祇園の町家が並ぶエリアにできた、洗練されたインテリア雑貨ショップ「Master Recipe(マスターレシピ)京都祇園店」。観光客で賑わう「八坂神社」の石段下の「スターバックス」の南側に昨年11月にオープンしました。赤い提灯と白い暖簾が下がる趣ある町家で「ここがショップ?」と思いながら店内へ。
純日本風の外観とは異なり、中は白を基調にしたモダンな設え。吹き抜けの天井のなんとも明るい雰囲気です。棚には、一見しておしゃれと思えるインテリア雑貨が並んでいます。
この店は、東京などで人気のインテリア雑貨の「Francfranc(フランフラン)」が、日本国内26地域、世界20か国の「素材・人・技法・歴史・産地」に裏付けられた物語性のある製品に「美しさ」「新しさ」という視点(レシピ)を加え現代のライフスタイルにマッチするワールド・コンテンポラリー・クラフトとして提供するもの。その新ブランドの1号店が日本の伝統の町、京都祇園に生まれました。
ショップデザインは、大阪生まれで、香港、ニューヨーク、ロンドンなど海外で活躍するデザイナー森田恭通さんが担当。吹き抜けの空間が、1階、2階の売り場の一体感を高めて、そこに飾られる扇子のモビールが京都らしさを演出しています。
ここに並ぶ品々は、伝統と新しさを兼ね備えたものばかり。日本色が強くなる伝統工芸品も、モダンなインテリアの住まいにふさわしい洒落たセンスと軽やかさを纏っています。いずれも素敵なものばかり、これが昔からの技でできているとは信じがたいほど新鮮で、しかも長い歴史を経ても愛され続けられた最大の理由である良質感を湛えており、そのひとつひとつに心惹かれてしまいます。
なかでも、特に興味を抱いたのは、これからの季節に持ちたいと思う品。ハンガリーの籠編みの技術などを使ったフランス産柳のバスケットです。ザルツブルグ出身のシモーネ・スプリンガーと京都出身の溝渕祐二の、世界的に活躍する二人のデザイナーのコラボブランドの品。しっかりとした作りで、シンプルな編み方と黒い布のハンドルがなんともおしゃれ。中身が見えないよう内側には布…心遣いも行き届いています。
また、日本の工芸作家や工房の品もいろいろ。ケヤキ材によるタンブラー、そして栗の木でできた皿など、自然な木の温もりを感じさせる品々は、シンプルなフォルムに心惹かれます。
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「これなんですか?」とお店の方に伺ったのは、筆の産地、広島で作られた天然素材によるボディブラシ。毛質によって感触に違いがあり、自分好みのものが欲しくなります。なんともその形がステキです。シェービング用やフェイス用のものも揃っています。
すでに広く知られた伝統工芸でも、デザインによって受ける印象は大きく異なります。錫器の名店「清課堂」の器や駿河竹千筋細工は、和の趣を漂わせながら、洋の空間にもピッタリ寄り添う新しさも感じさせます。
店内は、まるでギャラリーのよう。優れたデザインと質の良さ、さすが伝統工芸の技が光る美しさ。長く使いたくなる品々で、使うほどにその味わいが増してゆくことでしょう。
時が過ぎるのを忘れてしまうひととき…美しいもの、センスあるもの、そして良質なものとの出会いは、なんとも心が豊かになる時間です。
京都を訪れたら、ぜひ立ち寄りたいショップです。
Master Recipe京都祇園店
京都市東山区祇園町南側570‐125
075‐551‐7100
営業時間 11:00~19:00 不定休
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」