おうちで楽しむ、京の味と物
新型コロナの状況は落ち着いてきているようですが、まだ遠くへの旅行は慎重でありたいですね。おうちにいながら京都気分に浸れる、『おうちで楽しむ 京の味と物』をご紹介しています。インターネットや電話などで、全国どこからでも注文できます。
第28回
西陣の織屋「渡文」がつくったシルク100%の入浴用タオル
「キビソ肌友だち 輪奈」
京都西陣の大黒町は、石畳の通り沿いに西陣織を製作する織屋が集まる、京都らしい風情を漂わすエリア。その中ほどに位置する明治39年創業の老舗「渡文(わたぶん)」は、西陣織の帯や能装束の復原など、高い技をもつ織屋として知られます。
その当主である渡辺隆夫さんが、西陣織をより多くの人に愛して欲しいという強い思いから平成元年に開館した「手織ミュージアム織成舘」は、京都旅でぜひ立ち寄りたい場所のひとつです。
その建物は、昭和11年に初代当主の住宅兼店として建てられた西陣伝統的な家屋である「織屋建」の高い天井、明りとりの天窓、太い梁や柱などの特徴を今に伝える貴重なもの。
館内では、手織りの帯をはじめ、復原した江戸時代の能装束や明治から昭和初期のレトロな雰囲気の着物など、さまざまな展示が行われると共に、実際に帯などを手織りする工房の見学などもでき、和服だけではなく、京都の伝統産業に関心を抱く人にとっては、本当に興味深い産業ミュージアムでもあるのです。
さて残念ながら、今はコロナの影響でまだ観光客の姿がない京都のある日、そこを訪れ、ミュージアで心惹かれたものを今回ご紹介します。それがネットショップでも購入できる「キビソ肌友だち 輪奈(わな)」という入浴用のタオル(5500円)とミトン(3300円)です。
マスクが欠かせない日常、さらに春の訪れと共に、飛び散る花粉、強くなる紫外線など、肌の状態が気になります。ループ状のざっくりとした編み目のタオルで、手触りはゴワゴワしています。でもお湯につけると、しっとりとした感触となり、石鹸をつけ全身をマッサージするように洗うと、なんとも心地よく、肌も心なしかスベスベに…。ミトンの方は、顔用として、同じように軽くマッサージするように洗います。
さて、このタオルは、シルク100%素材で編み上げたもの。そもそも「キビソ」という聞きなれない言葉は、蚕が最初に繭をつくるときに吐く糸のことだそう。丸い繭の一番外側をつくるキビソ糸は、繭を襲う虫や厳しい環境から守るパワーあふれる糸なのです。でも、この糸は、どうしても不揃いになりやすく、衣類などを作る糸には適さないそう。
そこで新たな活用法として「渡文」は、優れた成分に注目。なんとキビソ糸には、肌を健やかに保つことから化粧品の成分にもなっているシルクたんぱく質「セシリン」が、繭内部の糸より約1・5倍以上も含まれるそう。肌にいいなら、直接肌に触れるものを…ということで誕生したのが入浴用タオルとミトンです。
ざっくりとした編み目は、「輪奈」というループ状の織り方のことで、これにより、肌に心地よい刺激と石鹸の泡立ちのよさをもたらすことができるのです。
一般的な入浴用ナイロンタオルとは異なり、肌への負担も少なく、シルクのパワーで肌の健やかさも蘇る感じが…。ちょっと贅沢な入浴用タオルですが、肌荒れが気になる人にとっては、価値あるもの。ご高齢の方にもおすすめの品と言えます。
このシルク100%のタオルとミトンにぴったりなのは、やはり「渡文」が手掛けたシルク成分を配合した天然原料でできた「肌こすり用石鹸」(80g1100円)。オリーブオイルやコメヌカオイルなどを使った肌にやさしい石鹸で、洗い心地もしっとり。
シルクのタオルと石鹸というこれ以上、パワフルな組み合わせはないかも…と思いながら、入浴タイムを楽しみにする毎日に。
シルクと織物に精通した西陣らしいネイミングの入浴用タオルとミトン。老舗の織屋「渡文」ならでは品ではないでしょうか。
渡文
京都市上京区大黒町693
☎075-441-1111
小原誉子のブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」