夏の疲れがピークに達したところで1泊2日の旅へ。
今回は誰にも気兼ねなく気ままに行きたい!私の中で「佐保のお暇」ということでひとり旅に。
都内から約一時間の箱根へ。
以前から気になっていた仙石原。
一人旅でも温泉が心ゆくまで楽しめるとの噂を聞き、星野リゾート「界のひとり旅」プランを利用しました。
この日はロマンスカーがまさかの運休でしたが予定通り15時に「界 仙石原」にチェックイン。
宿のエントランスに足を踏み入れた瞬間、檜の香りに包まれました。
日本を代表する左官職人 久住有生氏の土壁は仙石原の自然を表現していてダイナミックさに息をのみました。
ロビーには植物を専門とする中村氏による杉の原木と溶岩の作品があり、その横には約2,000本の色鉛筆や日本画の顔料、キャンバスなどが展示されたアトリエライブラリーがありました。
こちらのスペースは滞在中、自由に使えて絵を書いたり手紙を書いたりでき、「界 仙石原」を訪れたアーティストたちが実際に使った筆がオブジェの様に置かれているのも特徴。何よりその色彩の美しさに目を奪われます。
いよいよお部屋へ。
客室に入った瞬間、驚かされるのは仙石原の大自然。視界を遮るものが一切なく、大自然と街の様子が目に飛び込んできます。
「仙石原アトリエの間」として、界仙石原に実際に滞在したアーティストによる作品が飾られています。
私が宿泊した部屋は、イタリア人アーティスト マルコ・ユッセリの作品が飾られていました。
滞在中に土地や人々のパワーからインスピレーションを得て生み出されたものだそう。
来日した際、絵筆を忘れアトリエライブラリーの筆を借りて作品作りをしたのだとか!
客室から一望できる仙石原の大自然とアーティストによる絵画が一体化して客室がミュージアムのよう。
何と!檜作りの客室風呂には真っ白なキャンバスや水彩色鉛筆など画材がセットしてあり、宿泊客もアートを表現する場が数多くあるんです。
仙石原の大自然の絶景を客室風呂で独り占めしながらデッサン・・何と贅沢な時間。
泉質は大涌谷からの硫酸の温泉でpH2.0の酸性でピーリングの様な効果があり、入浴後は肌がツルツルになりました。
「界 仙石原」には現代湯治をコンセプトに温泉の泉質や自然環境などの特徴に合わせた滞在プログラムがあり1泊2日でも湯治が叶うのが魅力。
浴衣で館内を行き来できるのも、滞在中心ゆくまでリラックスしてほしいという宿のメッセージがうかがえて嬉しい。
久々に絵を描くので、自信がないなぁと思っていたら「界 仙石原」のマネージャーの藤野真司さんが美術に造詣が深く、絵画の経験もある方で、別館のサロンでデッサンのレクチャーをして下さいました。
光と影で描くデッサン・・普段使わない脳をフル稼働し、脳がほぐれてアイディアの血流が流れ出すような感覚に。
部屋に戻りデッサンするのが楽しみになりました。
ワークショップはデッサンだけでなく、写真をテーマにしたものなど興味深いものがたくさんありました。
アトリエライブラリーで開催される「ご当地楽」「彩り手ぬぐい」に参加。
型染作家さんの線画が書かれたオリジナルの手ぬぐいの中から自分が好きな手ぬぐいを選び、色付けを体験しました。
先程のデッサンのレクチャーがこちらでも役にたったり少しずつアートに触れたことで、私もアーティスト気分で無心に製作を進めていきました。
夕食はゆったり半個室で。
仙石原の自然を表した会席料理に舌鼓。
〈先付け〉サーモンの瞬間燻製
大涌谷の溶岩の噴煙が表現された燻製は何ともいい香り
〈八寸〉
日本全国から集められた美しい器に滋味溢れる食材を使用した宝楽盛り
〈旬菜土鍋ごはん〉
紅葉鯛の割り地焼きと松茸、白舞茸
脂ののった紅葉鯛と松茸の贅沢な土鍋ごはん。鯛のだしと松茸の香り、程よいおこげの香ばしさと秋がぎゅーっと凝縮されたたまらない一品。
大磯の陶芸家伊集院真理子さんの仙石原のすすきを表現した土鍋で頂くご飯はまた格別。
五感で感じ楽しむ食事でカラダも心も元気になるようでした。
温泉を堪能した後は、国家資格者のマッサージを受けました。最初にカウンセリングを受けてからスタート。
特に肩こりが酷かった私は筋肉がほぐれ、休まりました。帰宅してからおススメのエクササイズなども教えてもらい大満足。ほぐれた状態をキープしたいと思いました。
翌朝は広々とした大浴場を満喫しました。
朝食は鯵の干物、蒲鉾、自然薯ステーキなど地のものをふんだんに使った優しい味を楽しみました。
朝食後は客室風呂でデッサンを楽しんだり。
日常から離れ自分と丁寧に向き合うひととき。
アートに触れるだけでなく、実際に絵を描くことで心が解放され、また、温泉でカラダを癒し、滋味溢れる食事で五感を研ぎ澄まし1泊2日ながら心身のエネルギーチャージができました。
「界 仙石原」では自然やアート、食を通して地域の文化や風土に触れることができ、そこにゲストを迎え入れるスタッフの心が加わり、非日常空間で本来の湯治を味わうことができました。
宿を後にし、箱根ラリック美術館へ。
「箱根ラリック美術館」では、カフェ“ル・トラン” に展示されているオリエント急行でティータイム。
来年、ベニスでオリエント・エクスプレスに乗車する予定なので、その予習も兼ねて。
心も体も解き放たれる一人旅。
また訪れたいと思います。