物の中に一時的に避難する」といった判断も大切です。雨風が強まってきたら、木や看板などが飛んでくる恐れがあるため、安全な場所に一時退避して様子を見るようにしましょう。

 

また、風が強いとき、傘を差していると傘が壊れて吹き飛び、周囲の人にケガをさせる危険があります。レインウェアを着て、傘の使用は控えるのがおすすめです。また、その際はなるべく、体に合ったサイズのレインウェアを選ぶようにしましょう。

 

さらに注意したいのが水辺です。台風が近づくと、海は高波、川は急な増水、水路も急流化することがあります。絶対に近づかないようにしましょう。写真や動画を撮ろうとして足を滑らせたり、車ごと流されたりする事故も毎年起きています。

 

台風が来る前にやっておきたい! 家まわりの「備えチェックリスト」

台風接近の情報をキャッチしたら、外出を控えるだけでなく、家の中や周囲の“備え”も早めに始めましょう。以下のポイントをひとつずつ確認してみてください。

 

[CHECK 01] 家の周囲にある「もの」をチェック!

暴風で倒れたり飛ばされたり、浸水によって流されたりしそうなものが、家の周囲にありませんか? あればできるだけ屋内にしまっておきましょう。

 

風で飛ばされて破損するのを避けるためというのはもちろんのこと、周囲の人や車にぶつかって思わぬ事故につながるのを避けるためでもあります。

 

自転車もできれば屋内に入れるようにしましょう。難しい場合は倒しておいたり、柵などにしっかり固定したりしておくことをおすすめします。ベランダに出している植木鉢やガーデニング用品なども、忘れずに室内へ移動させましょう。

 

ちなみに、我が家では食品宅配の保冷ボックスを玄関脇に置いていたのですが、以前、強風でボックスが飛ばされてしまったことがありました。本体は柵に引っかかって助かりましたが、カバーはどこかへ。それ以来、風が強くなりそうなときは、重しをのせたり、家の中に入れたりと工夫しています。

 

強風時にはカバーの上に重しを置くか、屋内に取り込みます

 

[CHECK 02] 車は「高い場所」に避難させる

2024 年には大雨による被害が全国で多発。マンションや駐車場に停めていた車が水につかり、走行中の車が浸水して立ち往生するケースが相次ぎました。こうした事態を防ぐには、大雨警報や注意報が出たら早めに車を高台に移動させることが大切です。

 

最近では、警報が出たとき、浸水に備えて一時的に車の避難を受け入れる施設(ショッピングセンターの立体駐車場の上階など)も増えてきました。あらかじめ、近隣にそうした施設があるか、調べておくと安心です。

 

[CHECK 03] 側溝や排水溝の掃除も忘れずに

雨が大量に降ると、落ち葉やゴミで排水溝が詰まり、水があふれて浸水する原因になります。台風が来る前に、自宅周辺の側溝や排水溝の詰まりを確認し、掃除しておきましょう。

 

[CHECK 04] 雨戸やカーテンは閉める!

暴風雨で飛来物が窓ガラスを割る可能性があります。雨戸がある場合は早めに閉め、雨戸がない場合もカーテンをしっかり閉めておくことで、ガラスが割れた際の飛散防止に少しでもつながります。

 

また、就寝の際には念のため窓から離れた場所で寝るようにしてください。暴風雨対策だけでなく地震対策も兼ねて、平時に飛散防止フィルムを貼っておくのも効果的です。

 

水害に備えておきたいグッズ5選

ここからは、水害に備えて日頃から準備しておきたい防災グッズを紹介します。

 

自宅にあるか、使い方は知っているか、この機会にチェックしてみましょう。

 

① セパレートタイプのレインスーツ(上下セットのレインウェア)

普段の雨の日に使う、ポンチョやコートタイプのレインコートは、暴風雨のとき、
・中までしみてしまうことがある
・足まわりが濡れて体が冷えやすい
・避難時に動きにくい
というデメリットがあります。

そこでおすすめなのが、上下(ジャケットとパンツ)に分かれているセパレートタイプ(セットアップレインスーツ)です。上半身と下半身をそれぞれ別に、頭から足元までしっかりと覆えるタイプが◎。体が冷えて体力を奪われるのを防いでくれます。

 

◆レインウェア選びのチェックポイント

・ 耐水圧10,000mm以上(普通の雨なら3,000mmでOK)
通勤・通学や自転車利用、台風・水害時も想定するならこの程度の機能があると安心です。
蒸れにくく、長時間着用しても快適という点も選ぶ際のポイント。日常使用や災害時に避難所へ向かう際にも重要です。

 

・ コンパクトに収納できる
持ち歩きしやすく、バッグに常備できるとフェーズフリー(普段も使えて、備えにもなる)」。

 

・ 明るめの色や反射材付き
水害時は特に視界が悪くなるので、周囲から見えやすい反射テープ付きや目立つ色がおすすめ。フードに透明のツバが付いていたり、顔を覆いながらも目元部分を出しやすくしていたりといった、横や下が見えやすくなる工夫がされていると、安全面でも有効です。

 

レインウェアは「備え」としてだけでなく、普段から着られるものを選ぶのが理想的。水害時にはしっかり体を守れる機能性を持ちつつ、普段使いでも楽しめるファッション性を兼ね備えているものを選びたいですね。

 

左:ストームクルーザー ジャケット Women's /モンベル右:スーパードライテック レインパンツ Women's/モンベル

左:ストームクルーザー ジャケット Women’s /モンベル
右:スーパードライテック レインパンツ Women’s/モンベル
モンベル独自の防水透湿性素材「スーパー ドライテック®」を使用した、防水性、透湿性、耐久性に優れた登山用レインウェア。耐水圧20,000mm以上。裏地は保水しにくい高密度ニットを使用したさらっとした着心地。

 

耐水圧や透湿性といった機能のしっかりとしたレイアウェアは、アウトドアや、通勤や自転車での移動など、普段の雨の日にも便利なので、「防災の備え」がそのまま「日常の快適さ」につながります。いざというとき、しっかり身を守ってくれる一着があると安心です。色、デザイン、価格帯もさまざまなレインウェアが各メーカーから発売されているのでお気に入りを探してみましょう。

 

② 水の浸入を防ぐ! 吸水ポリマー式の「土のう」

台風や豪雨による被害の中でも特に多いのが、「住宅の床上浸水」です。

浸水対策として一般的なのは「土のう」ですが、
・土を入れるのが大変
・使用後の処分が面倒
・保管中や使用中に不衛生になる
など、家庭で備えるには少しハードルが高いです。

そこでおすすめしたいのが、高分子吸水性ポリマー(紙おむつ等にも使われている素材)を使用した土のう(土を使わないタイプ)です。

保水能力が高い高分子吸水性ポリマーと、吸水しやすく離水しにくい特殊な網目構造をもつ天然麻袋を使用した、水で膨らむ吸水土のう。有害物質を含まないので安心して使用できます。

ポリマー式吸水土のう

アクアブロック(ND-20)給水時約20kg、再利用可能。20枚入/箱 。家庭用には、少し軽めの給水時約15kg、使い捨てタイプ(NX-15)もあります(購入しやすい3枚入りで販売)。 アクアブロック日水化学工業

 

このタイプは、使う前は400g程度と軽くてコンパクト。押し入れなどにも収納しやすく、保管の手間がかかりません。使うときは、水を吸わせて約3分で20kg前後の重さと大きさに膨らみ、玄関や通風口の前に置くことで水の浸入をしっかり防いでくれます。

 

さらに、再利用可能版(ND-20)の場合は、使い終わった後は陰干しして2~3kgに乾燥させ、再利用することが可能です。

記事が続きます

③ ブルーシート

雨漏り時に天井にかけたり、屋外にある濡らしたくないものを覆ったりするのに使用できます。また、床に敷いて浸水被害から家具や荷物を守るのにも役立ちます。軽くてかさばらないので、水害が心配の地域の方は複数枚備蓄しておくと安心です。

 

④ 防水仕様のバッグと、持ち物の防水対策

 

避難時は、雨の中を長時間歩くこともあります。そのため、荷物を入れるバッグは防水仕様のものを選ぶと安心です。

また、スマートフォンや貴重品はジッパー付きのポリ袋に入れて、さらにバッグの内ポケットに収納するなど、二重、三重の防水対策をしておくのがおすすめです。

 

⑤ ヘッドライトと予備の電池

 

大雨・強風の影響で停電が発生する可能性もあります。両手が使えるヘッドライトは、夜間の避難や屋内移動時にとても役立ちます。
必ず予備の電池も一緒に保管しておきましょう。

 

ヘッドライト(GENTOS)

おでこにセットできるので両手が空き、避難の際に役立ちます。   写真左:コンパクト・ヘッドライト(GENTOS) 暗闇で視界を確保する際に便利な赤色LED搭載。耐塵・防滴(IP64準拠)で1m落下にも耐久。リフレクタータイプで広範囲照射が可能です。

 

風水害は、事前の備えと情報収集で、被害を最小限に抑えることができます。天気予報や警報に耳を傾け、危険が迫る前に行動することが何よりも大切です。家の周囲や持ち物のチェック、非常時に必要な道具の準備はもちろん、外出時・移動中に起こるかもしれないリスクについても、「もしものとき、自分だったらどう動くか?」を日頃から考えておくことが、命を守る力につながります。今のうちに身の回りを点検してみてください。

 

【教えていただいた方】

今泉マユ子
今泉マユ子さん
管理栄養士、防災食アドバイザー、防災士、日本災害食学会災害食専門員
公式サイトを見る
Instagram

管理栄養士としてレシピ開発、食育、SDGsクッキングの指導を行うとともに、防災食アドバイザーとしても活躍。災害時でもポリ袋と湯煎で簡単にできる調理法「お湯ポチャレシピⓇ」の指導や備蓄アドバイスなどを行う。さらに、2017年には防災士の資格を取得。食の範囲にとどまらない幅広い防災活動に従事する。これまでに、全国で行ってきた講演は400以上。日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)リーダー。東京消防庁から拝受した感謝状は11枚になる。著書に『SDGsクッキング(全3巻)』『親子で学ぶ防災教室』シリーズ(理論社)『かんたん時短、「即食」レシピ もしもごはん』(清流出版)など23冊。テレビ出演200以上、ラジオ出演300以上。新聞、雑誌、WEBサイトなどでも活躍中。

 

取材・文/瀬戸由美子

 

 

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