最近、よくランチで行くのが、北大路通と賀茂川が交差する橋のそばに、「グリルはせがわ」という洋食屋さんです。以前から何度も店の前を通っていたのですが、いつもランチ時は、何人もの人が待っているので、諦めていました。
そんなある日、開店時間から間もない11時半過ぎに店内へ。一歩中に入ると、木の温もりが漂う床や梁…厚い木製のテーブルや椅子、壁には風景画や花の絵が掛かり、穏やかに流れるクラシック音楽のBGM…懐かしく、落ち着く雰囲気に満たされています。
テーブルに置かれた木製の表紙のメニューには、ハンバーグやエビフライ、ステーキなど、さまざまな洋食の定番が並びます。その種類の多さと、どれも食べたいという思いから、選ぶのにかなり時間がかかりました。まずは、ここの名物のハンバーグに注目。それに好みのフライを組み合わせるセット1100円が人気だそう。ハンバーグもフライも両方食べたいという欲張りな人向けのメニューです。
悩んだ末、サーモンフライとハンバーグの組み合わせを注文。運ばれたお皿には、ケチャップソースがたっぷりかかったハンバーグ、そしてタルタルソースが添えられたサーモンフライがセットされ、脇にはサラダとトマト味のスパゲッティ―ものっています。メニューは、昼夜共通。いつ来ても、同じメニューが味わえるのです。
ジューシーなハンバーグとケチャップソース、そしてフライとタルタルソースの調和は、まさに思い描く洋食の味わい。サラダには特製ドレッシングをたっぷりとかけて…。思わずご飯が進みます。美味しくて、1100円でこんなにボリュームがあるのに感激します。
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そもそもこのお店の創業者の長谷川好成さんは、若い頃は画家になりたかったという方。
18歳から、かつてお菓子屋さんだった実家を手伝いはじめ、そこで喫茶店やフルーツパーラーなどをしたことも。そんな時代から作り始めた洋食を専門にしてお店を始め、すでに40年…現在に至ります。「実は洋食は独学なんです。はじめは料理の本などを見ながら、作ったんですよ」と笑いながらおっしゃいます。でも、その美味しさから想像するに、きっといろいろ努力なさったのだろうと…。「この店で働く人は、どこかで料理の修業をしたという人はいないんです。ここで一緒に働いて身に付けていったもの」と、意外なお答えに驚きます。子供からお年寄りまで誰もが食べたい…そう思う味が、ストレートに表現されている「グリルはせがわ」の洋食。いろいろなうんちくは不要です。1度食べたら、また恋しくなるそんな味なのです。
「店内の改装なども、少しずつ自分でやったんですよ」と、もともと画家を志した長谷川さん。インテリアなどにも、アートな雰囲気が漂います。テーブルに置かれた木製のメニューやナフキンホルダー、楊枝入れなどに描かれた花の絵は、ご自身の手によるもの。壁にかかる花の絵にも、長谷川さんの作品が・・・。
また料理の美味しさは言うまでもありませんが、このお店のスタッフの穏やかな対応が多くの人を惹きつけているのだろうと訪れるたびに思います。それは店主の長谷川さんのお人柄によるものでしょう。店の奥の厨房では、長年ここで共に働く人たちの姿が…。みんないつもにこやかに挨拶してくださいます。
店の一角で4人掛けのテーブルを囲む子供連れ…。ここに来るのが楽しみだったのでしょう。口の周りをトマトソース色に染めながら、嬉しそうにハンバーグやスパゲッティーを食べる子供たち。きっとここの味が、大人になっても食べたいと思う懐かしい味になることでしょう。「そう、もう三代に渡って来てくださる方も多いですよ」と長谷川さん。いつ訪れても、変わらぬ味が楽しめる…そんな町の洋食屋さんです。
店のそばの賀茂川は、春には桜が美しく咲き誇ります。「グリルはせがわ」は、持ち帰り専門店「洋食弁当はせがわ」も併設。地元の商店の人達が、昔から贔屓にするお弁当です。
京都の桜も、間もなく…。ここの洋食弁当を持ってのお花見もおすすめです。
営業時間内は、いつでも同じメニューの料理が味わえます。1度訪れると、京都に来るたびに行きたくなるのでは…。
グリルはせがわ
京都市北区小山下内河原町68
075‐491‐8835
営業時間/11:15~14:30LO 16:00~21:00LO
洋食弁当はせがわ
075‐492‐9921
営業時間/11:00~20:50
共に月曜・第3火曜休み
交通/地下鉄烏丸線「北大路駅」徒歩5分
小原誉子ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」