“若々しくて美しい人”という印象を、私たちは一体何から感じ取っているのでしょうか。
美容エディターの松本千登世さんは、真の美しさとは何かを、繊細な感覚で捉えて表現する達人。MyAgeやOurAgeの連載、『もう一度、大人磨き』でも、その洞察力と流麗な文章が読者の感動を呼んでいます。そんな松本さんに、ご自身の美の習慣を交えながら「見た目の印象の秘密」を解き明かしていただきました。
松本千登世(まつもとちとせ)/美容エディター
1964年生まれ。客室乗務員、広告代理店勤務、出版社勤務を経てフリーランスに。自らの経験に基づいた審美眼によって語られる、エッセイや美容特集がつねに注目の的。著書に『美人に見える「空気」のつくり方 きれいの秘訣81』(講談社)などがある。
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◆見た目の印象は角層で決まる!?
「見た目の印象に影響を与えるものというと、髪型やファッションなどさまざまな要素がありますが、私たちの目は、実は肌の状態から相手の印象の多くを感じ取っています。特に、頬のツヤ感や顔全体の透明感などから『若々しいな』とか『きれいな人だな』といった印象を持つのです」
と話す松本さん。肌が印象に及ぼす影響は想像以上に大きいといいます。
「肌には、その人がどのようなものを食べ、どんな風に眠り、どのような暮らしをしているかもあらわれます。肌はごまかせないんですね。
そのように見た目の印象を左右する肌ですが、私たちが見ているのは肌の表面にある『角層』部分。この角層が潤っていることでキメが整い、ツヤ感や透明感があらわれます。たった0.02mmしかない角層で、見た目の印象が大きく変わるんです」
◆すりガラスに水がかかったような、あの透明感
角層は潤っていないとどうなるのでしょうか?
「よくお話するたとえですが、すりガラスに水をかけると透明感が出ますよね。角層でも同じことが起きています。お風呂上がりに血色がよく見えたり肌に透明感が出るのは、角層に水分が保たれているからなんです。逆に、肌がくすんで見えると感じるのは、角層が乾燥しているとき。角層がしっかり潤ってキメが整っていると肌はつるんと見えますが、乾燥してキメが整っていない状態になると、めくれた角層によって小さな影がたくさんできてしまいます。それが全体的にくすんで見える原因なのです。
地下鉄の窓やショーウィンドウに映った自分を見て、ギョッとすることはありませんか?(笑) それは顔の影を感じ取っているからなんですね。角層が乾燥して、キメが整っていないから小さい影がたくさんできて、想像以上に老けて見えてしまう。
もちろん、小じわやほうれい線、“顔の下半身”のたるみなど、細かな老け見えの要素はありますが、パッと見たときのくすみ感は、顔の全体的な影からくるもの。若々しさというのは潤いによるツヤ感です。ツヤさえあればぴかっと輝いて見えるんです」
くすみは角層の潤い不足による影も原因だったなんて、ちょっと驚きです!
◆繊細なシルクをデニムのように洗っていた
50代でも輝くような美しさの松本さんですが、肌にはどのように向き合ってきたのでしょうか。
「私が美容の仕事を始めたのは30歳の時。当時、肌はあまりきれいな方ではなく、仕事も忙しくボロボロの状態でした。元々肌には自信がなかったので諦めていたところもあり、スキンケアも相当手抜きしていたと思います。
ところが、ある美容家の先生に取材をさせていただいたときのこと。
『あなたに肌のことを語られたくない。自分の肌も愛せないような人が、読者を説得できるの?』とお叱りを受けました。とてもショックでしたが、同時に先生の美への愛を感じ、『この先生についていってみよう!』とワクワクしたのです。
洗顔もスキンケアも自己流で適当だった私に先生は、『肌はシルクのように繊細なのに、あなたはデニムのように洗っているでしょう』とおっしゃいました。その日から洗顔方法を変えました。丁寧にスキンケアをするようになると1日で手触りが変わり、1週間で肌の印象が変わったのです。それは本当に驚きの体験でした。
『肌は生きている。いつでも挽回できる!』。これが、美容の道に進んで実感した喜びです」
◆OurAge世代のスキンケアは、結果が分かりやすい
美容の道に進み始めてから約20年。今では肌にきちんと向き合い、しっかりとコンディションを整えている松本さんが大切にしている習慣を教えていただきました。
❶肌を傷つけるほどゴシゴシ洗わない
❷日焼け止めクリームを欠かさない
❸朝晩、ローションを染み込ませたコットンで両頬と額、顎の4か所パックを3分間
❹睡眠は最低6時間
❺お風呂は欠かさずに。39度の浴槽に20分浸かる
「ある専門家の方にお風呂の重要性をお聞きしてから、バスタイムは優先的に大事にしています。忙しいときは、睡眠時間を削ってでもお風呂に入るくらい。しっかりお風呂に入ると睡眠の質が高まることがよくわかります。
コットンパックは額、両頬、顎に3分間乗せるだけ。私はその間にメールを書いたりしています。これで角層が潤って、透明感が出るんです。
50代のいいところは、スキンケアのビフォー、アフターが分かりやすいこと。若い健康な肌だと違いがあまりわかりませんが、50代のしぼみがちな肌ならすぐにふっくらするのを実感できるので、続けられるのではないでしょうか」
私たちも松本千登世さんの美の習慣、早速真似したいですね。
◆角層に潤いを閉じ込めて、見た目の印象をアップ
同世代の女性の9割は肌が乾燥しているといっても過言ではありません。それはやはり、スキンケアが十分ではないことが原因のひとつのよう。
「たとえばお薬を『1回に3錠飲んでください』と処方されたとき、『私は小柄で痩せているので2錠でいいか』とか『症状が軽いので1錠でいいよね』と、量を減らして飲むとどうなるかご存知ですか? それはゼロ、つまり飲んでいないことと同じなのだそうです。3錠飲んで効果が出るわけです。化粧品もそれと同じで、最低でも既定の量をつけることが大切。その上で、まだ乾燥していると思ったら追加でつけたりするくらいで、ようやくしっかり潤うのです。
これからの季節はますます乾燥が進みます。角層にしっかり水分をキープするために、スキンケアがきちんと足りているか、見直してみることも大切です」
この秋、登場したエスト ザ ローションは、肌の貯水力を高めると話題の化粧水。松本さんも毎日のスキンケアに、コットンパックにと愛用しているそう。
「新しいエスト ザ ローションは、少しとろみのあるテクスチャーで安心感があります。私たち世代の肌にとって潤いが持続するのは理想的ですよね。ベースメイクは角層を整えることからすでに始まっています。水分を足してあげると肌がふっくらして、メイクののりだけでなく、肌色も変わってきますよ。角層ケア、見直してみてくださいね」
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松本さんもお気に入りのエスト ザ ローション。砂漠の塩湖でも水分を逃がさない“極限環境生物”が生み出す「エクトイン」の「保湿力」に着目。過酷な乾燥、環境でも長時間うるおいが続くエスト究極の化粧水で、角層に潤いを閉じ込めて、この冬は見た目の印象をアップさせたいですね。
角層細胞のケラチン線維に水分を抱え込ませ、肌の奥(角層)まで潤って、明るくハリのある肌に。とろみがあるのにすっとなじむテクスチャー。
美容誌『MAQUIA(マキア)』(集英社)のベストコスメで「ベスト・オブ・ベスト大賞」を受賞。
本品 140ml 6,000円(税抜)
レフィル 130ml 5,500円(税抜)
撮影/小山志麻 ヘアメイク/山川和絵(Garland) 取材・文/島田ゆかり