20代で社会人になったころ、覚えたお酒がバーボン。
スコッチウイスキーは親世代、バーボンウイスキーは自分たち世代のウイスキーと考え、当時勤務していた会社のあった赤坂やプライベートで遊びに行く渋谷のバーで、ジャズやソウルを聴きながら、ワイルドターキーやオールドグランドダッド、ブラントンのソーダ割をよく飲んでいました。
最近ウイスキーと言えばシングルモルトばかりになっていましたが、焦がした樽の香ばしい風味のバーボンを懐かしく思うこともしばしば。一昨年秋、世界のウイスキー1000種類が揃っている「トーキョーウイスキーライブラリー」が表参道にオープンしたときき、久しぶりに面白いバーボンを探しに訪れたいなと思っていました。
そんな折ネットの情報で、ケンタッキーバーボン「ワイルドターキー」が、バーボン愛好者を対象にテイスティングセミナーを開催することを知りました。会場はトウキョウウイスキーライブラリー。早速申し込みました。
イベントで紹介されたのは、「8年」、「13年」、「レアブリード」、そして2月に日本で新発売される「ケンタッキースピリッツ」の4種類。日本は高級志向が比較的強い市場だそうで、プレミアムな8年、13年は日本市場のみで流通しているそうです。
「8年」は20代の頃によく飲んでいたもの。特別な機会には「12年」でしたが、今は「13年」に変わったようです。「レアブリード」と「ケンタッキースピリッツ」は飲んだことがないので、テイスティングが待ち遠しい。会場には同世代と見受けられる夫婦や友だち連れの姿も目立ちます。
来日中の4代目マスターディスティラー(蒸留責任者)エディー・ラッセル氏から、今やケンタッキーバーボンの代表的ブランドに成長したワイルドターキーの歴史や商品の特徴についてお話を伺います。
バーボンの味を決めるのがマスターディスティラー。父親であるジミー・ラッセル氏と36年に亘り2人でマスターディスティラーを務めているのは、世界でも例がないそうです。ジミーさんは、在職歴世界最長の現役マスターディスティラーであり、バーボン業界の生きるレジェンドと言われる存在。そんな父親からバーボンつくりのいろはを教えられたエディーさん。エディーさんが語るそれぞれの商品の味わいは、説得力があります。
一番左が「8年」、その隣が「13年」。
バーボンは内側を焦がしたオークなどの木樽で熟成されるのですが、「8年」はオーク樽を焦がしたトーストや熟したフルーツのような香りとコクのある味わいがあります。5年ながく熟成させた「13年」は香ばしさがより円やかになり、ハチミツやナッツの香りと少しスパイシーなバニラの味わいに変化しています。
左から3番目は、6年、8年、13年ものをブレンドしたバーボンの樽出し原酒「レアブリード」。加水していなくてアルコール度数が高いのですが、花の蜜のような香りととてもすっきりとした味わいで、とてもエレガントさを感じます。これは、蒸留方法のこだわりがなせる技だそうです。
そして一番右側がこの2月日本新発売の「ケンタッキースピリッツ」。ジミーさんが1樽1樽選んだ150樽のみの限定品。ハチミツの香りがとても強くナッツやブラックベリーを思わす特徴のある味わいです。これはストレートで飲むのがおすすめだそうです。
エディーさんの情熱のこもった説明とともに行われたテイスティングには、私も熱が入ってしまい描写がながくなってしまいましたね(笑)
テイスティングのあとは、「8年」、「13年」のソーダ割とともに、ワイルドターキーにあうお食事をいただきました。生ハムやピクルスなどの前菜、モッツアレッラやピザなどのチーズ系、ソーセージ、食中酒として幅広いお料理と相性がよかったです。
参加者に配られたお土産のTシャツにエディーさんにサインをしていただきながら、ワイルドターキーの味をつくりあげる最も重要な要素を伺ったところ、「熟成のながさ」という答えでした。バーボンは瓶詰前に最短2年熟成をさせる決まりになっています。市場にでているバーボンは4年熟成が多い中、ワイルドターキーは最短6年、最長13年の熟成をかけたものを商品化しています。やはりブランドとして存続していくためには、独自の商品基準を設けることも大切なのですね。
今回は、思いがけずマスターディスティラーに会える機会に巡り合えました。
自分が興味を持っている事柄は、SNSやネットニュースをチェックしていると、イベント情報などが入手できます。今後もおでかけの参考にしたいと思います。