今年9月28日に、京都の中心地にある「高島屋 京都店」の西側、寺町通沿いにオープンした「寺院共存型ホテル」が話題になっています。それは、全167室の「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」。
このホテルがあるのは、承安年間(1171年頃)に平清盛の長男、平重盛によって創建された歴史ある「多聞山鐙籠堂浄教寺」という浄土宗のお寺の敷地で、お寺の本堂は、ホテルの建物の一角にあり、まさに寺院とホテルが一体化しているのです。
そもそも平安時代に創建された「浄教寺」が、現在の寺町に移ったのは、秀吉の寺社整理政策から…。この地で多くの人々の崇敬を集め、その後見舞われた火災でも見事に再建されました。しかし町の近代化により、地域の住民は激減。築200年を越える寺の老朽化は加速、さらに耐震基準の強化などにより、大規模な改修を迫られるも、少なくなった檀家からの支援だけでは、寺の維持および次世代への継承がむずかしい状態に…。この局面に第44代住職となった光山公毅さんは、前住職をはじめ、檀家の方々、地域住民と議論を重ね「浄教寺」再建への道を求めます。その解決策が、三井不動産との連携で実現した京都初の「寺院共存型ホテル」の開業という斬新な解決策でした。
さてホテルに一歩足を踏み入れると、そこには白と黒を基調にしたインテリアの落ち着いた趣が…。さらにかつてお寺に使われていた古木や装飾品、毛筆によるアート作品を配し、ここならではの静穏な空間が広がります。
客室の雰囲気も、ゲストに心鎮まるときをもたらすもの。
全167室は、すべてゲスト2名が快適に過ごせる客室で構成。手水鉢をイメージさせる洗面台は、バスルームから離れ客室に…。これならバスルームが使われているときも、他の人が使用できる利便性も高いレイアウトです。また畳に低いベッドが置かれた客室も3室。
グループに人気の3名で宿泊できるトリプルルームもあります。
全客室はシャワーブースのみですが、旅の疲れは、作務衣のような部屋着で行く、大浴場の湯が癒してくれます。
このホテルに宿泊したら、ぜひ参加したいのが、「寺院共存型」ホテルならではのゲスト限定の「朝のお勤め体験」です。通常、非公開寺院である「浄教寺」の本堂で過ごす朝…。黄金の仏具や装飾がまばゆい本堂に祀られるご本尊、阿弥陀如来像を拝む朝のお勤めは、心清められる体験になります。さらにご朱印拝受の特典も…。
歴史を物語る寺宝が展示された堂内は、まるで美術館のよう。そこで過ごせる時間は、きっと特別なものになるはず…。
朝のお勤めの後は、2階にあるレストラン「僧伽小野(さんがおの) 京都浄教寺」での朝食を。ミシュランガイドにも掲載された福岡の和食名店「僧伽小野一秀庵」の2号店。「吉兆」で長年腕を振るった料理長こだわりの料理が味わえます。
朝食の膳(2000円税込)は、メイン料理を浄土の世界観を表現した「僧伽ちらし」や「鰻の玉子とじ」など4種類の料理から選ぶスタイル。旬の食材を巧みにさまざまな小鉢が、いっそう食欲をそそります。
京都に5軒目となる「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」は、他の「三井ガーデンホテル」同様、京都駅の東にある「三井ガーデンホテル京都駅前」での荷物お預け、受け取りシステム「バゲージサービス」が利用でき、京都観光を身軽に楽しめるのも嬉しいこと。
京都の繁華街にありながら、喧噪から離れた別世界が広がる「寺院共存型ホテル」。GoToトラベルキャンペーンも活用できます。
三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺
京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町620番
☎075-354-1131
詳しくはホームページで。
小原誉子ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」