海に囲まれた天草地方への旅は、まさに今がオンシーズン。
この時期には沢山の人が、夏休みの楽しい思い出づくりに天草を訪れます。
美味しいお寿司を堪能し、イルカたちと戯れてすっかり癒された後は、天草の先端・東シナ海方面に向けて車を走らせます。
(天草前篇はこちら)
この島の先には東シナ海が広がるのみ・・・という訳で、夕陽が水平線に沈んでいく様子を楽しむ事が出来るそう。ロマンチックですね!
さて、この天草地方は長崎と共にキリスト教文化が早くから伝来した土地としても有名です。
地元のタクシーの運転手さんに「ここは訪ねるべきですよ!」と伺い 、知った美しい教会「大江天主堂」。
ロマネスク様式の白亜の建物が真っ青な空に映え、それはそれは美しい風景でした。
建物は、明治25年に着任したフランス人のガルニエ神父が私財を投じて昭和8年に完成させた比較的新しい建物。
このガルニエ神父は日本文学史上にもゆかりが深く、後の文豪・与謝野鉄幹をはじめとする北原白秋、木下杢太郎、吉井勇、平野万里の”五人づれ”の青年たちがここを訪れ、旅行記「五足の靴」を書いたことでも有名です。
異国の地で布教を熱心に続けるガルニエ神父との語らいは、若者たちに大きな影響を与えたのだそう。 なかで日本を代表する詩人・北原白秋は、この経験が大きく影響されたであろう処女作「邪宗門」を明治43年に発表しているとのこと。・・・これは読んでみなくては!
大江天主堂の眼下に広がる風景。こんなに長閑で緑豊かな場所なんですよ。
またしばらく車を走らせると、次の目的地、ユネスコ・世界遺産への登録に向けた取り組みを現在行っている「長崎の教会群」のひとつ「﨑津天主堂」へ到着。
穏やかな羊角湾を臨む﨑津の漁村に建つこのゴシック建築の教会は「海の天主堂」とも呼ばれ、平成23年には、この一帯が「国の重要文化的景観」に選ばれたのことでした。
こんな静かな入江の小さな漁村で、200年余り、静かに守 られ続けて来たキリスト教文化。禁教時代には、この教会の正面祭壇で厳しい踏絵による取り締まりが行われていたそうです。
厳しい弾圧に遭っても信仰を守り通し続ける・・・当時の人たちのその強い信念には頭が下がる思いです。
美しい教会を訪ねて見て回った後には、天草下島の最南端にある町・牛深(うしぶか)でランチ。
この旅で何度も目にした「天草ちゃんぽん」を食べてみようと地元の中華料理店「京華園」さんへ。
どうやら「天草ちゃんぽん」には、こんなルールがあるようですよ・・・。
- スープは透明なものとする。
- 天草の塩を使用する。
- 天草のこだわり食材(車エビ、たこ、天草産ブランド豚)のどれかがメイン具材として入る。
- オリーブオイルで炒める。
- すり身を入れる(魚とは限らない)。
- オリジナルの後付ソースを別皿で提供する。
- 天草陶器の器を使用する。
そして、これがその「天草ちゃんぽん」。
初めは「オリーブオイル??」と思いましたが、その香りが、意外にもちゃんぽんスープと合い、美味しく頂きました。
満腹になったお腹をさすりながら、天草を北上し、一路今日のお宿へ。
この日は、上天草・弓ヶ浜温泉「湯楽亭」へ宿泊です。
カーナビで案内される道がどんどん狭くなり、恐る恐る先へ進んで行くと、こんなお宿が目の前に現れ、ホッと胸をなでおろしました。
日本秘湯を守る会の宿でもあるこのお宿は、洞窟風呂が名物で、二源泉が楽しめ、お湯の良さでも広く知られています。
ここで、「海のそば」ならではのお客様を発見!小さなカニです。
お宿のスタッフの方曰く、時々こうして「お散歩」しに来るのだそうですよ。
心地よい風の通る、とても居心地の良いお宿でした。
丸二日を掛けて、ゆっくりノンビリと天草地方を車で回った今回の旅。
「ここも国内なのか?」と思ってしまうような、リゾート感一杯の風景、入江や山の中にヒッソリと佇む美しい教会。
そして、新鮮で美味しい魚介類に天然温泉。
同じ熊本県内でも、こんなに「旅した」気分になるのかと思うほど、盛りだくさんの二日間でした。
お気に入りの場所がまた一つ増えました。
また 何度も訪ねたいところです。
■﨑津天主堂
http://www.t-island.jp/p/spot/detail/86
■湯楽亭