京都の町中を東から西へと続く三条通は、昔からハイカラな店が連なり、京都を訪れる人の町歩きにはおすすめの通り。歩くごとに、時代の流れを感じさせる景色が現れ、飽きることがありません。そんな三条通を西に進み烏丸通を越え、西洞院通を過ぎてすぐのところに、昨年オープンした「うつわの店 若葉屋」があります。
この店は、以前は京都で100年続く「若葉屋化粧品店」で、店主の高山尚希さんは、その4代目にあたります。昔は、商店街があったというこの辺りですが、今は、当時の店のほとんどは代替わりし、店を閉じたり、マンションになったりと、ずいぶん様変わりしました。
そのような状況のなか化粧品店を閉じ、新たな店をオープンするきっかけになったのは、高山さんのおじ様の陶芸家、高山正道さんの作品でした。
(高山正道さんの作品)
開店当時は、化粧品店の一角に以前から並んでいたそれらの作品を、全面的に展開する器の店だった「うつわの店 若葉屋」。1年半の間に、奥様の真希子さんと共に、陶芸市や作品展などに足を運び、さまざまな陶芸作家さんとの付き合いを広げ、今や20人ほどの作品が店に並び、企画展なども開催するまでに。
「若葉屋」という屋号をそのままに、生まれ育った場所で新たなスタートを切ったのは、先代たちが100年守り続けた店への感謝と思慕に他なりません。器を並べる什器も、昔から店にあったものを再利用。歴史が刻まれた木製の棚に、若手陶芸家たちの作品が見事に調和しています。
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「叔父の作品は、料理を引き立てる器で、和洋中どんな料理にもマッチする、温かさとやさしさを備えている、使いやすいものばかりです」と高山さん。ほかの作家の器も、その思いに沿うように、現代の食卓と料理に似合う姿をしています。
(見野大介さんの作品)
関西で活躍する多くの陶芸家は、京都伝統工芸専門学校や京都府立陶工高等技術専門校で学び、技を磨いた人たちで、職人としての確かな腕を持っています。吉井史郎さん、長元宏さん、見野大介さん、松本郁美さん、川戸圭介さんなど、この店に出品するベテランおよび若手の陶芸作家の多くも、そこで学んだ人たちで、いずれの器も丹精なフォルムで、職人の技と作家としての美意識を感じさせるものばかりです。
(松本郁美さんの作品)
(川戸圭介さんの作品)
「ここに来るのは京都の旅の楽しみです」という常連さんも増えているそう。
訪れては、お気に入りの器をひとつ…。錦市場などで求めた京の味を盛れば、旅の楽しさが食卓に蘇ってきます。器好きには、ぜひおすすめのお店です。
うつわの店 若葉屋
京都市中京区三条通西洞院西入ル塩屋町53 ☎075‐221‐0467
営業時間10:00~19:00 水曜休み
小原誉子ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」