自分でもできる養生として、人気の「ツボ」押し。鍼灸師、深町公美子さんによるシリーズです。
心と体にきく 毎日のツボ
第1章 ツボ押しで元気!
自分の体質を知って不調を克服
東洋思想の「陰陽(インヨウ)」から発展したものが「五行(ゴギョウ)」です。
人と自然のエネルギーは一体であるという考え方から自然を木、火、土、金、水に分けました。植物(木)は(火)で燃えて、灰は(土)に返り、灰には鉱物(金)が含まれ、やがて(水)がたまり、水は(木)を育てるという「行き来」を「五行」にしたのです。
さらには人の中にも自然をみて「木」「火」「土」「金」「水」に分けました。東洋医学の治療の原点になる分類といっても過言ではないでしょう。お互いに影響しあい、助けあい、時には変化して行き来しています。五臓(ゴゾウ)、五腑(ゴフ)、五情(ゴジョウ)、五味(ゴミ)、五官(ゴ カン)など五行をもとに人間がもっている感情や感覚を分類します。
五情を例にとってみていきましょう。東洋医学では行きすぎた感情は体に良くないといわれています。五情で「怒」は五臓の「肝」。五官でいうと「目」にあたります。「怒は肝を破る」という表現があるように、怒りっぽくなるのは肝臓の機能が低下していると考えます。そして目が疲れているとみます。
同じように「喜」は「心」です。喜びすぎると気がすすまず、意味もなく笑ったり逆に笑わなくなったりします。「思」は思いすぎたりすると気が終結してしまい食欲が衰え、そのため脾臓(ヒ ゾウ)の調子が悪くなり元気を養えなくなるという具合に不調が生じます。こういう観点からいうと思い焦がれる恋愛も要注意なんですね。
「悲」でみていくと、悲しんだり嘆いたりするのは気が沈んで呼吸などをつかさどる「肺」の機能の低下が考えられます。「恐」の場合は、驚いたり必要以上に恐れたりすると、そのたびに気が乱れてしまい、腎を痛めるので老化を加速してしまいます。
このように日頃から五行のバランスを意識してコントロールしていけば健康になっていけます。
そのためには自分の体質を知っておきましょう。どこが突出していてどこが弱いのかわかっているとツボ押しで簡単に不調が克服できます。
次回は、ツボのとり方と押し方についてご紹介します。
構成・編集/ U T U . h i m u k a デザイン/原田暁子