気持ちよく暮らす「生活のしきたり」/65:頼み事をするときは、自分の都合のいいようにしたいのだからわきまえた頼み方をする
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介しています。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【意思疎通をなめらかにする言葉遣いの「心がけ」】では、お互いの気持ちを通わせる言葉についてのしきたり62~67をご紹介します。
今回は、しきたり65:頼み事をするときは、自分の都合のいいようにしたいのだからわきまえた頼み方をする、についてです。
●意思疎通をなめらかにする言葉遣いの「心がけ」●
言葉のトーンひとつで、相手の気持ちもわかることがあるものです。メール通信が盛んになり、話しもせず、言葉もつかわないといった人が増えているようですが、言葉はお互いの意志を通わせる、最も手軽な手段。言葉で意思疎通をはかることは、より積極的に相手を理解する方法です。
しきたり65
頼み事をするときは、
自分の都合のいいようにしたいのだから
わきまえた頼み方をする
仕事で、「○○さん、これやっておいてよ、頼むわー」と言われたら、いくら部下でも「はいわかりました」とは素直に言えそうにありません。これではまるで、家族にモノを頼んでいるような言い方だからです。仕事上の頼みですから、しかるべき依頼の仕方や言い方があるはずです。
頼みとは、自分に都合のよいようにことを運ぶ、あるいは相手を頼りにしたりあてにしたりすることです。つまり自分にとって都合のいい方向にことを運ぶのですから、それをわきまえた頼み方をしなければなりません。「頼むわー」といった言い方はないのです。
特に、目上の人への頼み事は、きちんとすべきです。そこで使うのが「恐れ入りますが」「お手数をおかけいたしますが」「申し訳ございませんが」といった言葉です。
●恐れ入りますが 相手への迷惑や失礼を詫びる言葉です。相手に仕事を頼むと、相手が進めている仕事の手を止め、仕事に割り込んだりするので、迷惑だったり、失礼だったりします。それを詫びるわけです。
●お手数をおかけいたしますが 相手に頼むというのは、その人の時間や力を頼りにしますので、手数をかけたり、手をかけたりすることで、それは相手にとって迷惑になることかもしれないのです。
●申し訳ございませんが これも、恐れ入ると同じように、相手に対し迷惑をかけてすまない、詫びる気持ちを表す言葉です。
仕事を頼むだけではありません。就職を頼む、人の紹介を頼む、留守を頼む、ペットの面倒を頼むなどさまざまな頼み事は、自分の都合がいいようにことを運ぶわけですから、頼み事をお願いした人に、その結果について、経緯とともに、「ありがとう」の礼を言うのが当たり前です。頼むだけ頼んで、礼も言わないのは、大人ではありません。気安く頼まない、できることは自分でやるといった気がまえを持つことが、家庭のしきたりであってほしいものです。
次回は、しきたり66:相談されるときは、すでに出している結論を聞いてほしいだけだと思って、ついてご紹介します。