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観光客が少ない京都の桜の名所  賀茂川・高野川沿い

小原誉子

小原誉子

「京都観光おもてなし大使」&旅ライター
アナウンサー、テレビ番組プロデューサーなどを経て、集英社「エクラ」などのライターに。
2011年より京都に在住。
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京都に住んで8回目の春を迎えます。「今年は、どこの桜に会いに行こうか」と、毎年悩むほど、京都には、桜の名所が数知れず…。ガイドブックなどに紹介されている桜の名所のほとんどは、すでに訪れ、「家の近くでも結構見られるから…」と次第に、観光客で混雑するところに出掛けない京都人の気持ちがわかるようになりました。でも、やはり3月下旬が近づくと、「あそこも咲いているかなぁ~」と、桜が気になり始めます。

 

毎年増加する外国人観光客…「どこに行ってもいっぱい!」と、日本人観光客が減少していると噂される京都。そこで今回は、私が毎年訪れる、観光客が少ない桜のスポットをご紹介します。

 

まず市街地の近くながら、観光客が比較的少ない「京都御苑」の桜です。広大な敷地を有するだけに、団体観光客がいても、あまり気にならない場所。山桜、しだれ桜など120本の木々がある北側に位置する「近衛邸跡」は、桜の園とのいわれる桜の名所。大きな桜の木々の間を巡り、その美しさを堪能できます。

 

特に、毎年見惚れるのが、「近衛邸跡」から望む御所を背景にした景色です。こぼれるように咲く桜は、なんとも豪華。このボリューム感はたまりません。

 

また広い「京都御苑」内には、さまざまな場所に桜があり、なかでも「下立売御門(しもだちうりごもん)」の東側に咲くしだれ桜の美しさは、人々の足を止めずにはおきません。

 

「京都御苑」は、1日中無料で入苑でき、近隣の人達は、自転車で走り抜けて行きます。桜を楽しむなら、特に早朝や夕暮れ時がおすすめ。16時ごろには多くの寺院が閉門。その後でも訪れることができるのも魅力。夕陽を浴びた桜はいっそう艶やかな姿です。

 

 

さて貴船方向から流れる賀茂川と大原方向からの高野川が合流し、鴨川になる、その三角地の先端にあるのが「下鴨神社」です。川沿いに続く桜並木は、まるでピンク色の帯を伸ばしたように町を縦断し、南の下流から北へと次々に開花してゆきます。

 

川沿いで桜を愛でるなら、ぜひ人が少ない高野川沿いへ。

高野川では、土手に連なる桜の木々が、川に枝を伸ばしているように見えるのです。そこは、地元の人の散歩道。朝夕、ジョギングや犬の散歩をする人が通るコースで、観光客はほとんど来ない場所です。

 

川端を桜を眺めつつ、上流へと歩きます。途中、鴨などがのんびり遊ぶ姿に出会うこともたびたび。こういうのどかな景色こそ、日常の京都なのです。

さらに北に進むと、北大路通からは、川沿いの散歩道がなくなり、車道沿いの舗道を歩くことに。その先にあるのは、京都の雄大かつ雅な景色。車の通らない小さな橋の上から上流を眺めます。

比叡山を背景に、川沿いにずっと続く桜…。毎年、見たくなる景色のひとつです。

この桜並木は、さらに八瀬方向に続きます。さすがに最後までは行ったことはありません…あしからず。

 

 

次ページに続きます。

また、「JR東海」の「そうだ 京都、行こう」の今年の春のキャンペーンに登場したのが、「下鴨神社」の西を流れる賀茂川沿いの桜です。川の両脇が鴨川公園になっており、開放的な雰囲気で桜を眺めることができ、お弁当をもっての花見をする人たちの憩いのスポット。北山の山々が京都らしい桜の景色を作ります。

 

そして賀茂川沿いの桜のおすすめ場所は、「京都府立植物園」です。

ここは、観光客ではなく、地元の人達で賑わう桜の名所。130品種、約450本の桜が、3月下旬から4月中旬まで次々に開花し、長期間楽しめるのも植物園ならでは。のびのび育った桜の美しさは、感動もの。同じ時期、チューリップやユキノシタなども盛りを迎え、まさに春爛漫の景色がそこに。

昼間も素晴らしい植物園の桜ですが、3月25日から4月7日まで、日没から午後9時まで(入園は、午後8時まで)行われる「夜間開園」では、その桜がライトアップされます。

 

実は、京都では夜桜を眺める場所が、東京のように多くありません。「円山公園」、「平野神社」など、宴会が許可された所は、とても少なく、ほかの名所は、神社仏閣ということもあり、「夜間特別公開」以外、入ることはできないため、夜桜スポットは京都では貴重。もちろん、ここ「京都府立植物園」でも桜の下で宴会はできませんが、ライトアップされた桜の数からして、なかなか見応えがあります。入場料は200円というのも魅力。

観光客で賑わう「円山公園」のような酔っ払いの姿もなく、訪れる人は、みな静かに桜を愛でて行きます。その静けさがとても心地よく感じます。

 

この場所を知ってから、幻想的な雰囲気を漂わすこの景色は、見逃せない春の夜の楽しみになりました。

 

実は、昨年の台風21号で、京都の桜は甚大な被害を受けました。枝が折れるだけでなく、まさに根こそぎ倒された木も少なくありません。そのため、今年の桜の状態が気になるところですが、多くの人の保護する努力に応え、きっと桜も頑張ってくれるものと期待しています。

 

すでに早咲きの桜が咲き出した京都。今年も心躍る季節が訪れようとしています。

 

 

京都府立植物園

京都市左京区下鴨半木町

075‐701‐0141 入園時間9:00~16:00 入園料200円

(春の夜間開園は、3月25日~4月7日入園時間日没~20:00)

交通/京都市営地下鉄烏丸線「北山駅」徒歩1分

http://www.pref.kyoto.jp/plant/

 

 

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