ここ数年の京都のホテルオープンラッシュは、凄まじいものがありました。
そんな中、2022 年 4 月に、世界一流のホテルやレストラン、スパの格付けを行う米国の『フォーブス・トラベルガイド』2022 年度版で最高評価を獲得し、世界が認める5 つ星ラグジュアリーホテルとして認定された、「HOTEL THE MITSUI KYOTO」。
2022年に日本国内で 5 つ星を新規獲得したホテルは、ハレクラニ沖縄とここだけです。
今年久々に伺うと、庭の木々が緑豊かに美しく成長しているのが、ロビーからも見えます。
1年で、草木が高さと密度を増していました。
チームワークとホスピタリティの良さについては、昨年の記事でも触れたのですが、ゲストを温かく迎える気配は、よりしっくり落ち着いたホテルの雰囲気に、さらに馴染んでいました。
そして今回、イタリア料理「FORNI(フォルニ)」に伺うと、なにやらスタッフが生き生きしている印象。
こちらのテラスも気持ちいいです。
2022年7月から、サステナブル・グリル料理で名を馳せる米澤文雄さんを“コンサルタントシェフ”として迎えました。
米澤文雄シェフ。「Jean-Georges」で日本人初のスーシェフに。2015年には日本最大級の料理人コンペティションRED U-35で「ゴールドエッグ」を受賞。2018年、南青山に自身のプロデュースでサステナブル・グリルレストラン「The Burn」をオープン。最近ではジャンルレスに「食」の事業を展開する新会社NO CODEを設立、2022年7月4日に自身の新店「No Code」をオープンし、オープンからすでに予約困難店に。
HOTEL THE MITSUI KYOTOは去年秋から、サステナビリティへの「食」を通してのアプローチに取り組んでいます。地産地消をとても意識しているのですが、それがどうアップグレードしたのか知りたくて、米澤シェフの就任ローンチイベント2日間の初日に行ってきました。
この日は、[Omina]というイタリア ラッツィオ州のサスティナブルワインとのペアリング コラボディナー。このディナーメニューがイベント後も、継続して提供されます。
最初は焼きトウモロコシのポタージュ 甘海老のサラダ。
これにはデュバル ルロアのブリュットリゼルブのシャンパーニュで。
この時期トウモロコシは、和でも天ぷら以外にすり流しだったり、洋でも冷製スープだったりで出てくるけれど、焼いた香ばしさが効いていて、品がいい中に懐かしさもあって、甘えびの香りと食感とともに印象的。
蟹の湯葉巻き出汁ソワーズ。
これには最初のワインの写真の白を合わせました。
湯葉の巻き方、揚げ方、それぞれどうすべきか、スープの重さ軽さ、量など、米澤シェフが考えるべきことを提起して、シェフ全員で考えて精度を上げていったそう。そういうチーム全員の自主的な動きが活気と料理のダイナミックな変化につながっているのではと、感じました。
鱧のフリット 白味噌リゾット 黒七味。
これは、京都にある地産地消のイタリアンだからこその、絶妙バランス。ちゃんと鱧の骨で出汁を取って、そこに白味噌で料理のボディを出して、黒七味の香りをスパイシーに効かせているのが、なんとも言えずいい落としどころ!! 京都の夏の象徴である鱧が、存在感のあるリゾットと合わさって、他にない美味しさになっていたのが新鮮でした。これには、香り高いヴィオニエ種のワインがとてもよく合っていました。
加茂茄子のパルミジャーナ。
これは定番ぽいメニューのようでいて、パルミジャーノのみならず、水牛のチーズ、ブッファラを乗せて、味わいをなめらかにかつ複雑にしていたり、やっぱり考えて「美味しい」のレベルを上げようと仕掛けをする、厨房の熱意を感じた一品。
黒毛和牛経産牛サーロインのグリル ブルーノワゼット。
これも、ブルーノワゼットの内側でほんのりよぎるわずかなお醤油の香ばしさと、シェリービネガーの酸もいいお仕事をしていて、パワーのある黒毛和牛を上手くエレガントに仕立てていました。
この和牛料理にはカベルネソービニオンの、カシスやダークチェリーなどの実とスパイシーさのある香りと味わいがよく合っていました。
デザートは、シソのパンナコッタ メロン 青柚子。
どのお皿にも以前よりスパイス使いが上手く効いているという印象を受けたのは、米澤シェフの真骨頂でもあると感じました。シェフは「僕の料理を食べていただくのではなくて、京都のこの場所で、イタリアンで何が食べたいか? それを作るためのヒントや調整のどこを考えればいいかを投げかけているだけなのです」というスタンス。だからこそ、スタッフのやる気が高まり、活気を感じるレストランになっているといえそうです。
そして、活気づいているのはスタッフもだけれど、料理もそうであることが大切なのだと、食べ進めるうちにしみじみ気づかされたのでした。
このレストラン「フォルニ」は雰囲気も良く、これからますます面白くなりそうです!
さて、もう一つの注目は、SPA。
地下に降りると、流れ落ちる水の涼やかな音に誘われ、灯りに従って曲がり、長い廊下を歩いていくうちに、もう異次元の気配に入り込んでいく感覚になります。
ここの地下1000mから汲み上げられた温泉に、水着で入るサーマルスプリング(温泉プール)。温度の違うジャグジーはじめ、奥深く広さがあって、まわりにある大きなカウチソファや温浴チェアとプールを出たり入ったりできます。ちょっと暗めの中でリラックスしてくつろぐいでいると、体の中から温まり、副交感神経が優位になります。汗をすぐかけるのも、ありがたい!
今回、関西圏ホテルスパ初の、バンフォード ナチュラル ボタニカル トリートメントが入ったということで、是非とうかがってきました。もちろんその前にこのサーマルスプリングに入っておくのは、マスト。
バンフォードの製品は英国ソイルアソシエーション認定されたコスモスナチュラル製品。中段のグリーンのシリーズで、bが目印。
スパで使用されるオイルは、このトリートメントのためだけの特別なブレンドです。
このオイルを贅沢に使用したプログラムは、かなりテクニックも素晴らしく、効果がとても感じられるものでした。
まず、3種の異なるブレンドからオイルを選び、体をゆすりつつ、骨の際の縦長筋肉である最長筋から棘下筋を緩めることに始まり、流れに沿って的確にほぐしていきます。
お尻のツボを丁寧に押していき、肘を使って背中もほぐし、肩甲骨もたっぷり、頭も細かくケア、すみずみまでの緊張をどんどん解いていくのでした。そのホリスティックで、リフレクソロジーも取り入れたメソッドは、とても効率的。
足も温め、お腹に置くストーンは人肌より高め60℃ですが、最後、クールストーンを額に置き覚めさせると、頭だけ覚醒して戻ってきた感じに。
ヨガの呼吸法でリフレッシュし、長く息が吸え、吐けるようになって、全身が楽になりつつエネルギーが行きわたった感が得られます。
こちらのセラピストさんがレベルが高いこともありますが、バンフォードのメソッドは、施術時間に対する充実感がかなり高いと思えました。
◆バンフォード リチュアル ボタニカル トリートメント
~2022年9月30日 サーマルスプリングSPAにて 85分 ¥ 29,500(税サ込)
10:00~22:00 ※当日の最終受付時間はメニューにより異なります。
(期間中この施術を受けると、バンフォードプチギフトがあります)
◆サーマルスプリング(温浴施設)
7:00 – 23:00(最終受付 22:30) 16歳以上
もうひとつ、こちらのハウスシャンパーニュは、グラスでいただけるのですが、今までブランドブラン、白ブドウのものだけだったのが、この夏からブランドノワール、黒ブドウをつかったものも登場。造り手の本拠地が黒ブドウで有名なアビーズなこともあり造られたようですが、これもコクがあって、でもあまり糖度の調整をしすぎていないので、キレもあり美味しくしあがっていました。ここでしか飲めないので、ついバーでも頼みたくなるのと、こちらのオリジナルのチョコレートともとても合うのです。
このチョコレートも八つ橋など気になるテイストの種類があり、カカオ、食感もろもろクオリティも素晴らしいので、いつも気になるのです。お値段もなかなかに素晴らしいのですが、チョコレート好きな方は、ショップでも購入できるので覗いてみてください。他のオリジナルスイーツも、今年はモチーフが金魚だったりして、美味しく楽しいので、よろしければ、是非チェックを。