日中はすっかり春の陽射しです。庭に残る雪山から突き出る木蓮も、芽吹き始め、春の喜びが湧いてきます。
そんな早春の風景に感化され、前回に続き「芸術に触れる春」というテーマでおでかけをしてきました。秋田県内にも、規模は大小様々ですが、美術館や記念館、工房がけっこうあるんですよ。
今回は、昨年7月にオープンした「秋田市新屋ガラス工房」さんへ。
住宅や昔ながらの個人のお店が建ち並ぶ中に、溶け込みながらも目を惹く、広々とした趣のある建物です。
こちらのガラス工房は、美術大学の学生さんや若手アーティストが活動し、秋田で独立を目指すというコンセプトのもとにつくられたそうです。まちづくり、地域の方々との交流の拠点として整備された場でもあり、地域に密着した施設。素敵ですね。
入り口すぐの右手にギャラリーがあり、3月は、ガラス工房所属の女性作家さんたちが1週間ずつのリレーで作品を展示。この週に展示をしてらした作家の米山佳菜子さん、快く一緒に写真撮影をしてくださいました。
ギャラリーを出るとその先にはカフェテラス、ギフトショップがあります。
さらに進むとガラス細工が作られる、3つに分かれた作業室が。
用事を済ませてから向かったために、閉館間近の入館でしたが、それにもかかわらず、スタッフの女性の方がこちらのブログの意向を責任者の方に伝えてくださり、広報企画マネージャーの方が丁寧に作業室を案内・説明してくださいました。皆さんのお心遣いに感謝です!
作業室は次に続きます。
ホットショップ(吹きガラス室)という溶解炉の部屋では、男性作家の吉岡星さんが赤々と燃えるグローリーホール前のベンチに座り、作品の仕上がりと作業手順のイメージをしています。精神を集中させている様子。
奥に進むと、 キルンショップ(電気炉室)、コールドショップ(加工室)とあり、ここでもガラス細工が出来上がる工程を見学できます。コールドショップでは、砂でガラスの艶消し加工をするサンドブラスター、グラスの底などを磨いてカタチを整える平面研磨機、それらの精密機械を間近で見られました。奥では女性作家の佐藤裕実さんが、作品の底の研磨チェックをしています。
熱いガラスに細工を施す工具、床のコンクリートにチョークで描かれたイメージ図、ワイングラスの足部分など、初めて見るものに新しい感激。
今回展示会を開催されていた米山さんの作品は、自然”(水・風・光と影・石など)や、そこから続く“生命の営みの交点”をテーマに置き、ガラスを透かして感じた世界を表現しているそうです。
自然が作り出したような色づかい、カタチ、質感。まるで土の中や湖の底からから出てきたような、美しく力強い、印象的な作品です。
中に黒いガラスを入れた四角いお皿は触れてもいいということで、持ってみるとズッシリとした重みが。このお皿にも、小さな一輪挿しにも、作品全体に重厚な上質感があります。お皿はお料理をのせる以外にも、筆置き・ペン置きにも使えたら、と言ってらっしゃいました。アクセサリーを置くトレイにもいいかもしれませんね。
作品を鑑賞し、お話しをしていて、若く小柄でとても可愛らしい米山さんが、繊細かつこんなにも力強い作品を作り出すんだなぁと、私の中で小さな感動がありました。
3月の展示会を開催した作家さんは、米山佳菜子さんの他に、平野元気さん・佐々木ちえ子さんの2人展、門馬寛子さん・佐藤裕実さんの2人展もありました。その4名の方々の展示は残念ながら見られませんでしたが、次回開催されるときは、ぜひ見に行きたいと思います。
工房に行ける方は、ぜひ足を運んでみてください。4月以降の展示会も楽しみです。吹きガラス制作体験も、毎月何度か開催していますよ。
◎秋田市新屋ガラス工房
https://araya-glass.akita.jp/