おうちで楽しむ、京の味と物
緊急事態宣言が解除された京都ですが、まだ遠方から京都への旅行は慎重でありたいですね。おうちにいながら京都気分に浸れる、『おうちで楽しむ 京の味と物』をご紹介しています。インターネットや電話などで、全国どこからでも注文できます。
第29回
京都人の大好物、鱧や鯛などからできた「京かまぼこ」
京かまぼこ 茨木屋 本店
三条通から寺町通のアーケードを少し北にある明治2年創業の老舗「京かまぼこ 茨木屋」。昔ながらの製法を代々受け継ぎ、京都の有名料亭にも、そのお品を納めるお店です。
今回は、京都生まれのかまぼこをご紹介します。
京料理の彩りや椀ものに欠かせない食材のひとつ「京かまぼこ」。白身の魚から作られた練り物のかまぼこは、煮物、椀物、おでんをはじめ、酒の肴として京都人の大好物。もちろん関東をはじめ全国でごく一般的な食材なので、「京都に来て、わざわざかまぼこを買わなくても~」という人もいるでしょうが、京都生まれの「京かまぼこ」は、まさに京都を代表する味のひとつ、ぜひお土産にしたい品なのです。
三方を山に囲まれ、海が遠い京都の町。冷蔵運搬方法が発達していなかった昔は、瀬戸内や大阪湾、日本海の新鮮な魚介類を庶民が味わうのは、むずかしいこと。そこで京都の人々は、加工方法を工夫し、発展させたのが、かまぼこやちくわ、しんじょうなど練り物の技術です。
まずご紹介するのは、「京かまぼこ」を代表する品のひとつの鱧を使ったかまぼこやちくわ。「鱧を食べないと夏が越せない…」というほど…鱧好きの京都人。関東でよく食べるかまぼこの材料は、タラやグチのすり身で、鱧のかまぼこは馴染みのない方も多いのでは?「鱧100%」という品に心惹かれます。
「鱧一番」864円
「鱧ちくわ」486円
また、関東でも高級かまぼこと言えば、鯛を使ったもの。「茨木屋」では、でんぷんの繋ぎを使わず100%鯛の身でできた品も。これは一度食べてみたいもの…。
「鯛羊羹」2,700円
店のケースに並ぶ品々は、いずれも美味しそうで、ついあれもこれもと思ってしまいます。
さて、「茨木屋」が得意とするものに、職人の高い技術が必要とされる手間のかかる「細工かまぼこ」があります。店に飾られた「芽出鯛」という鯛の姿をしたかまぼこは、出産や婚礼などの祝い事に贈られるものとか。鯛を表現する焼き目によるウロコやヒレ、また愛らしい黒豆の目など、職人技が光る品。
さらに節句の膳を飾るのが、愛らしい色とりどりの細工を施した「お節句かまぼこ」。3月の雛の節句には、小さな鯛や菱餅、桜餅や草餅など、かまぼこによるミニチュアの世界がそこに。
4月から予約が始まる「端午の節句」には、鯉のぼり、矢羽根、瓢箪、蝶などがセットされています。
「端午かまぼこ」3,240円
愛らしいその姿から、毎年、楽しみになさる常連客も多いそう。数量限定の品で販売されます。
春夏に涼を誘う品といえば「魚そうめん」も見逃せません。白身魚のすり身を素麺状にしたもので、特製だしが、いっそう味わいを引き出します。
「魚そうめん」詰め合わせ 2,700円
「茨木屋」の品々は、オンラインショップで購入できるので、おうちご飯にも強い味方になるはずです。
お店の方に、美味しいかまぼこの食べ方を伺うと…
「まずは、そのままお召し上がりください」と一言。そこに味への自信が伺えます。
お店に並ぶ「揚げかまぼこ」も、そのままで…。もちろん好みで醤油や生姜を添えても…。
まだ、京都旅はちょっと…という方に、おうちごはんの一品に、「京かまぼこ」はいかがでしょう。そのまま食べられる手軽さは、酒の肴にもおすすめです。
京かまぼこ 茨木屋
京都市中京区寺町三条上ル ☎075-251-6711
営業時間 10:00~18:00 水曜休み
小原誉子のブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」