写真の仕事をしているMocaですが、案外身近な人の写真を撮る機会は少ないものです。母の81歳の誕生日の記念に、父との散歩に同行し専属カメラマンをしてまいりました。
母を主役にファインダー越しで見つめていると、普段気づかない部分を発見できたりします。
この日、散歩に行ったのは横浜市中区本牧にある「三溪園」。
実業家の原三溪が東京ドーム4個分の広大な敷地に、京都や鎌倉などから歴史的価値の高い建造物を移築した庭園で、明治39年に公開されました。春は桜がとても綺麗な場所。この時期は雪柳が満開でした。
81歳となる母は、ありがたいことに元気です。食事も良く食べ、良く笑います。コロナ禍であることも理由に、しばらくは実家に行くことも避けおりました。会いに行く時は、いつも室内でしたのて、母が公園を歩く姿を見るのは数年振りでした。
家の中で家事をしている時は気づいて無かったのですが、数年前に比べると足元の不安定さや、呼吸の様子に老いを感じます。私は、長く介護の仕事に携わっていたので、一般の高齢者に比べて、自分の母親は元気だなと思っていたのですが母だけを観察していると、やはりそれなりに体力は落ちてきているとこに気づかされます。
池の辺に来ると「エサをあげたい!」と言う母に売店でお麩を購入。
動物の餌を買うなんて自分の子供が小さい頃以来で新鮮。
もちろん食べませんが、「お麩」美味しそうです。(笑)
餌を片手に池まで向かう母。
手摺の無い階段を降りる時はハラハラするのですが、父がサポートしてくれていました。
最初は、池の柵の向こう側からエサをあげていた母でしたが
気づくと柵の無いところへ移動し前のめりになってエサをあげている母。
驚いて
「池に落ちそうだから柵のあるところでエサをあげて」と訴える私に「だって、鯉にあげたいのにカモが横取りするんだもん」と頑として動きません。
母の実家には昔、池があり鯉を飼っていたことを思い出しました。カモより鯉の方が愛着があるのでしょう・・・。餌を取られないようにと、鯉に声かけしながら餌をあげている母の少女のような一面が微笑ましく感じられました。
夢中なる母の横で、カバンを持ち、母が池に落ちないようにコートのフード部分を摘んでいる父が写真に写っていました。母も気づいていない父の愛情です。
心配するのは父だけではなく、母もトイレから戻って来るのが遅い父を
「場所がわからないのかもしれない」
「何かあったのかもしれない」
と心配そうに電話をかけていました。
長く一緒にいる夫婦は、お互いが見えない部分で意識せずに心配しあっているのかもしれません。歳を取ればとるほどそうなっていくような気がします。
コロナで外出を控えていた両親は、庭園を眺めながらの休憩の方が楽しかったようです。
母のリクエストの三色団子と甘酒で「お疲れ様でした」。外で食べるおやつはとても美味しそう。そしてこの夫婦はやはり「花より団子」が似合います(笑)。
広い庭園なので、帰る頃には母の足取りも危なくなってきたので父に手をつないでもらっていました。
久しぶりの散歩と、庭園の景色、外で食べるおやつ。
いつになく幸せそうな母の笑顔を見ることが出来ました。
母の専属カメラマンの一日。
当たり前の日常の中から、夫婦の愛情を発見することが出来ました。そして私だけが知っている二人の表情を写真に撮って両親に見せたことで、改めてお互いに感謝の気持ちが生まれたそうです。
両親が元気なうちに散歩に付き添って写真を撮る。
楽しいのでオススメです。