京都の台所、錦市場に通じる柳馬場通を四条通から少し北にあがると、歴史を漂わす店構えが通りの西側にあります。ここは明治初年に創業した老舗の昆布専門店「ぎぼし」です。
ガラス戸をあけて店内に一歩入ると、日本人なら食欲をそそられる美味しそうな昆布の香りが漂ってきます。京料理をはじめ、あらゆる日本の料理に欠かせない旨味を作る昆布。こちらでは、利尻や日高など北海道産の良質の昆布など、京料理にふさわしい品々が創業以来、京都の食を支えているのです。とろろ昆布、おぼろ昆布、塩昆布、酢昆布をはじめ、だしのため、また料理の飾りにもなる駕籠型の昆布など、ひと口に昆布と言っても、実に種類豊富。いずれも京都の人々や料理人たちが愛しつづける品々です。
とろろ昆布といっても、酢の具合とその削り方で、それぞれの店で味が異なるそう。「うちのは、酢の香りが高く、ふんわりとしたやわらかな風味が特徴です」と、ご店主の上田昌太郎さん。酢で柔らかくした昆布の表面を削る「黒とろろ昆布」は、やや酸味が強い味。また内側を削った「白とろろ昆布」は、あっさりとしたお味。京都ではお吸い物には、その色の美しさからも「白とろろ昆布」が好まれるそう。
また料理にふわりとかけるには、まるで絹糸のように細く削られた「おぼろ昆布」が料理を際立たせます。なんでも熟練した職人さんのみができる削り方で、この店ならでは品。その姿の美しさに驚くばかりです。
料理に使う昆布以外にも酒の肴にぴったりの香ばしい「揚げ昆布」や疲れを癒す「酢昆布」、細かく刻んだ昆布の「刻み昆布茶」など、手軽に味わえる品々も揃っています。
なかでもおみやげや贈答品に京都の人が愛用するのが「吹よせ」。
昆布、あられ、豆、海老煎餅など、20種類以上の品々が組み合わされた「吹よせ」は、この店の人気の一品。それぞれの品を、昔から付き合いのある職人さんに依頼したもの。いずれも香ばしく美味しい品。それらを店で混ぜ合わせ、いっそう変化に富んだ味わいを楽しめるようにした逸品です。「軽い味わいの煎餅は、油で揚げず、焼いたもの。ですからとても風味豊かで食べやすいんです」と上田さん。本当に軽やかなお味で、思わず止まらなくなる美味しさ。子供からご高齢の方まで、幅広い年齢層に愛される味です。
評判の「吹よせ」は、袋詰めと箱詰めがあり、おみやげや贈答品には浮世絵の包み紙が施された箱詰めが人気。箱や袋にいっぱい隙間なく詰められた姿にも感激します。
昔から地元で愛され続ける味を、京都のおみやげに、ぜひ求めてはいかがでしょ。お取り寄せも可能です。
ぎぼし
京都市下京区柳馬場通四条上ル
☎075‐221‐2824
9:00~17:30 日曜・祝日休み
小原誉子ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」
http://blog.goo.ne.jp/mimoron/