古典落語に『死神』という有名な話があります。ある男が借金まみれになって、もう死ぬしかないと首をくくろうとしているところに死神が現れて、金もうけの方法を教えるんですね。
それは医者になって病人を治療するというものでした。病気を患っている人の枕元に死神がいれば病人は助からないけど、足元に死神がいれば、呪文で死神を追い払い、病人を治すことができるという謎の設定。それでは左右ではどうなるとか、つい余計なことを考えてしまうんだけど、話は続きます。
さっそく、医者となった男が、ある大富豪の家に呼ばれて行くと、病気で伏せっている大富豪の足元に死神が。そこで男が呪文を唱えると死神が消えて、大富豪も元気になったもんだからもう大変!男は名医として大評判になり、大金持ちになりましたとさ。
しかし、さんざん遊んで散財したあげくまたもや文無しになり、再び医者として働き始めたのはいいが、死神はいつも枕元にいるもんだから、これでは病気が治せない。さぁ困った。
そこで男は考えたね。4人の男が布団の四隅を持って、病人の天地を逆さにすりゃあ死神が足元にくるから万々歳ってもんよ。
それで死神の隙をついて、一気に布団を逆さにして呪文を唱えたら、ミゴト死神が消えて病人の病も治ったってことよ。
まあその後は、イカサマのツケを死神に払わされるんだけど、実は、聖書にも似たような話があるのよ。
イエスが、とある家にいることが知れ渡り、人々は病気やケガを治してもらおうと戸口に殺到した。そこへ病気で寝たきりの男が担がれてきた。男の友人である4人は、布団の四隅を持ち男を運んできたのだが、戸口が人々でいっぱいで中に入れない。
そこで4人は、家の屋根をはがし、布団をイエスの前につり降ろした。イエスは、友達を必死に救おうとした4人の友情を見て、病気の男の病を癒されたという感動的なお話でした。いやぁ、心温まる話だが、壊した屋根の修繕代が気になるのは私だけ?
奈良から遷都して、首都を京都に移した時の話もちょっと似てるよ。その頃の奈良は、民は病気や伝染病や飢餓に苦しみ、魑魅魍魎(ちみもうりょう)があふれ、最悪な状態だったんですって。
それで首都を京都に移し、帝を守るために御所を中心に巨大な結界を張って、化け物が入って来られないようにしたの。
結界の東西南北に通用門を作り、東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武を配置して、この四神獣が今も京都を守っているらしいのよね。
つまり!自分がピンチに陥った時、あなたのために尽くしてくれる人、祈ってくれる人を最低4人はキープしておけって話。
だって、年をとれば、この先、人の手を借りないといけないことが、悲しいことにどんどん増えるのよ。その時、渋々手を貸してもらうのか、金で解決するのか…なんかどっちも寂しいわよね。
自分は相手に、大したことができなくても、助けてくれる人。そういう人がいてこそ、心が楽になり人生は幸せなんだと思う。だから元気なうちに人に尽くして、一緒にいて楽しいなぁと思ってもらえるような人間関係を築けたら、老後もきっと大丈夫!
「ときめきのシルバー★スター」りぼん1980年4月号付録ポスター
取材・文/佐藤裕美
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