おうちで楽しむ、京の味と物
全国的な移動自粛が解除され、観光地はにぎわいを取り戻しつつありますが、都道府県をまたぐ移動にはまだ十分な配慮が求められますね。
「京都旅はまだしばらくお預け」と、慎重派のみなさんに、おうちにいながら京都気分に浸れる、『おうちで楽しむ 京の味と物』をご紹介。インターネットや電話などで、全国どこからでも注文できる品々です。
第15回
人気の「タルトタタン」、クール便で全国配送が可能に
京都岡崎「ラ・ヴァチュール」
京都で「タルトタタン」と言えば、「平安神宮」の西側にある「ラ・ヴァチュール」。京都旅のリピーターなら、1度は訪れたことがあるのでは?この夏から、なんとその「タルトタタン」がクール便で全国配送が可能になりました。
そもそも「タルトタタン」は、フランスで生まれたリンゴの焼き菓子。19世紀後半に、ホテルを経営するタタン姉妹が、ある日、リンゴタルトを作ろうとして、うっかりリンゴを焦がしてしまいます。せっかくのリンゴを無駄にしたくなかったのでしょう、その焦げたリンゴの上にタルト生地をかぶせ、オーブンに入れ焼くことに。そして、焼き上がりをひっくり返すと、なんと想像を超えるタルトが出現。その香ばしい味は、思いもよらぬ美味しさ。多くの人を魅了し、ホテルの看板デザートとして評判になります。その評判がレストラン「マキシム」のオーナーに届き、その後「マキシム」の発展と共に、「タルトタタン」は、世界中に知られる焼き菓子になります。
さて京都で人気の「タルトタタン」のお話は、1971年、岡崎にフランス料理店「ラ・ヴァチュール」を始めた初代店主の松永ユリさん、辰夫さんご夫妻によって始まります。レストランのデザートとして「タルトタタン」を作り始めたユリさんは、2006年にフランスの伝統的なレシピを実践することを奨励する名誉ある組織のメンバーに認定され、ユリさんの「タルトタタン」は、フランスでも賞賛されることに。2015年、96歳で亡くなるまで、お店で腕を振るっていたユリさん。実は、そのお姿を、昔、拝見したこともあり、とても洒落た雰囲気の方だったことを、今も覚えています。
現在、ユリさんのレシピと情熱は、孫の麻耶さんがしっかり受け継ぎ、昔と変わらぬ味を今も、味わうことができるのは、本当にうれしいこと。
「ラ・ヴァチュール」の「タルトタタン」は、年間を通じ、青森産のフジとサンフジをメインに作られます。「収穫期の秋は、水分も多くさわやかな酸味が特徴で、春から夏のリンゴの貯蔵時期は、成熟が深まり、甘味が増してゆくんですよ~」と麻耶さん。
それぞれの時期のリンゴの美味しさを活かし、微妙に調整しながら、1年を通じ、本場伝統の味を作りだしているのです。その技こそが、ユリさんから受け継いだ宝物…。
生のリンゴから「タルトタタン」ができるまでには、4日間ほどかかるそう。店には、いつもここでしか味わえない「タルトタタン」を楽しみに、多くの人が訪れて、また持ち帰りをする人も後を絶ちません。
ここで「京都に行くと、いつも食べているのに、今は、なかなか行けなくて~」と、寂しく思う「タルトタタン」好きの方に朗報!
この夏から、インターネットを通じ、「タルトタタン」が注文でき、クール便での全国配送が可能になりました。
注文できるのは、15センチのホール(5,400円)で、冷凍状態でお届けします。冷蔵庫でゆっくり解凍すれば、お店と同じ味わいに…。詳しくは、オンラインショップをご覧ください。
しばらく京都に来れないという方も、ぜひおうちで京都の味を楽しんではいかがでしょ。
いつか安心して京都旅ができるのを思いながら…。
ラ・ヴァチュール
京都市左京区聖護院円頓美町47の5
☎075-751-0591
営業時間:11:00~17:30LO
月曜休み(不定休あり)
小原誉子のブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」