哲学の道 散策の折に訪ねたい
木と漆のショールーム「銀意匠(ぎんいしょう)」
東山の蹴上から銀閣寺へと流れる琵琶湖疏水沿いに続く散策路「哲学の道」は、疏水に枝を伸ばす桜が、春はピンク、夏は緑、そして秋は赤いアーチが四季それぞれを彩る美しい散歩道です。
そんな哲学の道の中ほどあるのが、今回ご紹介する木と漆のショールーム「銀意匠」です。
ドアを押して中に進むと、穏やかな陽光に満ちた店内の棚やテーブルには、シンプルで洗練された器などが並んでいます。
轆轤引きで作られた丸皿やカップ、木の野趣あふれる魅力をそのまま活かしたプレート、ヒノキ材を使った桶や弁当箱など、木工品が大好きにとっては、心惹かれるものがいろいろ。
しかし、ここ心地よいと感じるのは、そればかりではありません。お店全体が、とても良質の素材で設えられていることを感じます。
実は、このお店は、「木曽アルテック」という建物の内装素材を扱う会社の京都ショールームなのです。
長野県塩尻市に本社を置くこの会社は、木曽の良質の木材と伝統の漆の技を活かし、上質の心地よいデザインで、現代感覚にマッチした建築空間を提案、創造しています。そもそも1935年より漆器製造を始め、その後、デザイン事務所や家具工場などを開設、東京青山にもショールームを持っているそう。京都にショールームができたのは、10年ほど前のこと。
湿度に強く、またそれ自体の強度にも優れた漆の特性を、独自の巧みな技術で和紙や麻、木材などに施した壁紙や床材は、空間に快適性と自然の温もりを与える日本ならでは建材。和のラグジュアリーな趣を好む京都の店舗やホテル、そして一般住宅に使われるのも頷けます。ほかでは手に入らない木曽ならではこの技術には、今や海外からも熱い関心が寄せられています。
「こういう内装の家に住んで、こういう器などを使いたいですね~」と、つい憧れが口から…。
まぁ、建材には手が出なくとも、店舗に並ぶ木工品や陶器などは、この良質の空間にふさわしいものであることを改めて感じます。
それらは、この店のオーナーが選んだ木工や陶芸作家もので、使うほどに趣と愛着が湧いてきそうなものばかり。
暮らすことを大切にしたい…そう思う人におすすめのショップです。
「哲学の道」の散策の折、ぜひ立ち寄ってはいかがでしょう。
銀意匠
京都市左京区鹿ヶ谷法然院町43
☎075-751-7175
営業時間10:00~17:00
不定休
小原誉子のブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」